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Shinji Higuchi ① " special effects paradigm shift! "

樋口真嗣①「特撮パラダイムシフト!」

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約12年ぶりに復活したゴジラシリーズ『シン・ゴジラ』で監督・特技監督(兼任)の樋口真嗣氏との対談です!
※この対談は『シン・ゴジラ』公開前の2016年2月29日(月)に収録したものです。

樋口真嗣②「でもね、「なんでオレ、監督になっちゃったんだろう?」って、いまだによくわらかないんです。」
樋口真嗣③「自分が何気なく言った一言が、180度ズレていたことがあって。」
樋口真嗣④「エッジの立ってる人ってほんとうに早いんですよね。」
樋口真嗣⑤「言っちゃえば「政治」になっていくわけです。
樋口真嗣⑥だって「亀」ですからね。
樋口真嗣⑦「こどもの頃にそれを見た我々は縄文じゃなくて未来を感じちゃった。」
樋口真嗣⑧「眼が光るって日本ならではというかガラパゴスなんですよね。」
樋口真嗣⑨「現実の中に非現実が現れた衝撃が忘れられないんですよ。」


第一回目はおふたりの出会いから岡本太郎記念館開館エピソードから話していただきました!

ほんとうに暮らしていた場所って、やっぱり孕んでいる気配がちがいますね。

平野:今日は、まもなく公開される「シンゴジラ」が話題沸騰、日本を代表する映画監督の樋口真嗣さんをお迎えしています。じつは先日NHKの番組収録でご一緒させていただいたんですが(Eテレ『知恵泉』2016.3.8放映)、これがメチャクチャ楽しくて、このままじゃ終われない、ぜひ続きを! ということで、「シンゴジラ」公開前のお忙しい中、お越しいただきました。どうぞよろしくお願いします!

樋口:こちらこそ、よろしくお願いします! 自分も楽しみにしてました。ところでこの部屋って、太郎さんが暮らしていた部屋なんですよね?

平野:そうですよ。あれ? はじめでしたっけ?

樋口:はじめてです!

平野:あっ、そうか。じゃあご案内しますね。こちらへどうぞ。ここは下の絵画アトリエとこの階段でつながっていて、太郎が仕事中に使っていた居間みたいな部屋です。アトリエを囲むこの回廊は、ぜんぶ書棚。

樋口:うわあ!すごいな。

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平野:この部屋で、太郎はお茶を飲んだり、口述筆記したり、昼寝したり…、当時のままですよ。あの棚に並んでいる酒も20年前のまま。中身だけが蒸発しちゃっているものもあります。

樋口:めまいがしてきた。

平野:(笑)

樋口:ほんとうに暮らしていた場所って、やっぱり孕んでいる気配がちがいますね。

平野:太郎が亡くなったあとすぐに、敏子がこの場所を記念館として公開したいと言い出したんです。その話を聞いて、ぼくは即座に反対しました。

樋口:えっ、そうなんですか?

平野:だって、こんな小さな、吹けば飛ぶようなミュージアムで成功してるところなんてほとんどありませんからね。たいていは、最初はよくてもいずれ資産を食いつぶして行き詰まる。

樋口:たしかにこの規模の美術館ってあまり見ないですよね。

平野:経営効率が悪いんです。そりゃ、太郎のことを皆さんに知ってもらえるのは嬉しい。でも、合理的・客観的に判断したら勝算はなく、無謀だと。

樋口:なるほど。

平野:だから敏子に言ったんです。「路頭に迷うことになるから、ぜったいにやめろ」って。「いままで太郎のことでさんざん苦労してきたんだから、もういいじゃないか。これからは自分の幸せを考えろ」ってね。

樋口:(笑)

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平野:パリで美味しいものを食べたり、ハワイでのんびり過ごせばいい。そう言ったらね、敏子が怒るんですよ。「バカなことを言うな! 冗談じゃない」って。「そんなこと、私はちっともしたくない。そんな意味のないことをやってる時間はないんだ!」って。

樋口:ああ、目に浮かぶようだ(笑)。

平野:その頃、太郎は世の中から忘れられる瀬戸際にいましたからね。敏子は「太郎をこのまま錆びさせてなるものか!」みたいなことを言うんですよ。

樋口:パワフルだ。

平野:「記念館はどうしてもやりたい! のたれ死んでもいいから、やる!」って言うから、もう手の打ちようがないなと(笑)。

樋口:うわぁ、のたれ死ぬ…(笑)。

平野:で、蓋を開けてみたら、20年が経ついまもなんとかなってるんですよね。ぼくの完敗。敏子の勝ちです。でもあとで敏子が言ってました。「あのときはすごく嬉しかった」って。

樋口:ああ。

平野:「反対してくれたのは、あなただけだった」って。みんな「それはいいですね。ぜひやってください」って言うだけだった。
「ほんとうに心配してくれているのがよくわかった」って。

樋口:いや、すごいな。そういう場所ですもんね。ビックリだな。

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平野:いつでも来てください。

樋口:ほんとうですか?

平野:もちろん。ここを自分の書斎だと思って。

樋口:おー(笑) こういう場所を映画の中で登場させるときは大概ボクらはセットでつくるわけですけど、ほんとうに使っていた場所って、10人いたら10人がぜんぶ違うんですよね。

平野:その人の生きざまが空気感みたいなものをつくっているから?

樋口:そうです。部屋も一緒に生きているんですよね。


次回は映画『ローレライ』から映画監督の楽しさやおもしろさについてお聞きします!

樋口真嗣②でもね、「なんでオレ、監督になっちゃったんだろう?」って、いまだによくわらかないんです。」

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樋口真嗣
1965年東京都出身。
1984年「ゴジラ」で怪獣造形に携わることで映画界入り。
1995年には特技監督を務めた「ガメラ 大怪獣空中決戦」で日本アカデミー賞特別賞特殊技術賞を受賞。
監督作品に『ローレライ』、『日本沈没』、『のぼうの城』、実写版『進撃の巨人』など。
2016年公開の『シン・ゴジラ』では監督と特技監督を務める。

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