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敏子のエッセイ① 化石「好奇心なら負けません」

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1968-57歳 メキシコにて 岡本敏子と

2000年から2001年まで、
毎日新聞に掲載をされていた、

岡本敏子、幻のエッセイ、
「満月日記」をディグ(発掘)しました!

そこで今回から、
「PLAY TARO」にて掲載していきます。

ぜひご覧ください!!



私は携帯電話も使わないし、
キャッシュカードも持っていない。

デパートや銀行が勝手に作ってくれるカードは、
みんな裁断して捨ててしまう。

「いまどきカードを持っていない人間なんていませんよ。
天然記念物なんですね」
と言われている。

だって、必要を感じないんですもの。

昔から気のあった仲間たちと、
連句の会をやっている。
何十年にもなる。

揃って60の還暦を迎えたとき、
1度まとめてみましょうかということになって、
句集を作った。

還暦は中国では「花申」という。
字も美しいし、ホァジャという音も、
なにか懐かしい。

装丁は粟津潔さんにお願いして、
すっきりと洒落た本が出来た。

第2集は「天日」とした。

また句会は続けているので、
みんなが元気で生きていて、
1冊分になったら、
第3句集を出そうということになっている。

今度はどういうタイトルにしようか。

あるとき、
私が天然記念物と言われている話をして、

「パソコンもやらず、
手書きで原稿を書いているし、
もう天然記念物どころじゃないわ。
化石ね」

と言うと、みんな大笑い。

次の句集のタイトルは決まった。
それでいきましょう。
と、第3句集はもう「化石」と決定している。

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しかし、と私は世の中の人たちに言いたい。

化石だけれど、
浮世を捨てている訳じゃない。

好奇心は旺盛だし、
考古学でも東北学でも、
ゲノムでもメディアアートでも、
何にでも興味を持つ。

ヒョイヒョイと何処へでも出かけて行くし、
誰にでも会う。

岡本太郎記念館は子供たちに人気のスペースで、
小学校のワークショップもよく来るし、
それで顔馴染みになった男の子たちが
「トシコさーん」と遊びに来る。

ついて来たお母さんや先生はあわてて、

「理事長さんなんですよ。
なんですか、そんな馴れ馴れしい呼び方をして」

とハラハラするが、

「だってトシコさんでしょう」と彼らは平気だ。

いいじゃないの。
私もその方が嬉しい。

子供たちの質問は意外に鋭い。

真面目に考えてこの人たちにも分かるように答えていると、
自分でも気のつかなかった発見や、
思いがけぬ展開がある。

だからこの化石は、
溌剌と、新鮮に生きている。

今の世の中、
みんなが社会の動向や人さまの気配にばかり振りまわされて、
右を見たり、左を見たり。

これから先どうなるんだろう、
取り残されてはいけない、
とキョロキョロしている。

情報化社会だデジタル化だ、
コンテンツがどうだ、
とそれはいいけれど、

だからあなたはどうなの?

Eメールをのぞき込んだり、
携帯電話でとりとめもないお喋りをしたり、
それは外に向かって拡散していく時間。

それと同じくらいの強さで、
自分の中に沈潜して行く力は?

私は必要だ、
なんて言わない。

お説教してるんじゃないよ。

その絶対感は誰にも譲り渡せないものよ。
私はそれが大事なの、と言ってるだけだ。



優しくユーモアのある語り口、
でもしっかりと自分の意見を持っている。

そんな敏子さんに私は憧れ、
そして太郎同様に惹きつけられます。

あなたはこのエッセイを読んで、
どんな感想を持たれましたか?

ぜひ聞かせてください。

次回は、
「モモ 『男性をもっと元気に』」をお届けします。

お楽しみに!!

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