Repos

Tatehana Noritaka interview

「呪力の美学」舘鼻則孝インタビュー

_p1650265

舘鼻則孝さんが岡本太郎とぶつかりあう展覧会、
「舘鼻則孝 呪力の美学」が11月3日よりスタートしました!

PLAY TAROでは舘鼻さんに展覧会への思うをお伺いしてきました。

-まず「呪力の美学」にはどのような思いを込められたんですか?

舘鼻:「呪力」っていうのは太郎の言葉ですね。「美学」っていうのは太郎の視点で物事を見てみたらどういう感じになるか?ぼくの意識でもあるんです。太郎がどういう思考だったのかを覗いてみようと思って。太郎のDNAに触れるというか…。

-なるほど。今回、全館ジャックという試みですけれど、これは舘鼻さんからのアイデアなのですか?

舘鼻:そうですね。全館ジャックしないほうが楽じゃないですか?(笑)今回、平野館長から出されたテーマが「太郎とのコラボレーション」だったんですけど、もう亡くなられている方なので厳密にコラボレーションとは言えないんですけど…

p1650190
舘鼻:普通のコラボ-レーションだと考えると、もっと寄り添う感じだと思うんですよね。でもぼくはもっとぶつかりあう感じにしたかった。たとえばですけれど、物理学的に考えると元素と元素をぶつけあったときにはじけ飛んだものが新しい元素として発見されるのと同じように、思い切りぶつかったときにどうなるのか?というのを自分でも見てみたかったんです。

-ビジュアルとしてもそれは感じました。舘鼻さんのイメージとはまた違うというか…

舘鼻:「いつもの舘鼻とは違う」っていうふうに思ってもらえたら嬉しいですね。太郎でも舘鼻でもない。両方の息吹を感じるようなものにしたかったので。

p1650181
舘鼻:「赤い部屋」の作品は生命力がわき出るような、未来をつかみ取る手。「手」は太郎の作品の中でも象徴的なモチーフです。

p1650186
舘鼻:骸骨がある「黒い部屋」は、死・過去です。実際に太郎さんの、生前の映像と肉声とともに過去を振り返ってほしいと思って…太郎さんって不死身感があるじゃないですか(笑)。死んでいるのに、いるっていうか。

p1650176
舘鼻:もちろん記念館に来たらそれは誰しもが感じることなんですけれど、実際に声を聞いたり映像を見たりするっていうことはお客さんにとってもレアなことだと思うんです。そういうことを通してもう一度、過去を見つめてほしかったし、死を見つめてほしかったんです。

-映像や肉声がそういったことを思い起こさせるような装置ということですね?

舘鼻:そうなったらいいなと思ったんです。あの部屋に入ると、そういうものにフォーカスされる。見ているものは骸骨ですしね。

-わたしもあの空間にいると離れがたいというか、しばらく居続けてしまいました。



舘鼻:技術的な話ですが、サラウンドスピーカーを使って声に包まれるようにしたんです。太郎に囲まれて動けないような感じにして(笑)、それで誰しもにいつか訪れる死から逃れられないような感覚を抱いて欲しかった。

p1650168
舘鼻:この骸骨の作品は3.11からつくりはじめたシリーズなんです。あれは自分の身体をスキャンしてつくったものなんですけど、大地震をきっかけに自分自身の死を見つめてあのような作品をつくろうと思いました。今回、太郎を見つめるっていうことは、ある意味、ぼくにとっては死を見つめることでもあったんです。

-なるほど。

舘鼻:この2つの部屋を結んでいるのが橋っていうのがいいなと思って。部屋と部屋が普通の廊下で結ばれているんじゃなくて“宙を歩く”っていうことが、ストーリーとして「生と死」であったり「過去と未来」を行き来するような。

-幽体離脱したような?

舘鼻:そういう視点で見てくれたらいいなと思って。

-1階のアトリエにある作品についてはどのような思いでつくられたんですか?

舘鼻:ぼくの中ではオマージュです。お供えものみたいな(笑)、そういう意識です。

p1650162
-赤い部屋の、あの銀色たちの存在感ってちょっと度肝を抜かれました。

舘鼻:あれ鏡の塗装なんです。来てくれたお客さんが映り込んだり、いろんなものが映り込んで…「黒い部屋」で過去や死を見つめるのと同じように、「赤い部屋」でも鏡としてお客さん自身も自分を見つめるような感覚になってほしかったんです。

p1650185
-動きが出るからいいですよね。

舘鼻:生命力をテーマにしているっていうのもありますけど、いろんなものが映り込むことによって作品も動いているように見えるというか…

-なるほど!舘鼻さんと太郎が拮抗するパワーの他にも、お客さんもそこに?

