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Shinji Higuchi ② " special effects paradigm shift! "

樋口真嗣②「特撮パラダイムシフト!」

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約12年ぶりに復活したゴジラシリーズ『シン・ゴジラ』で監督・特技監督(兼任)の樋口真嗣氏との対談です!
※この対談は『シン・ゴジラ』公開前の2016年2月29日(月)に収録したものです。

〈前回までは〉
樋口真嗣①「ほんとうに暮らしていた場所って、やっぱり孕んでいる気配がちがいますね。」

二回目は映画『ローレライ』から映画監督の楽しさやおもしろさについてお伺いしました。

でもね、「なんでオレ、監督になっちゃったんだろう?」って、いまだによくわらかないんです。

平野:話は変わりますけど、《ローレライ》のメイキング映像がすごく面白くて。真っ先に感じたのは、樋口さん、ものすごく楽しそうだなって。

樋口:そうでした?(笑)

平野:そりゃ何度も修羅場を迎えたにちがいないけれど、とにかく樋口さんの表情がイキイキしているなっていうのが第一印象でした。

樋口:そんな顔してました? おかしいな…(笑)。

平野:そこで、まずは映画監督の楽しさやおもしろさについてお聞きしたいんです。

樋口:うーん…、たとえば弁護士やパイロットって免許が必要じゃないですか。

平野:はい。

樋口:映画監督に免許は要らないんです。でも、その代わりに、「やります!」「やれ!」って言われないかぎり、映画監督にはなれない。

平野:うん、厳しい世界ですよね。芸術家と一緒だ。

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樋口:でもね、「なんでオレ、監督になっちゃったんだろう?」って、いまだによくわらかないんです。小学校の作文に書いたり、高校の進路指導で「映画監督になりたい」って言ったとか、一回もないし。

平野:あっ、そうなんですか?(笑)

樋口:なんとなく映画の世界に入っちゃって、なんとなくなっちゃったっていうか…。

平野:なんとなく、なんだ(笑)。

樋口:映画の世界に入ってみて、何回かきっかけになる瞬間があって、そのとき「みんな手をあげるだろう」と思って、ボクも「はい!」ってやったらオレしかあげてない!みたいな…。

平野:えー!(笑)、映画監督って製作現場の頂点ですよね? 映画やってる人なら誰もがなりたいポジションでしょう?

樋口:なんていうか…、時期ですよね。それこそ自分が入った頃ってどん底だったから。

平野:映画界が?

樋口:そう。多くの映画会社が映画をつくるのをやめちゃって。撮影所を持ち、スタッフや役者を抱えて撮っていたんだけど、その体制が崩壊しちゃったんですよ、1970年頃を境に。大映や日活が倒産し、他の会社も一気に規模を縮小して、つくられる映画の質も下がり、観客動員も下がり…っていう悪循環を繰り返した結果の80年代だったんで。

平野:負のスパイラルに入っていたわけですね。80年代の日本映画って、どんな感じでしたっけ。

樋口:ほとんど角川さんの映画でした。

平野:あぁ、そうだ。《セーラー服と機関銃》とか、《時をかける少女》とか。

樋口:角川さんのところもけっきょくは外部なんですよね。出版社が映画界に入ってきて、自分たちのやり方でかつて映画会社にいた人間を、それこそ市川崑さんらを使って、映画を撮っていた。

平野:でも、たとえ苦しい時代だったにせよ、映画監督ってやっぱり憧れの仕事だったでしょう?

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樋口:いやー、最初は貧乏くじだったような気がするなぁ。

平野:ウソだ(笑)。

樋口:いや、ほんとに。先輩たちを見ていても、思い通りにできないように見えたんです。

平野:なるほど。

樋口:思っていることとちがうことをやらされている感じがしたんですよね。でもその一方で、「なんでこういうふうにしないんだろ?」っていうのもあって。…それがたぶん「ダメな因子」って言うんですかね?

平野:はい(笑)。

樋口:よせばいいのに「こういうふうにやればうまくいくのに、なんでみんなそうしないんだろう?」って思ったりして。

平野:わかる。

樋口:あとで自分がやることになったとき、その理由を痛いほど思い知らされるんですけどね。

平野:(笑)

樋口:商業としての壁だったり、いろんなことがシステムとしてできていないとか…。それをやらないと突破できないじゃないかって思って。

平野:閉塞感のある中でちょっとモヤモヤしていたわけですね。

樋口:閉塞しているから、あまり希望するやつがいない。だから自分のような中途半端な人間が入れたんですよ。ちょうど谷間の時期っていうか。運がよかったんです。


次回は映画界その人を惹きつける魅力についてお聞きします!

樋口真嗣③

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樋口真嗣
1965年東京都出身。
1984年「ゴジラ」で怪獣造形に携わることで映画界入り。
1995年には特技監督を務めた「ガメラ 大怪獣空中決戦」で日本アカデミー賞特別賞特殊技術賞を受賞。
監督作品に『ローレライ』、『日本沈没』、『のぼうの城』、実写版『進撃の巨人』など。
2016年公開の『シン・ゴジラ』では監督と特技監督を務める。

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