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Shuichi Miyawaki talk ② “The produce is way of life, way of sing”

宮脇修一対談②「プロデュースは生きざま、唄いざま」

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フィギュア業界の風雲児として世界に名を轟かす、株式会社海洋堂の社長でありながら「センム」の愛称で親しまれる宮脇修一社長との対談です。

〈前回までは〉
宮脇修一①「日本には立体物を楽しむ文化って、ないですからね。」

今回は、「チョコエッグ」大ヒットのマジックについてお聞きしました。

海洋堂って「人格」として認知されているような気がする。

平野:「チョコエッグ」で食玩ブームに火がついたって聞いてますけど、当時はそんなにすごい状況だったんですか?

宮脇:「チョコエッグ」だけで3年間に1億5000万個も売れました。それでボクらはビルが建ったんですけどね(笑)。それはもう驚くほど…。

平野:なぜそんな現象が起こったんですか?

宮脇:けっきょくは「フィギュアにはお金は払わない」ってことなんですよ。チョコエッグという150円のチョコレートの中に精密な動物が入っていることはみんな知っている。で、欲しいのはもちろんチョコじゃなくて動物です。

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平野:そりゃ、そうでしょう。

宮脇:海洋堂はそれまでにも動物フィギュアをつくってました。でもね、それこそ何百個単位でしか売れなかった。

平野:えっ、そうなんですか? 数百がいきなり1億になったっていうこと?

宮脇:マジックは、まさにチョコレートのオマケだったっていうところ。フィギュアそのものにお金を出してるんじゃないっていうね。〝フィギュアがついてるお菓子〟なら自分を納得させる理由ができるわけです。

平野:なるほど。買う側に「オレはフィギュアを買ってるんじゃない」っていう言い訳を用意してあげたわけだ。

宮脇:結果的にそういうことだったんじゃないかと思いますね。

平野:それにしても、それだけ売れたってことは、フィギュアそのものの魅力に気がついたってことでしょう?

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宮脇:それはそうだと思います。海洋堂のフィギュアの本を出したときに荒俣宏さんが動物フィギュアについて解説を書いてくれたんですけどね、その中にみごとにフィギュアの特性を言い当てた言葉があるんです。「ヒットした原因は、小さくて精密でコレクタブルだったこと」であると。根付けもそうだけど、日本人は小さいものが好きでしょ?

平野:はい。

宮脇:そこが日本人の感性に受け入れられたんじゃないかと思いますね。それにプラスして、買ってチョコレートを割るまで何が出るかわからないっていう〝当てもの〟の要素が重なった。

平野:小さくて、精緻で、仕事が丁寧で、コレクタブル…。それって日本のありとあらゆる工芸品に言えることですよね。日本のモノづくりの原点っていうか…。

宮脇:そうですね。

平野:だとすると、当時チョコエッグで海洋堂のフィギュアに触れた人たちは、もしかしたら伝統工芸品を見るような目で見ていたのかもしれないな。

宮脇:ああ。

平野:そうだとしたら、高度な技術で精緻なモノを生み出す職人たちに対するリスペクトの感覚も芽生えたはず。日本人は伝統工芸を見るとき、背後にいる「匠」の存在を無意識のうちに感じているし、文化の伝承者としてリスペクトしますからね。

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宮脇:あのとき海洋堂という造形集団と松村しのぶという造形作家の名前をあえてお菓子につけたんですよ。本来なら知られるはずのない裏方の名前が明記されていたことで、「集めるに値するもの」という価値を感じてくれたのかもしれないですね。

平野:海洋堂って、もはやある種の「人格」として認知されているような気がするな。

宮脇:人格?

平野:そう。「海洋堂」って登記上の法人名に過ぎないけど、名前を聞いたときに脳裏に浮かぶイメージは、一般企業のような抽象的な「組織」じゃなくて、海洋堂という名前の「ひと」。企業名が本来的にもっているバーチャル感がなくて、リアルな存在感というか、暑苦しい感じっていうか…(笑)。

宮脇:(笑)それは嬉しいな。

平野:「強固な意志」の気配を感じるからじゃないかと思いますね。企業の論理より特定の美意識のほうが上位にあって、それはけっしてブレないだろうという安心感があるっていうか…。

宮脇:まあ、たしかに「経営合理性」なんて考えたことないですからね(笑)。

平野:そこですよ。海洋堂って、けっきょく宮脇さんの理念と美意識だけをよりどころに動いてる。宮脇修一の〝フィギュア観〟以外に行動原理は存在しない。そうでしょ?

宮脇:そうかもしれません。

平野:どこを切っても海洋堂。どこを切っても宮脇修一。金太郎飴。岡本太郎とおなじ。だから強いんですよ。



次回は海洋堂そのオリジナルな魅力ついてお聞きします。
お楽しみに。

宮脇修一対談③

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宮脇修一
1957年、大阪府生まれ。
ガレージキット黎明期から独自のフィギュア造形・製造技術を培い、
1999年に発売されたフルタ製菓「チョコエッグ」のおまけフィギュアが大ヒット。
同社に所属する高い造形力を持つ集団を率い、
様々なフィギュアをリリースし、世界的な評価を受けている。

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