未分類

Shingo Honda talk ⑥ " The comics more than hollywood movies "

本田真吾対談⑥「ハリウッド映画を超える漫画を」

p1630320

モンスターパニック漫画『ハカイジュウ』 が大好評連載中の漫画家・本田真吾さんとの対談最終回です!

〈前回までは〉
本田真吾①「実際に目の前で見たとき、本当に感動したんです」
本田真吾②「太陽の塔の違和感って、ものすごいですもんね」
本田真吾③「ダメだったら速攻で終わらせる覚悟で(笑)」
本田真吾④「時間をかけられるなら、どこまでも細かく描きたいですね」
本田真吾⑤「この《ハカイジュウ》をはじめたときも、完全に博打でしたから


最終回は知られざる本田さんの性格について暴きます!

朝、起きられないし、通勤はすごく嫌だし…

平野:本田さんは自分が日本人であるっていうことを意識することはありますか?

本田:特別に意識することはないけれど、日本人でよかったとは思いますね。

平野:なぜ?

本田:漫画を仕事にできたのは日本人だからっていうことがあるので。日本に生まれていなかったら、はたしていまごろどうなっていたかと…(笑)。

平野:(笑) 自分の生み出した作品を見て、「あ、オレはやっぱり日本人だな」って思うことは?

本田:どうかなあ…。

平野:ハリウッド映画に負けないような漫画をつくりたいっていう話があったでしょ? 「ほんとはアメリカ人に生まれたかった」っていうコンプレックスみたいなものが創造のエネルギーを支えているのかもしれないと思って。

本田:ハリウッド映画は好きだけど、だからといってアメリカ人になりたかったとは思わないですね(笑)。日本人ならではの表現でハリウッド映画を超えるものをつくりたいと思っているんです。

平野:なるほど。

本田:やっぱり日本人じゃないと、読者の心に響かないと思うんですよね。アメリカナイズされるだけでは日本人の読者はたぶん共感できない。そこはやっぱり日本人の魂みたいなものが必要なんじゃないかと。

p1630339
平野:アメコミって日本の漫画とぜんぜん違いますもんね。

本田:なんでこんなに違うんだろうっていうくらいにね。

平野:アメリカの漫画って、ちっともおもしろくないし。

本田:読みづらいんですよね。コマの連続っていうよりは、イラストの中にフキダシをつけているっていう感じだから、テンポも出ない。

平野:あれを見ると、日本の漫画がいかに緻密で、細かいところにまで気を配っているかがよくわかります。

本田:ちゃんと読者の目線を誘導するようにコマづくりをしていますからね。

平野:それに、なんといっても日本の漫画には臨場感がありますよね。それはきっと技術のファクターが大きいはずだから、アメリカも学べばいいのにね。

本田:(笑) アメリカはフキダシの中の文字を横に読むでしょう? その違いもけっこう大きいらしいですね。

平野:なるほど。ぼくは縦書きで育ってきたから、横書きが合わないのかな。たしかに目の追い方が変わると、あらゆるものが違って見えるのかもしれない。

本田:ページの開き方も違いますしね。

p1630401
平野:本田さんはどんなふうに育ってきたんですか? こども時代は?

本田:インドアで…。ファミコンとかを買い与えてもらえなかったので、いつも絵を描いているようなこどもでした。

平野:小さい頃から絵が好きだったんですね。

本田:絵も描いたけど、紙に線をひたすら引いて、あとでその線を数えたりもしました。「五万本だ!」とかって。

平野:やっぱり変わってたんだ(笑)。

本田:そういうところはいまもあって、たとえば単行本にするときに、どこまでも直したくなっちゃうんですよ。細かい濃淡をつけたりとか…。

平野:それって単純に完成を目指す行為とはちょっと違いますよね。連載時に完成作品として発表しているわけだから。

本田:そうです。描いていると落ち着くというか…。

平野:そういうところもちょっと太郎に似てますね。

本田:あ、そうなんですか?

平野:太郎って、平気であり得ないことをするんですよ。ふつう油絵は完成するとサインを入れておしまいにするんですけど…

本田:はい。

平野:とうぜんですが、完成して発表した作品には触っちゃダメ。個展の図録に載ったり、絵ハガキが売られたり、海外の展覧会に出品した絵に、あとから気分次第でグリグリ描いちゃダメ。小学生でもわかることですよね。

本田:(笑)

平野:太郎作品には、行方不明の絵がけっこうあるんですよ。古いものに多いんだけど、図録や写真が残っているのに作品がない。それが…最近になって驚くべき発見があったんです。修復の調査かなにかで、晩年の荒っぽい未完成の絵のX線写真を撮ったら、その下に「どこに行ったんだろう?」ってみんなが探していた作品が写っていた。
海外の美術展に出品して賞をもらった作品です。

本田:(爆笑)

平野:そんな自信作の上にグリグリ描いちゃうとは、どういうつもりなんだって、それを見たときは絶句しました。

本田:(笑) まったくの別モノになってるわけでしょ?

