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Shuichi Miyawaki talk ③ “The produce is way of life, way of sing”

宮脇修一対談③「プロデュースは生きざま、唄いざま」

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フィギュア業界の風雲児として世界に名を轟かす、株式会社海洋堂の社長でありながら「センム」の愛称で親しまれる宮脇修一社長との対談です。

〈前回までは〉
宮脇修一①「日本には立体物を楽しむ文化って、ないですからね。」
宮脇修一②海洋堂って「人格」として認知されているような気がする。


今回は海洋堂、その唯一無二の魅力についてお聞きしました。

暮らしのなかでフィギュアを愛でる文化を育てたいんです。

平野:海洋堂がフツーの会社と決定的にちがうと思うのは、「マーケティング」の概念を1ミリももっていないところ(笑)。宮脇さん、よく「お客さんに聞くんじゃなく、教えてあげようっていう〝超上から目線〟なんだ」って言ってますもんね。

宮脇:ボクらはマーケティングとか、何が世の中に受けるだろうなんていうことは考えません。太郎作品に取り組むときだって、「おまえらに岡本太郎を教えてやるよ」ってそういう姿勢で平野さんと組んでますから(笑)。

平野:はじめて宮脇さんと話をしたとき、「この人はマーケティングで商売していない。信念でやっている」ってことが直感でわかりました。この人なら新しい世界を見せてくれるかもしれないと思ったんですよ。本人を前にこんなことを言うのもナンだけど(笑)。

宮脇:(笑)

平野:で、つきあってみたら、思ったとおりというか。いや期待以上で、次々と新しいアイデアをぶつけてくれて、ぼくがもっていない感覚を開いてくれた。

宮脇:こっちも真剣勝負ですからね。

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平野:宮脇さんの頭の中には『比較優位』の概念がない。同業他社が何をつくっているか、とか、ライバル製品がいくらだからウチはいくらで、みたいなこと考えないでしょ?

宮脇:考えませんね。まったく興味ないし。

平野:いわゆるMBA型の分析的・科学的なアプローチとは真逆で、パーソナルな欲望が駆動原理になっている。宮脇さんの中にわき上がってきた「これをつくろう」「こういうものをつくりたい!」という情熱だけを信頼している。

宮脇:他のメーカーさんが出すようなものを海洋堂がつくる必要はないので。そういう意味では、うちのスタッフはボクの狂った部分を補完しつつ、一緒になって狂いながら、うまいこと現実に落とし込んでくれていますね。

平野:なるほど。〝狂いながら〟なんですね。睨んだとおり、やっぱり頭がおかしいんだ(笑)。

宮脇:たしかに海洋堂はボクの独裁国家だし、ビジネスというより表現者として製品をつくっていますからね。

平野:それってアーティストの態度ですよね。でも面白いのは、だからといって宮脇さんが「売れなくてもいい」なんてぜんぜん考えていないところ。むしろ逆で、売れるかどうかを真っ先に考えるし、売れると思うものしかつくらない。

宮脇:偉大なる二次元文化の国にあって、いままでずっとフィギュアは「取るに足らないもの」とバカにされてきたし、ボクらオタクも蔑まれてきた。それを少しでも変えたいんですよ。すべての家にフィギュアを送り込みたいし、暮らしのなかでフィギュアを愛でる文化を育てたいんです。

平野:日本に真のフィギュア文化を根づかせたい。そのミッションを達成するためには、売れないものをつくっても意味がないと。

宮脇:そうです。

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平野:岡本太郎生誕百年の展覧会ではじめてカプセルトイをつくろうとしていたときだったかな。宮脇さん、「フィギュアを社会に広めるため、突破する武器として岡本作品を使わせて欲しい」って言いましたよね。

宮脇:太郎さんの作品はとても強いし、ミニチュアにしたときの親和性がすごく高い。フィギュアの意味や価値を世の中に伝えるうえで、最高の素材だと思ったんです。

平野:それを聞いたときは嬉しかったな。

宮脇:普通なら「アホか!」って言われるところです(笑)。

平野:カプセルトイの企画を聞いたときも、じつは迷ったんですよ。「好きなものを選んで買ってもらえばいいじゃないか」って思ったから。

宮脇:よくわかります。

平野:太陽の塔を狙ってハンドルを回しても、たいがい別の作品が出てくるわけですからね。でも考えてみると、それって別に〝ハズレ〟じゃない。ティッシュが出てくるわけじゃなくて、まぎれもなく海洋堂がつくったフィギュアが入ってるんだから。

宮脇:(笑)

平野:クオリティを考えれば「これもいいじゃん」と思ってもらえるはず。つまり、カプセルを通して、知らなかった作品と偶然出会い、それが家に飾られるわけです。考えてみたら、それってすごいことですよ。

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宮脇:あのときは、どんなに売れても1万個くらいだろうと思ってたんだけど、けっきょく5万個つくっても足りなくて、7万個ぐらい売れました。「ざまあみろ」でした(笑)。

平野:(笑)

宮脇:世の中にいちばんたくさん岡本作品をバラまいたのはウチだってことに、ちょっと小さく胸を張ってます(笑)。

平野:宮脇さんは「フィギュアを社会に広めるために太郎を使いたい」と考えたわけだけど、ぼくはぼくで「岡本芸術を社会に伝えるうえで海洋堂の技術を借りたい」と思いました。なにしろ本や映像では逆立ちしても伝えられない「立体感覚」を家庭に届けることができるんだから。

宮脇:やはり日本では、立体物や彫刻は平面に比べて扱いが小さいし、評価もされにくいですもんね。

平野:主たるメディアが図録という「紙」だから、どうしても平面中心になるんです。

宮脇:立体作品は写真で見るしかないからな。

平野:立体を写真で見てもよくわからない。リアリティがないし臨場感がない。図録で見る立体って、実物とはまったくの別物です。でも、それは仕方のないことだっていう諦めみたいなものがあった。ぼくだけじゃなく、誰もがそうなんだと思います。みんな大きな声じゃ言わないだけで(笑)。

宮脇:なるほど。

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平野:立体の魅力や意味、ニュアンスを伝える術がアートの世界にはなかったんですよ。でも宮脇さんがミニチュア化してくれたおかげで、立体が家にもって帰れるようになった。図録とおなじようにね。これって、アートの世界観を社会に広げる革新的なメディアなのかもしれない。

宮脇:何万という数を送り出し、評価してもらえたのはすごく嬉しいです。岡本作品ってミニチュアへのシンクロ率がすごく高くて、お客さんの心をくすぐるんですよ。その意味では動物や戦車より強いかもしれない。

平野:最初、ぼくはそのあたりにまったく気がつかなかった。「この人、おもしろいし、ちょっと頭がおかしいからつきあってみよう!」って思っただけで(笑)。

宮脇:もっともっと調子に乗ってつくりつづけないとダメですね。やりたいことはまだまだ山のようにありますから。



次回は誰からも頼まれていないミッションについてお聞きします。
お楽しみに。

宮脇修一④

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宮脇修一
1957年、大阪府生まれ。
ガレージキット黎明期から独自のフィギュア造形・製造技術を培い、
1999年に発売されたフルタ製菓「チョコエッグ」のおまけフィギュアが大ヒット。
同社に所属する高い造形力を持つ集団を率い、
様々なフィギュアをリリースし、世界的な評価を受けている。

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