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『神秘日本』から本文を一部抜粋!!

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7月25日(土)に、
角川ソフィア文庫から同時刊行された、
『日本再発見 芸術風土記』『神秘日本』の2冊。

もう読んでいただけましたか?

まだというあなたのために、
PLAY TAROでは本文を一部を抜粋してお届けいたします!

今回は『神秘日本』です!
(前回の『日本再発見 芸術風土記』はこちら

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■『神秘日本』抜粋1 「オシラの魂」より (PP. 5-6)

以前、盛岡の博物館で、私はたまたま一対のオシラ神を見た。
一つは馬頭、一つは女の首。
それぞれ、ちょうど片手にとれるほどの大きさの人形である。
瞬間、身体の厚み全体に、
いいようのない生命の波動が走り伝わるのを感じた。
そして、幼いころの、
小さい歯痕のような記憶がよみがえってきた。

――ある時、それはもう夕方で、座敷はうす暗かった。
母が来客と話をしていた。
私は四つか五つだったろうか。孤独な子だった。
そんな時いつも解らないまま、
そばに坐って大人の話を聞いていた。
そのうち退屈なので、隅にあった用簞笥をいたずらしはじめた。
思いがけなく、その中から、赤っぽい、縫いぐるみの、
小さな布団をまるめたような人形が出てきた。
三角にとがった手足と、まるいささやかな頭がついているだけ。
目も口もない。
犬みたいだが、人間のようでもある。しかし異様に、生きている。

母にたずねたが、笑って、とりあってくれない。
しつようにきく私に、何か説明してくれたが、どうもおかしいのだ。
「秘密」があるような感じだった。

それっきり、どこかにしまい込まれて、再び見ることはなかったが、
それは幼い心にやきついた。
きれいな雛人形など何の印象ものこさないのに、
夕闇の中に赤く浮いたこの不思議なものが私の中に生きつづけ、
何かを暗示するのだ。

後年、それが「ほうこ」であり、
幼児の魔よけのおまじないであることを知った。

生れそこなった子供みたいな、ひらくべくして、ひらかなかった魂。
――だからこそ生命の渾沌に耐え、その力にみちて、不気味である。
ちゃっかり形になってしまった人間の、間のびしただらしなさ。
その無気力な表情にくらべ、この目、口、耳をつぶされて、
ひたすら内に生命力を充実させている人型の方が、
どれほど人間か……と思う。

オシラさまにふれたとき、
何故か、私は同質な感動をおぼえたのだ。
いつかこの生活の中にある神秘を掘りおこし、たしかめてみたい。
そう考えた。

(……)

私が今度の東北文化論で、特に青森県を目ざしたのは、
これらの素朴で、原始的な民間信仰を中心に、
日本人の生き方、その根深い感動を実見できると思ったからだ。

(……)

(2ページ目に続きます)

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