未分類

Shingo Honda talk ② " The comics more than hollywood movies "

本田真吾対談②「ハリウッド映画を超える漫画を」

P1630391

モンスターパニック漫画『ハカイジュウ』 が大好評連載中の漫画家・本田真吾さんとの対談です!

〈前回までは〉
本田真吾①「実際に目の前で見たとき、本当に感動したんです」

今回は本田さんが感じた太陽の塔の魅力についてお聞きしました。

太陽の塔の違和感って、ものすごいですもんね。

平野:ありがたいことに、これまでも力のある漫画家が太陽の塔を描いてくれました。藤原カムイさんの《福神町綺譚》、浦沢直樹さんの《20世紀少年》、タナカカツキさんの《みんなの太陽の塔》などで、今度は《ハカイジュウ》。

本田:すべてタイプが違いますね。

平野:そこがまた嬉しいところです。本田さんは、なぜ太陽の塔を描こうと思われたんですか? どこに惹かれたんだろう。

本田:なんといっても、かつて見たことのないものだっていうことが大きいですね。なにかに似てるかって聞かれても、答えられないし、類似品もない。

平野:どう見ても洋モノじゃないし、かといって和風でもないですからね。

本田:ほんとにそうですね。

平野:そもそもね、太陽の塔って言うけど、「塔」じゃないだろ? って思うわけです。どう見ても「像」じゃないかと。

本田:《太陽の像》!

平野:巨大な像って、世界にたくさんありますよね。アジアには大仏像、日本にも観音像がいろいろあるし、リオには有名なキリスト像がある。レーニン像や金日成像みたいなものも世界中にあります。

本田:はい。

平野:それらはいずれもある条件を満たしています。じつにシンプルなことだけど…

本田:なんだろう?

平野:それがなんであるかが「見ればわかる」こと。逆にいえば、わからなければ立っている意味がない。ところが太陽の塔はその最低条件を満たしていないんです。

本田:たしかに!

_P1630350
平野:こんな巨像はおそらく世界に1つしかないはずです。

本田:以前、漫画に牛久大仏っていう120メートルくらいの大仏を登場させたことがあったんですけど、それをじっさいに見たときよりも、70メートルの太陽の塔のほうがインパクトは上でした。パワーがあるっていうか、ほんとうによくつくったなって。

平野:しかも、なんだかよくわからないにもかかわらず、税金でつくられてますからね。

本田:そうなんですか?

平野:よくそんなことができたと思います。いくら万博が国をあげてのお祭りだとしても、いまでは到底許されないでしょう。

本田:そうでしょうね。

平野:時代の空気と岡本太郎の奇跡的なマリアージュです。太郎は政治的に動く人ではないので、情熱と使命感で突破しようとしただけだったけど、社会にそれを受け止めるだけのおおらかさがあった。

本田:丹下健三さんの大屋根に穴を開けた話も強烈ですよね。

平野:大屋根は、幅108メートル*長さ290メートルもある巨大な架構物ですが、たんなる〝大きな屋根〟ではなく、未来の『空中都市』のプロトタイプでした。

本田:ただの雨露をしのぐ屋根ではなかったんですね。

平野:内部に人が住むための居住空間の提案です。大屋根の本質は、「屋根」ではなく「床」のほうなんですよ。

本田:知らなかったな。

平野:じっさい3ヘクタールもの「床」が、6本の柱で地上30メートル上空に浮いていた。技術が進めば人は空中にも住める、空中に都市をつくれる、というプレゼンテーションだったわけです。

本田:それはすごい。万博の大きな見せ場だったでしょうね。でも、そこに太郎さんが乱入してきて、たいへんなことになってしまった。

平野:でもね、太郎が力で大屋根をねじ伏せたとか、スターになるはずだった大屋根を踏み台にして主役の座を奪った、ということではぜんぜんないんですよ。これ、誤解している人がすごく多いけど。

本田:はい。

平野:太郎は自ら打ち立てた芸術思想を「対極主義」って名づけていたんだけど、それは、対極にあるものがぶつかりあう火花の中にしか新しい芸術は生まれない、というもの。中途半端なカクテルをつくらず、大きな矛盾を矛盾のままぶつけろ、みたいなことを言ってるんです。

本田:安易に融合させるような、生ぬるい解決をするなってことですね。

P1630376
平野:で、目の前に大屋根があった。大屋根が訴えていたのは、けっきょくのところ「産業や技術が進めば、社会はもっと便利になる、人はもっと幸せになる」っていう近代思想(モダニズム)です。

本田:太陽の塔は真逆ですもんね。

平野:まったく逆の価値観を全身で放射してますよね。そういうものをあえてもちこんで、バーンとぶつける。両者が火花を散らせる。太郎にしてみれば、そうでなければ芸術にならないし、大屋根を生かすこともできない。

本田:そうか…。

平野:ぜんぜんケンカなんかじゃないんですよ。逆です。あれは太郎の芸術思想の発露であり、先にあった大屋根をどうすれば生かせるかを考えた末に編み出した太郎の答えです。

本田:大屋根から頭を出す太陽の塔の違和感って、ものすごいですもんね。だけどそれが逆に調和しているというか…。

平野:太郎は、互いにバーンとぶつかりあった先にしか真の調和は生まれないと言ってます。調和とは「互譲」ではないと。

本田:なるほど。

平野:いま本田さんがおっしゃったように、大屋根と太陽の塔が対峙するあのシーンこそ、太郎の考える「調和」だったと思います。それは、テーマプロデューサーとして、万博のテーマ「人類の進歩と調和」を表現するためだったのかもしれない。

本田:おおっ!

平野:「もし太陽の塔がなかったら」を想像すると、あいつの果たしていた意味がわかります。たんに景観上のシンボルを失うだけではなく、大阪万博がもつある種の〝インテリジェンス〟まで失ってしまう。

本田:たしかに個性もなくなるし、それまでの万博との差異も消えちゃいますね。

平野:逆にいえば、あれ一発で、大きくちがう展開にジャンプしたっていうことです。

本田:すごい!



次回は「ハカイジュウ」ヒットの秘密についてお聞きします!
お楽しみに。

本田真吾③

_P1630335
本田 真吾

漫画家。
2005年月刊少年チャンピオンで「卓球Dash!!」で連載デビュー。
その連載中同時に漫画アクションにて「脳内格闘アキバシュート」も連載。
現在「ハカイジュウ」が月刊少年チャンピオンにて連載中。
また日本文芸社からホラー漫画「切子」が発売中。

Articles

Special Feature

Channel Taro TV

Read More
:: March 21, 2017

《門扉》制作風景

Read More
:: November 30, 2016

《樹人》制作風景!

Read More
:: August 3, 2016

《五大陸》制作