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一青窈対談③ “一青節”の作り方

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歌手の一青窈さんとの対談第3回目です。

〈前回までは〉
①これでいいんだって、自信をもつことができたっていうか…。
②基本は愛することなんじゃないかと思います。

今回は一青窈さんのそのオリジナルな世界観について、
そのアプローチの仕方をお聞きしました。



ええかっこしいにならないように。

平野:繰り返し言っているように、窈さんには「一青窈の世界」があって、
ほかの誰も真似できない自分だけの表現をもっている。
それって創造力や創造性で勝負している人間にとって最強の状態ですよね。
窈さんはそれをどうやって手に入れたのか。
それが今日ぼくが知りたい一番のテーマなんです。

一青:なんだろう?(笑)

平野:それをPLAY TAROを見に来てくれる若い人たちに教えてあげたいんですよ。

一青::小学校の頃に国語の授業で宮沢賢治とかヘルマン・ヘッセを読まされて、
そのときに「ここの作者の意図は何だったのでしょう?」みたいな問いが
テストに必ず出るじゃないですか?

平野:はい。

一青::私はテスト用紙の裏まで書いても足りないくらい
溢れてしょうがなかったんです。

平野:(笑)

一青::「この人はきっとこういう気持ちだったから次の行動に出たに違いない」
っていうようなことを考えるのが楽しくてしかたがないっていうのが原点にあって。
だから音楽でも「ここの主人公はこのポイントで感動した(あるいは挫折した)ので、
そこで見た夕日がとても美しいと感じたのかな?」って。
本を読むように歌を歌っている感覚っていうか…。

平野:たとえて言えば、その歌詞の世界がまるで映画を見ているように、
映像的なイメージとして流れていく、みたいな感じですか?

一青::流れて、自分が主人公になって感動しちゃう。

平野:その映画の中で自分が泣いているんだ。

一青::そうです。

平野:なるほど。

一青::アルバム収録曲の『ジュリアン』なら、
「すごく好きな人がいたんだ。でも叶わない恋だったんだ。
鏡の前で好きな人の仕草を真似して『元気ですか?』ってつぶやいちゃうんだ。
私だったらつぶやかないな~」みたな(笑)。

平野:それは自分の曲でも?

一青::自分の曲は他者に置き換えます。
「私だったらこうするけれども、お母さんだったらどうするんだろう?」
あるいは「隣のエミちゃんだったらどうするだろう?」みたいに。
いろんな人に置き換えて、より普遍的に解釈できる言葉を選んでいきます。
そうすると絵本のようにこどもでも理解できるオノマトペに変わっていったりとか、
平たい言葉になっていきますね。

平野:自分でつくる曲とカバーのときでは、
アプローチの段階からまるで違うということですね。

一青::違いますね。カバーはやっぱり読み解く楽しさですよね。

平野:推理小説を読んでいくような感じ?

一青::そうですね。恋愛小説の主人公になったような。

平野:ああ。

一青::それで自分の思い出と紐付けて感動するポイントで
「なんていい歌なんだろう」ってグッとくるというか(笑)

一青窈EXシアター①

平野:サンタナと同じように、一青窈の歌は5秒聴けばだれでもわかる。

一青::そうですか?(笑)

平野:そう。間違えようがない。

一青::声で?

平野:うーん、単に声だけじゃないと思うなあ。
なんだろう? ほかの人となにが違うんだろう?

一青::でもそれって、鬱陶しいとも言えませんか?

平野:(笑) 個性ってそういうものだからね。
窈さんは歌うときに特別に意識していることってなにかあるんですか?
それとも自然にああなってるの?

一青::自然にやってます。自分に嘘つかないように、と思ってます。

平野:沸き上がってきた感情に正直に、っていうことですか?

