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舘鼻則孝対談③「未来に向けた日本文化の延長線」

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〝ヒールレスシューズ〟が、レディー・ガガを虜にし、
一躍世界のアートシーンに躍り出た、
デザイナー/アーティストの舘鼻則孝さんの対談、第3回目をお送りします。

今回は15歳で動きだす舘鼻さん!その驚くべき行動とは?

〈前回までは〉
①手を動かしてなにかを生み出すことにすごく興味がありました。
②自分ににしかできないことは何なのか?自分の武器になるものは何か?

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自分で学んだことじゃないと身につかない

平野:あ、じゃあ、15歳のときにファッションをやろうと思ったわけですね?

舘鼻:そうです。15歳のときにはじめて靴をつくりました。
いまは靴をやっているんで靴のことばっかり言いますけど、
当時は洋服もつくってたし、バッグや靴も、ぜんぶ自分の手でつくってたんです。
とにかくファッションってスタイルのことだから、トータルでやらないとダメだと思って。
いま最終的に靴をつくっているっていうだけで。

平野:なるほど。

舘鼻:そうやってつくった作品を、洋服やらバッグやら、
ぜんぶ含めてコムデギャルソンの青山店に見せに行ってたんです。
毎週土曜に。

平野:店に押しかけて、店員にプレゼンテーションしてたんでしょ?
舘鼻さんは考え方がめちゃくちゃロジカルで戦略的だけど、
いまの話はなんていうか、未熟だよね(笑)。
普通に考えたら、そんなことやったってなんにもならないものね。

舘鼻:15歳のとき、父のパソコンを借りて自分で正方形の名刺をつくって。

平野:そのころから名刺のサイズにはこだわってた。

舘鼻:ですね(笑)。でもほんとうに、いま見るとしょぼいんですけど、
当時はデジカメがなかったから、普通にフィルムの写真を撮って、
現像に出すとタダでもらえるアルバムにその写真を入れて、
コムデギャルソンに持っていったんです。見てくださいって。

平野:うん。

舘鼻:それにしても、きっかけが必要じゃないですか。

平野:普通は相手にしてもらえないよね。

舘鼻:だから一年くらいお金を貯めて、10万円くらいだったかな、
それでコムデギャルソンに行ってはじめて服を買ったんです。
高校生のときに。それからちょっとずつ近づいていって。

平野:顔を覚えてもらおうと?

舘鼻:そうです。次の週もいかないとダメだなって、お金を残しておいて、
Tシャツを買って。店員さんから「あ、こないだも来てくださいましたよね」って。

平野:うんうん。

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舘鼻:それでその人とやりとりをするようになって、
作品を見てもらえるようになったんです。

平野:なるほど。

舘鼻:その人はすごく優しくて、作品を気に入ってくれたんですね。
「上司に若い人がつくったものが好きな人がいるんで、もらっていいですか?」
ってそのアルバムを預かってくれたりして。

平野:うん。

舘鼻:そこから一年に一回くらい作品を見てもらってました。

平野:へえ。

舘鼻:8年くらい経って、ぼくは芸大を卒業して、
なんとかこうして名前が出てきたときにまた声をかけてくれて、
「そろそろ時期がきたと思うので、社長に作品を見せたいから、
最近の作品写真をもらえますか」って。

平野:ああ、いい話だな。

舘鼻:それで川久保さんにプレゼンしてくれたんです。
それは世界中のデザイナーを集めて、
誰の作品をお店に置くかっていう会議だったんだけど、
世界から20組くらいの若手デザイナーの資料が用意されていて。
日本はぼくともう一人くらいだったかな。

平野:8年越しのプロジェクトがついに実ったわけですね。

舘鼻:そう。しかも、その中で川久保さんが
「この人に会ってみたい」って思ってくれたのがぼくだけだったみたいです。

平野:それは嬉しかっただろうな。

舘鼻:それですぐに呼ばれて、会ったんです。それが4年半前ですね。

平野:緊張したでしょ? 憧れの人だものね。

舘鼻:ものすごく胃が痛くなりました(笑)。

平野:わかる(笑)。

舘鼻:そのスタッフの方とは8〜9年くらい連絡をとってましたね。
いまでも仲いいです。

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平野:発想は未熟だったけど(笑)、その実行力たるや、すごいと思う。
勝算があるわけじゃないのに8年間通い続けるって、なかなかできませんよ。
あとで聞こうと思ってるんだけど、自分の靴を世界に売り込むために、
舘鼻さん、メールを打ったでしょう? 手当たり次第に。

舘鼻:とにかく必死でしたから。

平野:優れたアーティスト、クリエイター、デザイナーって、
表現力とか発想力とか想像力とかそういうことがすべてであって、
それ以外の実務的なことなんかできなくていいし、
そんなものに手を染めない方が表現者としてピュアでいられる、
みたいに言われがちでしょう?

