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Yoichiro Kawaguchi talk ③ " Life is Byunbyun ! "

河口洋一郎対談③「人生はビュンビュンだ!」

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自己増殖する「グロ―ス・モデル」で独自のアート世界を確立し、
世界的CGアーティストとして活躍されている河口洋一郎さんとの対談です。

今回は河口さんのコンピューターアートについて語っていただきます!

〈前回までは〉
①彫刻刻が動いているような感じなわけです。
②「洋ちゃん、あなたね、芸術はビュンビュンだからね」

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形は成長し、進化し、変わっていくもの。

平野:ところで、河口さんがやられていることがどういうものなのか、
簡単に教えてもらえます?

河口:作品をつくるときって、普通はデッサンとか下書きから
はじめると思うんだけど…。

平野:はい。

河口:ぼくの場合は、どうやって形をつくるか、
頭のなかで数式的に考えることから始めました。

平野:数式?

河口:たとえば巻き貝が、
小さな子供からどんどん増えていくときの増え方だったり、
珊瑚礁が枝状に増えていくときの増殖だったり、
そういうものを時間軸上で考える。
時間の流れの上で造形を蓄積的に変化させていく。
要するに時間のベクトルで考えているんです。

-成長していくっていうことですか?

河口:そうそう。形の成長、発生をしていく。
そうやって大きくになっていく。そういうプロセスを経ながら、
作品が止まらずに動いている、うごめいている。

平野:作品をつくるとき、アーティストで、デッサンを何枚も描いて、
最終形のイメージを固めていくわけわけじゃないですか。
油絵や彫刻をはじめ、アートって基本的にそうですよね。
頭の中にゴールのイメージを描きながら、
そこに向かって、集中的に仕上げていく。

河口:そうですね。

平野:でもいまの話だと、そうじゃないんですよね。
最終形はないんでしょ?

河口:最終形は、最初はないですね。変化していくから。

平野:とすると、作品をつくろうって
自分の中にモチベーションが沸き上がったときに、
河口さんの頭の中にはなにがあるんですか?
少なくともなんらかの絵柄は見えているんでしょう?

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河口:いや、どちらかといえば形の原理かな。

平野:原理? あ、原理ね(笑)。
最初からぜんぜん違うわ、普通のアートと。

河口:形の生成原理で変化していくわけ。
だから形の遺伝子みたいなものだね。

平野:遺伝子か…。

河口:遺伝子構造。
ナマコは必ずナマコになるし、ヒトデは必ずヒトデになっていく。
それは遺伝子によって形ができていくから。
鳥でもカラスはカラスになるし。ウグイスはウグイスになる。

平野:…。

河口:それが長く経過すると進化していくのね。
100万年とか1000万年とか、
長い時間が経つと進化して別のものになっていくわけ。
それがずっと頭の中にあって。

平野:…。

河口:形はつねに変わるっていうのがぼくの根本的な発想。
形は成長し、進化し、変わっていくもの。

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平野:もしかして、河口さんの作品の根っこにあるものって、
色や形みたいなビジュアルではなくて、
プラグラムみたいな感覚ですか? 成長のプログラムっていうか…。

河口:成長や進化も形の遺伝子に関係していくから、
つねに新たに生成しているの。

平野:難しいな。

河口:敏子さんにもいわれたもん。
「まわりの人間は、あなたを理解しがたい」って。

平野:ぼくもそう思う(笑)。

河口:たとえば、宇宙のね、カニ。

平野:宇宙のカニ?

河口:5億年未来のカニをどう想像するかと考えたときに…。

平野:はい。

河口:ぼくがなにをするかというと、地球上の5億年前の、
カンブリア紀のクラゲとか三葉虫みたいなものからはじまるわけ。
頭の中で。

平野:?

河口:そこからはじまって、現代のカニまでもってきて、
それはつまり過去5億年前でしょ?
そこから5億年後の未来にバッと飛ばしていくか、
別の未知のカニをつくるわけ。それがぼくのやり方。

平野:うーん・・・

河口:でもね、こういうことを言ってると、敏子さんに
「じゃ、洋ちゃん、あなたの頭の中にある四次元のカニを人に
説明するなら、どうするの?」って言われちゃう。

平野:そうですよ。ぼくもそれを聞きたい。だってわからないもん。

河口:それで最近は、5億年過去の卵から未来にいくカニの、
その変容していく過程をスケッチしているの。

平野:説明用に?

河口:そう。

平野:だって本人には必要ないものですもんね。

河口:ぼくは要らないけど、
でも、まあ、頭の健康のためにはいいかなと思って。

平野:なんだそれ(笑)。

河口:敏子さんにも「手足を動かさないとボケるから」って言われてたし。

平野:(笑)。

河口:普段、大学なんかで忙しいから、
空いた時間でやればいいやと思って。
国内外の出張が多いので、
飛行機とか新幹線の中がアイデアスケッチの時間になったんです。

平野:なるほど。

河口:スケッチブックと色鉛筆を50色くらい持って、
時間軸の初期の頃から未来までを、
みんなにわからせるために描きはじめて。

平野:どうでしたか?

河口:言葉だけで伝えるよりは、
まわりが理解しやすくなってきましたね。
それとじつはCGにも弱点があって。

平野:?

河口:それはね、デジタルだということなんです。

平野:え?

河口:デジタルということは、コピーができるということでしょ?

平野:はい。

河口:美術館的な発想をすると、
コピーできるものはやっぱり買いづらいわけですよ。

平野:そうですね。

河口:これも敏子さんに言われたんだけど、
「洋ちゃん、空いた時間に一点ものを描きなさい」って。

平野:なんで?

河口:「あなたリッチじゃないから」って。

平野:(爆笑)

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河口:「アイデアはおもしろいけど、儲かってないような気がする」ってね。

平野:いろんな話をしてたんですね。

河口:飲みながらね、
「朝まで嵐のようなビュンビュンの夜なべ談義」です。

平野:なるほど。

河口:それで空いた移動時間にドローイングするようになった。

平野:でも、河口さんのつくられているのは映像ですよね?
CGっていうと静止画を思い浮かべる人もいると思うけど。

河口: ぼくは最初から動画だったからね。
1975年ごろから、ずっと動画。
静止画のCGにはほとんど興味なかったですね。

平野:「時間の造形」ですもんね。

河口:そう。最初から形は変わるものっていう前提で
プログラミングしているから。

平野:だからコンピューターなんですよね。

河口:そう。「どうしてCGをやったの?」って聞かれたら、
「時間の造形」をやるためにちょうどいいからってことなんです。



次回は河口さんとコンピュータとの出会いについてお伺いします。

河口洋一郎対談④

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河口洋一郎

種子島生まれ。東京大学大学院教授。
75年より自己増殖する「グロ―ス・モデル」のアート世界を確立、
世界的CGアーティストとして活躍し、
進化する宇宙生命体の立体造形/ロボットの創出など
伝統の未来化による拡張を続けている。

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