Repos

Sachiko Nagata Hamon performance report

永田砂知子 波紋音演奏レポート

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現在開催中の企画展「岡本太郎の沖縄」の映像展示の音楽にご協力頂きました、
パーカッション奏者の永田砂知子さんによる演奏イベントが開催されました!

永田砂知子さんは鉄製の楽器「波紋音」の第一人者です。

波紋音のスリットから流れる音は、
忘れ眠っていた日本人の音色のように心地よく迫ってくるものでした。

《歓喜》の即興演奏は、降り出した雨音に対峙し、またとけ込むように記念館の庭に響きわたりました。

以下、抜粋ですがお聴きください。



「波紋音の演奏」



「《歓喜》の演奏」

 

「波紋音」という呪術

永田砂知子の「波紋音」を体感し、その始原の響きに息を呑んだ。
これまで聞いてきたどんなジャンルの音楽にも感じたことのない感覚だった。
西洋音楽はもとより、雅楽とも民族音楽ともありようがちがう。
ひとことで言えば、〝見えない力〟がすべてを決めている、そんな呪術的な気配に満ちているのだ。
岡本ワールドとの不思議な同期は、「波紋音」のもつそうした縄文的な相貌に由来するのだろう。

「波紋音」がおもしろいのは、つねに楽器全体が鳴っているところだ。
ピアノにしろギターにしろ、西洋の楽器はアクションと出音が1:1でリンクしている。
そうでなければ楽譜どおりに演奏できないし、再現性も担保されない。
鍵盤のドを弾けばかならずドが出る。ド以外は出ない。
じつに工業的で科学的だ。
この合理思想がグローバルスタンダードとなって現在の音楽の枠組みを決めている。

だが「波紋音」はちがう。
鉄球の表面に亀裂を入れただけなので、どこを叩いても全体が共鳴しあい、奏者の意図とはほぼ無関係に〝すべて〟が鳴ってしまうのだ。
どんな共鳴音が出現し、どんなサウンドにふくらむかは、叩いてみるまでわからない。
奏者といえども、出音を厳密にコントロールすることができないのである。

西洋の音楽は、人間が自在にコントロールすることを前提にしているし、
楽器はそれを可能にする道具として設計される。
人が楽器を支配し、音楽全体を統制するという思想だ。
対して「波紋音」は人間による全面的な統制を許さない。
西洋文明の常識から大きく外れている。
だからそれを無邪気に信ずる者とは心理的なコンフリクトを起こす。
じっさい「なぜ鍵盤のように〝ドレミ〟にしないのか」と質問されることがよくあるらしい。

永田はなにも支配しない。ただ「波紋音」から〝いただいて〟いる。
自然を畏れ、敬い、溶けあって生きていた狩猟の民が、神の恵みをいただくように。
この〝いただく〟というふるまいが、縄文の感性を想起させるのだろう。

〝見えない力〟に呼びかけるのが呪術だ。
岡本太郎はそう言った。
永田砂知子がやっているのは、音楽というより呪術なのかもしれない。

岡本太郎記念館館長 平野暁臣

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