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Shuichi Miyawaki talk ⑤ “The produce is way of life, way of sing”

宮脇修一対談⑤「プロデュースは生きざま、唄いざま」

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フィギュア業界の風雲児として世界に名を轟かす、株式会社海洋堂の社長でありながら「センム」の愛称で親しまれる宮脇修一社長との対談最終回です。

〈前回までは〉
宮脇修一①「日本には立体物を楽しむ文化って、ないですからね。」
宮脇修一②海洋堂って「人格」として認知されているような気がする。
宮脇修一③
暮らしのなかでフィギュアを愛でる文化を育てたいんです
宮脇修一④ボクが大切にしているのは、フィギュアがいかにダメかを自覚する自覚力。

最終回ということで〝フィギュアづくりの秘密〟についてお聞きしました!

造形師の作風が絵画以上に立体物には出るものなんです。

平野:話は変わりますが、〝フィギュアづくりの秘密〟について教えて欲しいんですけど。

宮脇:なんでしょう?(笑)

平野:太陽の塔のミニチュアって当時からあったでしょう?

宮脇:いろんなバージョンが出回りましたね。

平野:でも、みんな形がぬるいじゃないですか。

宮脇:はい。

平野:海洋堂だけが別格。それって技術的になにがちがうんですか? ぼくは形がシンプルであるがゆえに、逆に難しいんじゃないかって睨んでるんですけど。

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宮脇:いま大阪芸大でフィギュアを教えているんですけど、生徒にまず「ウルトラマンを描いてみよ」って言うんですよ。

平野:へぇ。

宮脇:ウルトラマンもシンプルでしょ? でも、あの単純な卵形の顔がどれだけ難しいか。100人いたら100通りの顔になる。

平野:わかる。

宮脇:ウチで太陽の塔を担当したのは木下隆志という原型師です。彼は「世界一ウルトラマンが上手い男」なんですよ。20年くらい海洋堂にいて、本人はイケメンでええかっこしいで(笑)。だからなのか描く線もカッコいいんですね。

平野:(笑)

宮脇:制作者によって線のタッチがあるんですよ。熊のような人間だとやっぱりズングリムックリな線になるんです。

平野:へぇ。

宮脇:手塚治虫先生が太陽の塔を描いたら手塚タッチになるし、ドラゴンボールの鳥山明先生が描いたら鳥山タッチなりますよ。木下隆志が太陽の塔をつくれば、やっぱり木下のタッチが出るわけです。

平野:なるほど。

宮脇:造形師の作風が絵画以上に立体物には出るものなんです。

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平野:出来の悪いものは、見た瞬間に「ぜんぜん違うじゃん!」ってわかりますよね。おなじように、海洋堂のものは「そうそう! こうなんだよ!」と思う。それってどういうメカニズムなんだろう。

宮脇:シンクロ率の高さじゃないですかね。正確につくるのは当然だけど、そこにタッチというものがあって…。

平野:日頃ウルトラマンをつくっている、木下さんのニュアンスやテイストが封入されているっていうことですね?

宮脇:どうしても入りますね。

平野:でも見る側の普通の感覚で言うと、徹底して正確に再現しているように見えるんですけど。

宮脇:それはそうでしょうね。

平野:それってどういうことなんだろう?

宮脇:実は我々の頭に入っているイメージは現物と微妙に違っているんです。フィギュアを見たときに、頭の中にある脳内《太陽の塔》とシンクロして、「あぁ、これこれ!」となるんです。

平野:なるほど! 造形師は現物の太陽の塔を正確に再現するだけでなく、見る人の脳内イメージに合わせてつくっているってことですね。

宮脇:そうです。もちろんそれは計算なんかじゃありません。木下隆志がつくったらきっとそういう形になるだろうと信じて任せるんです。

平野:おもしろい! きっとそこが宮脇プロデュースの〝秘伝のタレ〟なんだな。

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宮脇:木下がつくるとカッコいい。でもカッコよすぎにはならない。トンガリすぎないってところが、木下の〝唄い方〟なんですよ。

平野:唄い方! たとえシンプルな形でも、デジタル的な精度の話とは次元のちがう〝唄い方〟を大事にしてるから共感したくなるんですね。

宮脇:超「正確無比」ではないところがポイントです。

平野:現物の太陽の塔ではなく、イメージの中の太陽の塔を表現するとかえって本物に見えるってことか…。すごいな。たしかに正確さだけが決め手なら、ドローン飛ばして3Dデータを収集して正確に再現すればいい。でもそれだと愛着がわかないのかもしれない。

宮脇:たとえばTAMIYAのプラモデル。実物の12分の1スケールのポルシェって模型がありますけど、TAMIYAさんのすごいのは、より平面にするとか、アレンジを相当入れているところ。かなりデフォルメされてます。

平野:へぇ。

宮脇:いままでそういうことを言わなかったのは、それが美徳とされてきたから。でもボクらは「やってます。やらなければ本物に見えないでしょ?」って言っちゃってます。

平野:そこが肝ですもんね。

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太陽の塔 1/350(2010.09)


宮脇:太陽の塔だって、スキャンしてそのまま出力すれば正確無比なものがつくれる。でもそれじゃ単なる〝コピー〟ですよ。

平野:コピーと模型はちがうと。

宮脇:ちがいます。

平野:本物の模型とは、造型師の美意識とか意思とかセンスとかを織り込んで、対象をアレンジして〝唄った〟ものであるという意味ですね?

宮脇:そのとおりです。

平野:対談の最初におっしゃっていた「立体物をもつのはストレスだ、なぜならそこに魂が入っているから」っていう話とおなじですね。造形師の魂がアレンジに乗っているってことですね。

宮脇:我々のタッチは生きざま、唄いざまなんですよ。おなじ歌を唄うにしても、いろんな歌手がいますね。今回の歌を誰が唄えばおもしろいのか? 誰に唄わせて踊らせるのか? それを考えるのがプロデュースするボクの役割ってことなのかもしれない。

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平野:スキャナーで計測してプリンターでつくったような〝コピー〟には魂が乗っていない……そうなのかもしれませんね。ただの「物(ぶつ)」に見えるのかな?

宮脇:無機質なものに見えるでしょうね。アニメでいえば、宮崎駿の鉛筆のジブリタッチと3DCGのタッチの差というか。CGはよくできてますし、それを全否定するつもりはさらさらないのですが、ぼくらはジブリ作品の、宮崎駿の圧倒的な才能が勝っている部分を信じたいんです。もちろんピクサーもすごいですよ。でも海洋堂の目指す生きざまとかつくりざまは、宮崎駿の鉛筆の線のようなモノづくりです。

平野:ああ、おもしろかった! 海洋堂の秘密が1ミリだけわかったような気がします。

宮脇:(笑)

平野:ありがとうございました! 引き続きよろしくお願いします。

宮脇:こちらこそ。ありがとうございました。

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宮脇修一
1957年、大阪府生まれ。
ガレージキット黎明期から独自のフィギュア造形・製造技術を培い、
1999年に発売されたフルタ製菓「チョコエッグ」のおまけフィギュアが大ヒット。
同社に所属する高い造形力を持つ集団を率い、
様々なフィギュアをリリースし、世界的な評価を受けている。

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