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Yoichiro Kawaguchi talk ① " Life is Byunbyun ! "

河口洋一郎対談①「人生はビュンビュンだ!」

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自己増殖する「グロ―ス・モデル」で独自のアート世界を確立し、
世界的CGアーティストとして活躍されている河口洋一郎さんとの対談です。

②「洋ちゃん、あなたね、芸術はビュンビュンだからね」
③形は成長し、進化し、変わっていくもの。
④あそこに行けたから、生き様がブレずに済んだんだと思う。
⑤敏子さんのような人がいれば、1+1が3にも4にも5にもなる。


今回は河口さんと太郎、敏子との出会いについてお聞きします。

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彫刻が動いているような感じなわけです。

平野:今日は、日本を代表するアーティストにして東大教授、
さらには県立美術館)鹿児島「霧島アートの森」の館長でもあるという、
やや常軌を逸した方をお迎えしています。

河口:そんなことないですよ(笑)。

平野:河口さんは敏子と大の仲良しでした。
河口さんと話しているとき、敏子はほんとうに嬉しそうだった。

河口:はい。いつも会話がとても盛り上がってました。

平野:ぼくは河口さんとおつきあいさせていただいて、
十数年になりますけど、そういえば、まだちゃんと聞いてなかった。

河口:え?なにを?(笑)

平野:河口さん、太郎、敏子ってどうやって出会ったんですか?

河口:太郎さんとは展覧会なんかで一緒になったことが何度かあったんだけど、
太郎さんってね、展覧会とかだと以外にじ-っとしてるんですよ。
まわりに何十人いても、あんまりしゃべらない。

平野:へえ。

河口:もちろん存在は知ってたし、
そんなふうに近距離にいたことはあったんだけど、
じつは直接に話したことがなくて。

平野:あ、そうなんだ。

河口:そう。太郎さんが亡くなった後に、敏子さんから聞いたんだけど、
太郎さんはぼくに会いたがってたんだって。
「先生、会いたがってたのよ。でも亡くなっちゃって…。困ったわ」
なんて言ってました。

平野:そうですか。

河口:敏子さん、「洋ちゃんに紹介するの、遅すぎた!」言ってた。

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平野:敏子とは、どうやって知り合ったんです?

河口:敏子さんと会ったのは、いつだったかな?

平野:だいぶまえ?

河口:うん。だいぶまえ。
そういえば、ぼくが文化庁のメディア芸術祭設立の
初代総合委員長だったときには…。

平野:はい。

河口:そのときに、メディア芸術祭主催の舞台イベントがあったんですよ。

平野:あ、じゃあ、そこではじめて会ったんですね?

河口:いや、そのときはすでに仲の良い友達だった。

平野:(笑)

河口:それが97年頃だから、いずれにしろ長いつきあいだよね。

平野:メディア芸術祭で河口さんはなにを?

河口:第一回の特別イベントのときはね、
渋谷のシアター・コクーンで映像舞台をやったの。
ゴールドフィンガーっていう女性の集団と
ぼくのCG映像でジョイントショーをやったんです。

平野:河口さんの映像と女性パフォーマーのコラボレーション?

河口:そう。ぼくのCG映像に反応して女性たちが艶っぽくクネクネ踊るの。

平野:へえ、おもしろそうだな。

河口:そのときにね、敏子さんに叱られたんだよね。

平野:え?なんで?

河口:「洋ちゃん、あなたは将来もっと大きなことをやらないといけないから、
女性にうつつを抜かしちゃダメよ!」って。

平野:(爆笑)

河口:「妖しい女性に見とれていないで、目を覚ましなさい!」って。

平野:なるほど(笑)。

河口:でね、そのメディア芸術祭の夜のイベントにも敏子さんは
なぜかお目つけ役のようにいたりして。

平野:敏子はきっと、いろんな場所で河口さんを見ていて、
目をつけていたんじゃないかな。

河口:そうなのかもね。

平野:で、「こいつは使える!」って思って、一本釣りしようと。

河口:うーん、でもそのまえに太郎さんがぼくに会いたがってたって、
敏子さん言ってたよ?