平野:そうです。そういうケースもあるし、完成作品にちょっとだけ手を加えちゃったっていうものもある。

本田:(笑)

平野:「なにこれ? ニセモノ?」みたいな話になるわけです。

本田:図録に載ってるのと違う!(笑)。

平野:けっきょく太郎には「完成」という概念がないんですよ。

p1630400
本田:ぼくも過去の作品を見ると無性に描き直したくなりますね。

平野:やっぱり!

本田:でもさすがに描き直しても単行本には反映されないので…(笑)

平野:本田さん、ひとつどうでしょう。掲載とか仕事とか関係なく、一枚、絵を描いてみましょうよ。10年かかってもいい、くらいの気持ちで。

本田:気になったら足していって…。

平野:そう、そう。気が済むまでやる。きっと素晴らしいアート作品になると思いますよ。

本田:やってみようかな(笑)。

平野:ところで本田さんは、いつごろ漫画家になりたいと思ったんですか?

本田:憧れはずっとあったんですけど、なれるわけないと思っていて。それでけっきょくはサラリーマンになるんだろうなと生きてきたんです。でもよく考えたらサラリーマンにもなれそうになくて…。

平野:なんで?

本田:朝、起きられないし、通勤はすごく嫌だし…。

平野:(爆笑)

本田:大学受験のときに、「さぁ勉強するぞ」って机に向かうんだけど、絵を描くという現実逃避に走って…。

平野:典型的な〝ダメな子〟じゃないですか(笑)。

本田:そうなんです。ただのダメ人間なんです。現実逃避で絵を描いていたのを勘違いして「これだ!」って。

平野:それで専門学校に。

本田:そうです。

平野:じつは漫画家を目指している若い子たちに「ぜひ、アドバイスを!」って言おうと思ったんだけど、止めといたほうがいいかな(笑)。

本田:ぼくを見習ってもなんにもなりません!(笑)。

平野:(爆笑)

本田:しかもぼくは、中学生や高校生のころ、すでに漫画家にはなれないと諦めていて、「じゃあ、なにになれるだろう?」って考えたあげくに「アシスタントになりたい」って思った人間ですから。

平野:最終目標がアシスタント?

本田:アシスタントって、和気あいあいとしていて、楽しそうだなって思ったんです。

平野:部活みたいに?

本田:暇なときはみんなでゲームしたり、無駄話で盛り上がったりして…。そういうのに憧れていて「アシスタントになりてー」って思ってたくらいなんで、ぜったいにぼくを見習わないでください(笑)。

平野:あー、ほんとにどうしようもないヤツだなあ(笑)。で、けっきょくアシスタント生活は、楽しい部活みたいな楽園だったんですか?(笑)

本田:地獄でした(笑)。ゲームなんてする暇なんてまったくないし。

平野:そりゃ、そうでしょう(笑)。でもいまの部分だけ聞くと、野心のないダメ人間に聞こえるけど、おなじ人が「ハリウッド映画でさえ表現できない漫画をつくりたい」って言ってる。この落差がものすごくおもしろい。

本田:野心があるんだかないんだか…。いつのまにか色気づいてきたんですね。

平野:(笑)

本田:やっていくうちに自信がついてきたというか…。

_p1630350
平野:見方を変えれば、本田さんっていままで大きな挫折をしてないんですよね。

本田:なにせ身近なミッションをこなしてきただけですから(笑)。

平野:大きな夢を抱いてないからね(笑)。アシスタントになりたかったくらいだし。

本田:目標を身近なところに設定して、それに向かって全力でこなしていくっていう…。

平野:いまこうやって笑いながら冗談みたいに話しているけど、じつはこれってけっこう大切なことかもしれない。だって世の中の大人が言うことはふつう逆ですからね。「大きな夢を持て」「挫折が糧になる」って。

本田:ぼくはそうじゃなくていいと思ってます。

平野:いや、ほんとにそうだ。いままでにないアドバイスをありがとうございました(笑)。今日はメチャクチャ楽しかったです。

本田:ぼくも楽しかったです。ありがとうございました!

_P1630335
本田 真吾

漫画家。
2005年月刊少年チャンピオンで「卓球Dash!!」で連載デビュー。
その連載中同時に漫画アクションにて「脳内格闘アキバシュート」も連載。
現在「ハカイジュウ」が月刊少年チャンピオンにて連載中。
また日本文芸社からホラー漫画「切子」が発売中。

Articles

Special Feature

Channel Taro TV

Read More
:: March 21, 2017

《門扉》制作風景

Read More
:: November 30, 2016

《樹人》制作風景!

Read More
:: August 3, 2016

《五大陸》制作