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Toshiko's Essay⑫A tower of mother "Clashes with each other on the bare skin"

敏子のエッセイ⑫母の塔「素肌でぶつかれば」

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今回は川崎市にある岡本太郎美術館の、
《母の塔》についてのエッセイをお届けします。



川崎市の生田緑地に岡本太郎美術館が
オープンしたのは去年の十月三十日。
丁度、一年を迎える。

開館記念日の「太陽の塔からのメッセージ」展がはじまった。
既に十五万人の人が訪れ、今も人並みは絶えることがない。

沢山の人が「岡本太郎さんのパワーを貰った」
「元気になった」と言って帰られるそうだ。

普通の美術館とまったく違う、
岡本太郎でなければこんな構成は絶対に出来ない、
ドラマチックな、ダイナミックな展示。
それが素直に受けとめられ、
生前の岡本太郎の活動を知らない人たちにまで、
強烈に感じとって貰えているのは嬉しい。

正面のテラスの奥に30メートルのシンボルタワー
「母の塔」が建っている。

ふっくらと白い肌を見せて、
大地に逞しく根をはり、
十六体の若い生命を体内から噴き出させて。

知り合いの女性が私のところに来て、
こんなことを話してくれた。

「川崎に行って母の塔を見てきました。
ほんとうにいいなあ、と思いながらゆっくりとまわりを廻って、見上げて。
どこから見てもドキドキするほど力強く、優しくて、離れ難い思い。

一本の脚に抱きついている小さな男の子がいたんですよ。
四つか五つでしょうか。
彫刻の肌にぴたとりと頬っぺたをくっつけて、耳もつけてるの。
その子が私を見ると、何か話しかけるんです。
小さい子なので何を言っているのか分からないんですけど、
興奮して、一生懸命にこちらに伝えたいのね。

ああ、こんな小さな子でも、感じているものがあって、
それをこんなに伝えようとしているんだなあ、
と思ったら、傍らを離れられなくて、しばらくその子とお話してきました」

写真
また別の人が、やはり母の塔のまわりを廻って見上げていると、
ダウン症のお子さんがいたそうだ。

その子も嬉しそうに塔を見上げていた。
彼女を見ると、ほらほら、あれを見て、あれ、と言うように、
彫刻の胸や肩についている人形の形を真似して、指さして見せる。

「うん、分かった。あれね」と相槌をうつと、
嬉しそうに笑いくずれて、もっとほかの人間の動きをしてみせる。

何ともいえぬ切実な表現力で、
人形の形をしては彼女に見ろとうながす。

「それをみたら、涙が出て、涙が出て、とまらなくなっちゃって……」
とその人は、私にその話をしてくれながら、
まあぽろぽろと涙を流して、笑った。

嬉しいではないか。
無条件な子どもたちに、
そんなふうに食い入り、合体する。
太郎もきっと嬉しいだろう。

それが岡本太郎なのだ。
ちゃんと子どもには通じている。

大人だって、おんなじ。
既成の概念や常識、固定観念、そんなカラをとっぱらって、
生きている素肌のままぶつかればいい。
誰にでも強烈な波動を伝えてくれるはずだ。



このエッセイを読んで、
今すぐ《母の塔》を見に行きたくなりました。
皆さんも「大地に深く根ざした巨木のたくましさ」と
「ゆたかでふくよかな母のやさしさ」、
「天空に向かって燃えさかる永遠の生命」をイメージして制作された、
《母の塔》の強烈な波動を感じてください。

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