平野:あ、そうか。

河口:きっと太郎さんがぼくのことをどこかで知ってて。

平野:もしかしたら、太郎は、河口さんのCGに対して、
すごく興味があったのかもしれませんね。

河口:うん。そうだったかも…。

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平野:80年代にテレビの番組で太郎は一回だけコンピューターで
絵を描いたことがあるんです。

河口:そうなの?それはとっても驚きです。



平野:だけどそれを見てると、ものすごく遅いんですよ、動きが。
線を描くのも、信じられないくらいゆっくりで。

河口:当時の技術ではそうだね。
性能的には今と比べてまだまだの段階だったから。

平野:太郎はせっかちだから、あれじゃぜったいガマンできない。
たぶんそれでCGに見切りをつけたんじゃないかと思うんです。
「こんなのダメだ!」って。以後まったくやってませんからね。

河口:そうかもね。何となくわかります。

平野:太郎って、最初は絵画・彫刻からはじめたけど、
焼き物、写真、グラフィック、プロダクト、空間…と、
どんどん表現ジャンルを広げていったでしょう?
新しいメディアに貪欲に挑戦していった。
で、どんなメディアであれ、一度手を染めたら必ずモノにしてきたんです。
それなのに、CGだけはスルーした。

河口:ああ、なるほどって感じはします。
数分間のCG動画をつくるのに、
毎日24時間がんばっても1年かかってましたから。

平野:でも、もしかしたら、河口さんの作品を見て、
「おもしろいじゃないか!」って思ったのかもしれない。
自分にはない表現メディアだから。

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河口:そういえば、ぼくはそれまで複雑系の珊瑚状の増殖するCGを
細かくつくってたんだけど、
1983年に、肉感的なボリューム感のある
“メタボール”っていうのを応用してつくったの。

平野:はい。

河口:それがね、
なんとなく太郎さんの彫刻みたいなボリューム感が出たんだよね。

平野:太郎彫刻には独特のボリューム感がありますもんね。

河口:それを太郎さんが見たら、
ひょっとしたら気になったかもしれないですね。
“メタボール”のプニョプニョした肉体的な塊がうごめく表現方法は
当時めずらしかったですから。

平野:その“メタボール”って何ですか?

河口:メタはmetaの語源から「高次元の」や「超越した」という意味があります。
そういうネチャネチャ融合するボールみたいな濃度球をどんどんつけていくと、
女体の神秘みたいになって肉感的になっていくんだけど。
それがおもしろくて。

平野:へえ。よくわかんないけど(笑)。

河口:もし太郎さんがなにかしらのきっかけで見てくれていたら、
興味をもってくれたかもしれない。
ぼくが太郎さんの立場から見ても、そう思う。

平野:おもにどういうところが?

河口:彫刻が動いているような感じなわけです。

平野:あやしい宇宙生物みたいに?

河口:そうそう。見たこともない宇宙の世界にいる生物のように動く。

平野:動く…。

河口:ぼくの場合は「時間の造形」から出発しているからね。
太郎さん、それはあんまりやってないような気がする…。

平野:そう。動くものは一切ありません。そこかもしれないですね。
河口さんに興味を持ったのは。

河口:メタボールの肉感的な世界は、
太郎さんの芸術センスにどこかで通じてたと思います。



次回は河口さんの作品のテーマについて語っていただきます!

河口洋一郎対談②

kaohame (1 - 1)
河口洋一郎

種子島生まれ。東京大学大学院教授。
75年より自己増殖する「グロ―ス・モデル」のアート世界を確立、
世界的CGアーティストとして活躍し、
進化する宇宙生命体の立体造形/ロボットの創出など
伝統の未来化による拡張を続けている。

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