舘鼻:そうですね。

平野:でも、じつはぜんぜんそうじゃないんだってことを
体現してると思うんですよ、舘鼻さんは。
いい意味での強烈な野心があるし、
自分がどう動けばそれに近づけるかをたえず考えている。
これ、表現者にとってすごく大事な資質だと思うんです。

舘鼻:そうかもしれません。

平野:まわりを見ても、ほんとうに価値のある仕事をしている人って、
やっぱり創造的な野心をもっているし、
自分のつくるものに対して絶対的な自信をもっている。
自分の血の中にあるもの、遺伝子みたいなものに対しての信頼感っていうのかな。
とうぜん不安になったり迷ったりすることもあるはずだけど、
最後は自分の中にあるものを信じているんですよね。
自己愛みたいなものもあると思うしね。

舘鼻:わかります。

平野:そんなクリエイティブな、創造的な野心を信じて、
それをエンジンにして、強烈な行動力を発揮する。
残る人って、けっきょく、そういう人だと思うんですよ。

舘鼻:太郎さんだってそうでしょう?

平野:もちろん。
太郎は稀有な思想家でありながら、ひと並外れた行動力があった。
『腕力』っていうのかな。
舘鼻さんのすごいところは、才能ももちろんだけど、
その腕っぷしの強さだと思う。ものにする力っていうか…。
絵を描くのがうまいとか、デザイン力があるとか、そういうことだけじゃ、
舘鼻則孝にはなれない。
これを読んでくれている若い人たちに、ぼくはそれを伝えたいんですよ。
だから来てもらったんです。
なにしろ、舘鼻さんは〝生きた標本〟だからね(笑)。
えっと、なんの話をしてたんだっけな。

舘鼻:芸大に入ったっていう話でした(笑)。

平野:そうだ。で、入ってからはどんな感じだったんですか?

舘鼻:目指していた大学だったし、それなりに狭き門じゃないですか。
工芸科は1学年30人なんですけど、なんとか入れて。
でも、じっさい入ってみたら自分の期待とは少し違ったっていうか…。
一言でいえば、なにかを教えてくれるところではなかったんです。

平野:ああ、なるほど。

舘鼻:でもよく考えてみると、自分は教わるのもそんなに好きじゃないし、
いままでも自分で考えてやってきたし…。
母からいつも「好きなものや欲しいものがあるんだったら、
自分でつくりなさい」って言われてましたしね。

平野:きっとその教育が「舘鼻則孝」の形成に大きく作用したんでしょうね。

舘鼻:おもちゃも、つくるところからスタート、みたいな。
ミニ四駆は680円だから買ってもらえたとしても、
サーキットは2万円だから買ってもらえない。
じゃ自分でつくればいいやって。

平野:(笑)

舘鼻:それで両親が寝るところがなくなっちゃうなんてこともありました(笑)。
けっきょく自分で学んだことじゃないと身につかないというか、
それを受験時代から実感していたんですね。
ぼく2浪したんですけど、やっぱり教わってもうまくならないですよね。

平野:うん。

舘鼻:自分が教える立場になったときも、
描き方教えるよりどうやって気づかせるかってことをいろいろと試してます。
自分で気がつかないと自分のものにならないから、
すごく難しいなって思いますね。

平野:ほんと、そうですね。

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舘鼻:それでけっきょく、大学に入ってみても、
先生は一ヶ月に一回くらいしか来ないし、
なんだかよくわからないなって思って。
学生にはそれでけっこうめげちゃう人もいると思いますよ。

平野:なにをしていいか、わからないから?

舘鼻:そうです。好きなことやっていいよって言われても、
「好きなことってなんだ? 」みたいな感じになっちゃう。
与えられた課題に応えることはできるんだけど。
それでぼくは学校に行かなくなっちゃったんです。
やりたいことがあったから。
学校に行かずにサボって遊んでるって先生は思ってたかもしれないけど、
ぼくは靴をつくってたんです。家で。

平野:いよいよ戦略を実行に移しはじめたわけだ。

舘鼻:英語の勉強をするためにベルリッツに通ったり。
予備校にも講師として受験生の指導に行っていたので、
トリプルスクールみたいになってました。

平野:うん。

舘鼻:夜中まで靴をつくって。
そのときは、まず基礎から学ぼうと思って、
英国式のローファーみたいな伝統的なメンズシューズをつくってました。



次回は舘鼻さんが、数あるファッションのなかで、
靴を選んだ理由についてお聞きします!

舘鼻則孝対談④

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舘鼻則孝

1985年、東京に生まれ。
15歳の時より靴や洋服の制作を独学で始める。
その後、東京藝術大学にて染織を専攻し友禅染を用いた着物や下駄の制作。
2010年自身のファッションブランド「NORITAKA TATEHANA」を設立。
全ての工程が手仕事により完成される靴は、
ファッションの世界にとどまらずアートの世界でも注目されている。

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