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敏子のエッセイ④月の話「宇宙と呼応し合って」

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今回の「満月日記」は、
自然の法則、はたまた宇宙の神秘について、
敏子が改めて気づかせてくれます。



7月16日の皆既月食は壮大な観ものだった。

東京でもいつもよりずっと大きな満月が
欠けてゆくのがよく見え、

最後に、すっぽり地球の陰に入った月が
土色の球体になって空にかかっている。
異様な存在感に惹きつけられた。

この晩は、月を見た人が多かったろう。

「十三の月の暦」というものを提唱している人がいる。

古来、中国の暦法でも、マヤ暦、エジプト歴、
みんな、月の運行と密接な関係をもってきた。

それが16世紀、グレゴリオ歴が制定されて、
太陽の周期をもとに、
数学的に1年は365日、1日は24時間、
1時間は60分と区切ってしまった。

無機的な区分け。
太古の昔からの人間のリズム、
いや、人類以前からの生きものの生態の周期とは
関わりがない。
近代文明がこの物差しを前提に転がりだして、
人間がそれに合わせないと生活できないようになった。

そこから様々の不都合が起こってきたのだ、
とこの人は説く。

人間の生態のリズムは28日なのだそうだ。

この人、映像プロデューサーの柳瀬宏秀さんは、
それに合わせた「十三の月の暦」、
コズミック・ダイアリーを実際に作って売り出している。

と言われても、現代社会では
グレゴリオ歴を無視して暮らすことは不可能だ。
学校も、会社も曜日で動いているいるし、
飛行機に乗るにしても、
恋人と待ち合わせるにしても、
1日24時間のその枠の中でしか行動できない。

だから柳瀬さんもグレゴリオ歴をやめろとは言わない。
せめて、それと並行して、十三の月の暦も
一方に意識してほしい、
それだけでも人間がどれだけ生気を回復し
健やかになれるかしれないと言っている。

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そして、彼は人々に月を意識させる為に、
多摩川の川原で、月見の会を催した。
学生や若いサラリーマン、現代美術の作家や
ミュージシャンなどいろいろ、
50人以上集まったそうだが、
驚いたことに、その半分もの人は
月を見たことがないと言っていたというのだ。

まさか、と思うが、本当の話。

現代の都会生活では、
空を仰いで、今夜の月は、月齢は、
なんてことを思うゆとりはないのかもしれない。

勿論、月というものを知らない訳ではないだろう。
しかし、日常の生活の中で、
月そのものと向き合う、
しみじみと月の光を浴びるという経験は、
案外持たない人が多いのではないか。

ヒトゲノムを解読することも大事だろう。
だが自然の一部である人間のいのちの、
宇宙との呼応。

ーお産も、人の死も、もともとは潮の満ち干、
月の引力と密接に関わっていたと思われる。

毎年決まった月の、大潮の晩に、
無数のふぐが浜によってきて
一斉に産卵するとか、
珊瑚の卵が雪の舞い散るように、
海の漂いだすとか、
神秘としか言いようがない“いのちの不思議”。

それらも月の引力との
微妙なバランスがもたらず現状に違いないのだ。

こういう宇宙的な息づかいを、
もう少し鋭敏に、素肌に感じとる能力を回復したい。



私たちはこの地球上に、
生命を持って誕生したという奇跡に、
あまりにも無頓着なのかもしれないと感じました。

あなたはどのように感じたでしょうか?

次回は、
縄文「生命の根源に響く」』をお届けします。
お楽しみに。

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