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Shingo Honda talk ④ " The comics more than hollywood movies "

本田真吾対談④「ハリウッド映画を超える漫画を」

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モンスターパニック漫画『ハカイジュウ』 が大好評連載中の漫画家・本田真吾さんとの対談です!

〈前回までは〉
本田真吾①「実際に目の前で見たとき、本当に感動したんです」
本田真吾②「太陽の塔の違和感って、ものすごいですもんね」
本田真吾③「ダメだったら速攻で終わらせる覚悟で(笑)」


今回は漫画家という職業とその歓びについてお聞きします。

時間をかけられるなら、どこまでも細かく描きたいですね

平野:漫画家って特別な能力が必要だと思うんですよ。とうぜんながら絵が描けなければならないし、物語を組み立てる力も要求される。

本田:そうですね。

平野:描画とロジックの双方について、ともに抜きん出た才能が求められる。ふつう、才能があったとしてもどちらかですよ。右脳と左脳で違うものだし。

本田:原作と作画で仕事を分けている人もいますけどね。

平野:ぼくの時代だと、梶原一騎と川崎のぼるのコンビによる《巨人の星》がそうでした。でも、たいていの漫画家はひとりで両方やってるでしょ?

本田:はい。

平野:よくできるなと思って。

本田:ぼくもそう思います(笑)。アメコミの人なんかは、「日本の漫画家はクレイジーだ」って言っているみたいですね。

平野:ひとりで両方やっているから?

本田:それどころか、アメコミって、下書きの人、ペン入れの人、フキダシを描く人…っていうふうに、すべてが分業化されているみたいなんです。

平野:へえ、工場みたいだな。

本田:いわばベルトコンベアですね。日本ではそのすべてをひとりでやり、かつ週刊連載をこなしている。それが信じられないって。

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『ハカイジュウ』
平野:漫画の制作現場って、世間に流布されているパブリックイメージでいえば、封建時代の丁稚奉公的な、3K職場の典型みたいに言われることが多いと思うんですけど、じっさいはどんな感じなんですか?

本田:まあ、でも、そのとおりですよ。地味な世界だし、キツイ仕事です。

平野:それでもみんな一生件懸命やってるわけですよね。きっとそれに見合うだけの快楽があるに違いない。そうでなければ続かないと思うんです。

本田:そうですね。

平野:それってなんですか?

本田:ぼくはプロの漫画家としてやらせてもらっていて、自分である程度好きな絵を描いて、それが完成したときには達成感やカタルシスが得られるんですけど…

平野:アシスタントの方は?

本田:アシスタントは、たとえば、ぼくが「これ描いて」っていうような感じで背景を頼んで、できあがったらチェックして「はいオーケー」みたいな…。

平野:「よくやった! すごいじゃないか!」みたいなことは言わない?

本田:言わないですね。うーん、そういえば、みんなよくやってくれているな…。

平野:(笑) 本田さんだって、最初はアシスタントだったんでしょ?

本田:そうです。

平野:キツイ仕事に耐えられたから、つまりなんらかの快楽や歓びがあったから、いまこうなっているわけですよね?

本田:そっか、そうですね。きっと根本的に描くことが好きなんだと思います。だから他の仕事やバイトをしているときに感じる不毛感、「この時間、なんなんだろう?」みたいなことがぜんぜんない。

平野:いくらでも描いていられる?

本田:はい。いま思い出しましたけど、アシスタントに入ったときにも、「あ、オレ、寝ないでずっと描いていられるな」って思った。

平野:描くこと自体が楽しいと。

本田:そうですね。もし一日が40時間あったら、チマチマと細かいところを納得するまで延々と描いてると思います。じっさいには24時間しかないし、締め切りもあるので、そうはいきませんけど。

平野:妥協点を見つけてちゃんと間に合うように仕上げるのがプロですもんね。

本田:時間をかけられるなら、どこまでも細かく描きたいですね。

平野:それって、根っこにはなにがあるんだろう?

本田:根暗さじゃないですかね。

平野:(笑) 人に見てもらえなくても楽しいものですか?

本田:ぼくの場合は、職業漫画家としてちゃんと仕事としてやらないとモチベーションが沸かないというか…

平野:そうですよね。やっぱり「多くの人に見てもらいたいし、多くの人に伝えたい」っていう熱量がないと、強度のある作品にはならない。

本田:そう思います。

平野:こどものころから漫画を描くのは好きだったんですか?

本田:ラクガキ程度ですけど、《キン肉マン》を模写したりしてました。

平野:しっかりとした「漫画」を描いたのはいつ頃から?

本田:高校を卒業してからです。

平野:それって、もしかして漫画家としては遅咲き? そうでもないのかな?

本田:遅い方だと思います。中学、高校くらいから描いている人が多いですから。ただ、そこからはわりと早かったと思います。専門学校に1年間通って、20歳のころにはもう描けるようになっていました。

平野:なるほど。《ハカイジュウ》に話を戻しますけど、これっていわば「誰も見たことがない世界」を読者に提供しているわけじゃないですか。

本田:はい。

平野:読者は「どれだけ現実から離れているか」という部分に惹きつけられるんだと思うんですけれど…

本田:いかにあり得ないことが起きているか。

平野:ところが一方では、読者がもっている想像力の範囲の外に完全に出ちゃったら、きっと共感されないと思うんです。

本田:そうだと思います。

平野:あり得ない状況を目指してできるだけ遠くにジャンプしなければならない、ただし読者がリアリティを感じる範囲内にとどまっていなければならない。これって矛盾でしょう?

本田:すごく難しいところですね。

平野:ギリギリのラインを狙っていくんでしょうけど。

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『ハカイジュウ』


本田:《ハカイジュウ》の場合は、まず主人公の日常を、まるで普通の少年漫画のように描いていきました。

平野:青春漫画みたいに?

本田:そうです。っていうところから、一気にガッ!と反転させたんです。

平野:読んでいる人にいったん感情移入させておいて…

本田:そこに「わぁ、なんか出てきた!」って体感させる。

平野:それは意識的に?

本田:そうです。編集者にアドバイスをもらったり、取材に行ったりもしながら。基本的に、漫画に登場する場所にはすべて行きます。

平野:すごい!

本田:風景などをリアルに描くってことがとても大切だと思っているので。

平野:たしかに現実の風景、身の回りの世界にいきなりバケモノが出てきたらドキドキするもんなぁ。

本田:そうなっていれば、バケモノがどんな感じになっていようが、ベースがしっかりしているので…

平野:空想の世界だとしても、いや、そうであるからこそ、リアリズムを徹底するっていうことですね。そういえば、怪獣が壊す東京タワーやコンビナートもリアルだもんなあ。

本田:そこが適当だと「なんだ?この世界は?」っていう話になっちゃうので。だから舞台はファンタジーの世界にしないで、現実の、現代の場所にしているんです。



次回は本田さんなりの読者を喜ばせるための工夫ついてお聞きします!
お楽しみに。

本田真吾⑤

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本田 真吾

漫画家。
2005年月刊少年チャンピオンで「卓球Dash!!」で連載デビュー。
その連載中同時に漫画アクションにて「脳内格闘アキバシュート」も連載。
現在「ハカイジュウ」が月刊少年チャンピオンにて連載中。
また日本文芸社からホラー漫画「切子」が発売中。

 

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