舘鼻:そうですね。今回はアトラクティブな作品にしたかったというか、お客さんも作品の中に取り込むような。両方の部屋ともそうなんですけど、胎内のように包まれてほしい。外から傍観しているんじゃなくて、中に入るような感覚を持ってほしかったっていうのはありますね。

-これらの作品の構想には2年弱の時間を費やされたということですが、それだけ要するほど太郎のパワーは強靱でしたか?

舘鼻:会場として難しいというのもありますね。ただ単純に作品を持ってくるだけでは成り立たないですし、太郎に寄りすぎても、自分に寄りすぎてもダメだと思ったんです。

p1650236
舘鼻:言葉が合っているかわかりませんが、お互いが自分を捨てるというか、自分を違うものにしないと成り立たないんだろうなとは思いました。だからそういう意味ではぼくも太郎になりきって、太郎もぼくになりきらないと、この空間では成立はしないんじゃないかと。

-わたしは拝見して、想像していたよりも“太郎”っていう感じで、驚きました。

舘鼻:それがよかったですね。なんというか、太郎の存在自体をうまく編集できたというか…完成して記念館に設置したときに、自分でも太郎でもない作者が存在して「作品になったな」という感覚を覚えました。

p1650274
舘鼻:ぼくは10代の頃から世界で活躍することを目指して、海外に憧れて、太郎も海外に憧れて、ぼくの場合は海外に出るためには日本のことを知らないとダメだなと思って日本回帰したんですけど、太郎の場合は、実際にパリに行って、滞在して制作をしました。

-お互い海外に憧れていたんだけど、アプローチが違ったっていうことですよね?

舘鼻:太郎さんは向こうに染まりたかったと思うんですけど、ぼくの場合は日本に染まったわけで…今回、舘鼻と太郎がぶつかりあうことは、西洋と東洋がぶつかりあうことにもなったと思うんです。

-それが作品に表現されていますし、どちらにも寄りすぎてないっていうことがある意味、今の日本を表現しているような気がします。

舘鼻:本当にどうぶつかるか、ぶつかり方は考えました。事故みたいな感じがよかったんです。正面衝突みたいな(笑)。「擦ったくらいじゃオレが死ぬ」と思ったんで…正面衝突で相打ちくらいだと。技術的とかじゃないんですけど、ぶつかり方の角度みたいなこと。それを2年間考えていましたね。

p1650276
舘鼻:メインの作品は、最後につくったものなんです。しかもあれはもともと1枚しかなくて…制作時間もギリギリだったんですけど、無理矢理2枚にして…

-あれが最後に生まれたとは…。

舘鼻:だからあれが“答え”ですね。

p1650182
舘鼻:最初はかんざしの作品をセンターに置いて、囲むような展示にしようと考えていたんです…脇役になっちゃいましたけど(笑)。

-PLAY TAROをご覧の方にメッセージをお願いします。

舘鼻:今回、ぼくも太郎のフィルターを通して自分のこと見直しましたけど、お客さんにもぜひぼくや太郎のフィルターを通して物事をものごとを考えるきっかけにしてほしいと思います。作品のことは実物を見てもらわないとわからないものですし、お客さんにしてほしいアクションはとにかく足を運ぶということで、体験型の展覧会だと思っているんでぜひお越し下さい。

-本当に体験してほしい。見ないとわかりませんよね、これは。

舘鼻:今回はアートなのか何なのかわからなくていいというか、たとえば縄文土器なんて美術品としてつくられてないですよね。今回はそういう感覚でいいっていうか、表現としてプリミティブに「エネルギーをかたちにしました」と。そこを感じてほしいですね。



p1650232
舘鼻 則孝(たてはな のりたか)
1985 年、東京生まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育つ。
シュタイナー教育に基づく人形作家である母の影響で幼少期から手でものをつくることを覚える。
東京藝術大学では染織を専攻し遊女に関する文化研究とともに友禅染を用いた着物や下駄の制作をする。
卒業制作であるヒールレスシューズは花魁の下駄から着想を得たものである。
近年はアーティストとして展覧会を開催する他、伝統工芸士との創作活動にも精力的に取り組んでいる。
2016 年 3 月には、仏カルティエ現代美術財団にて人形浄瑠璃文楽の舞台を初監督「TATEHANA BUNRAKU : The Love Suicides on the Bridge」を公演した。
作品はニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館など、世界の著名な美術館に永久収蔵されている。

オフィシャルウェブサイト: http://www.noritakatatehana.com/



展覧会について詳細は、
舘鼻則孝 「呪力の美学」
をご覧ください。

Articles

Special Feature

Channel Taro TV

Read More
:: March 21, 2017

《門扉》制作風景

Read More
:: November 30, 2016

《樹人》制作風景!

Read More
:: August 3, 2016

《五大陸》制作