一青::ええかっこしいにならないように。
「人からこう見られたら自分は得するだろう」とか
「よく見られるだろう」っていうようなことは歌詞の中では絶対しないし、
歌い方でもしないようにしています。

平野:太郎と敏子がよく使っていた言葉に「平気」っていうのがあるんですよ。
敏子だと「太郎さんは平気でやったのよ」とか
「あなた、もっと平気でやりなさいよ」とか。

一青::ええ。

平野:その意味は「気負いもしなければ遠慮もしない。
媚びもしないし気遣いもしない」ということ。
要するに小賢しい計算なんかするなっていうことなんですね。

一青::うん。

平野:人からどう見られるかとか、どんな風に評価されるんだろうとか、
そういうことはぜんぶ蹴飛ばして、自分の価値観と美意識を信じて、
それに正直にっていう。

一青::裸ん坊になるってことですね。

平野:そう。素っ裸で生きるっていうことです。

一青::「無邪気」でもないし「裸」でもなくて、「平気」なんですね。
面白い。そう言われると「平ら」な「プレーン」な感じがしますね。

平野:二人とも好きでよく使ってました。



一青::芸術ってフォーマットを使うと勇気が出せる行為に変わるって思っていて。

平野:はい。

一青::教壇の上に立たれて「この作者の気持ちを答えなさい」って言われるよりは、
絵や写真、詩でもいいんですけど、
そういうフォーマットを取った方が差し出しやすいですよね。

平野:そうですね。

一青::それはすごく芸術のいいところだなと思っています。

平野:太郎は基本的にハイアートの世界にいたから、
「オレはこれを描きたいんだ」でよかったわけだけど、
エンターテインメントやショービジネスの世界にいる窈さんは、
それだけでは済まない部分もあるじゃないですか。
そのあたりの折り合いはどうやって?

一青::そういう部分でいえば、私がいちばん憧れているのは清志郎さんです。

※「忌野清志郎」
ロックンロールの伝道者として、
独自の表現スタイルや華やかな存在で多くの人を魅了した。

一青:生放送だろうがなんだろうが、
自分が嫌だと思ったことに対しては首尾一貫して反対したり、歌にしていく。
そこはロックっていいなって思います(笑)。

平野:(笑)

一青::私は歌謡曲って演技に近いものがあると思っていて。

平野:芝居の要素が入っているっていうこと?

一青::ええ。なにかになれるっていうのは、すごく楽しい行為ではありますけど。

平野:なるほど。

一青::それと人によっても許されるポイントが違うような気もしますし。
清志郎さんなら許されるとか。

平野:キャラクターがあるものね。太郎もそうだけど。

一青::そうですね。そう考えると女性って
ちょっと厳しい位置に立たされているっていうか。

平野:そうか。

一青::そういう意味では、人に詞を提供するっていうのは、
近いかもしれないです。爆弾を投げられちゃうから。
私の密かな楽しみなんですけど。



次回は一青窈さんの「詞作」と「歌唱」について。
そのメカニズムをお聞きします。
お楽しみに。

一青窈対談④

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一青窈

東京都出身。
台湾人の父と日本人の母の間に生まれ、
幼少期を台北で過ごす。
2002年、シングル「もらい泣き」でデビュー。
5枚目のシングル「ハナミズキ」、
そして初のベストアルバム「BESTYO」が大ヒットを記録。
ガイド本や詩集などの書籍の執筆や、
音楽劇や映画で主演をつとめるなど、
歌手の枠にとらわれず活動の幅を広げている。
2015年末公開予定の映画「はなちゃんのみそ汁」への出演、
主題歌担当も決定している。
オフィシャルHP 
http://www.hitotoyo.jp/

○新譜情報
カバーアルバム
「ヒトトウタ」
2015年7月29日発売


51-3746_2A_001@99_o_4P

<通常盤>
CD  11曲入
¥3,000(税抜)
UPCH-20398

51-3746_2A_001@99_o_4P

<初回限定盤>
CD 11曲入+DVD
¥4,200(税抜)
UPCH-29192
(DVDには 「一青:窈 TOUR 2014-2015 ~私重奏~」
2015.2.28  TOUR FINAL @ EX THEATER ROPPONGI ライブ映像 10曲収録)

<CD収録曲>
1.ハナミズキ (一青窈 初のセルフカバー)
2.幸せな結末 (大滝詠一)
3.たしかなこと (小田和正)
4.Everything (MISIA)
5.アイ (秦 基博)
6.ジュリアン (PRINCESS PRINCESS)
7.瑠璃色の地球(松田聖子)
8.糸 (中島みゆき)
9.ロマン (玉置浩二)
10.青春の影 (チューリップ)
Bonus Track 四照花(ハナミズキ Chinese Ver.)

<配信>
iTunes Music Store: http://po.st/ithitotouta
レコチョク: http://po.st/recohitotouta

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