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Shinji Higuchi ⑥ " special effects paradigm shift! "

樋口真嗣⑥「特撮パラダイムシフト!」

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約12年ぶりに復活したゴジラシリーズ『シン・ゴジラ』で監督・特技監督(兼任)の樋口真嗣氏との対談です!
※この対談は『シン・ゴジラ』公開前の2016年2月29日(月)に収録したものです。

〈前回までは〉
樋口真嗣①「ほんとうに暮らしていた場所って、やっぱり孕んでいる気配がちがいますね。」
樋口真嗣②「でもね、「なんでオレ、監督になっちゃったんだろう?」って、いまだによくわらかないんです。」
樋口真嗣③「自分が何気なく言った一言が、180度ズレていたことがあって。」
樋口真嗣④「エッジの立ってる人ってほんとうに早いんですよね。」
樋口真嗣⑤「言っちゃえば「政治」になっていくわけです。

今回は樋口監督の思う『ガメラ』のカッコ良さについてお聞きします!

「だって「亀」ですからね。」

平野:ぼくね、《ガメラ》を見たときに〝キタ〜!〟って思ったんですよ。

樋口:(笑)

平野:とにかくカッコよかった、ガメラが。痺れました。ぼく、いま57歳で、《ウルトラQ》《ウルトラマン》《サンダーバード》なんかで育った世代なんですけどね。

樋口:いちばんいい時代ですね。

平野:こどもの頃から怪獣モノを見てるけど、あのガメラほどカッコよく描かれた怪獣は見たことがない。

樋口:ありがとうございます。

平野:ただね、なんであのガメラをカッコいいと思ったのか、自分でもわからないんですよ。きょうはぜひその問題を解決したい。つくった本人に説明して欲しいんです。あれ、なんでカッコいいんですか?

樋口:うーん、なんだろう?(笑)

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平野:強そうだっていうのももちろんあるけど、それ以上に、怪獣が持つべき凜々しさがあるっていうか…、そう、絶対感があるんですよね。

樋口:それは嬉しいな。

平野:秘密はどこにある? 今日はそれを聞かないと終われないです(笑)。

樋口:もちろんカッコよくないとまずいとは思っていて、つくってる最中からそうだったんだけど、ヤバイんですよ。

平野:ヤバイ?

樋口:放っておくと。

平野:???

樋口:だって「亀」ですからね。

平野:(爆笑)

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樋口:どうしよう? みたいなね(笑)。どうしたらカッコいい感じに見えるか。アングルだったり、中に入って動いてもらうにしても、どうすればカッコいいガメラになるか。

平野:そこをしっかり考えないとカッコ悪くなっちゃうってことですよね、しょせんは「亀」だから(笑)。

樋口:そう。カッコ悪い部分がいっぱいあるので、それをどうやって捨てていくかってことなんです。

平野:そういうことか。

樋口:なにも考えずにやっていたらカッコ悪くなっていたと思います。カッコ悪い要素をどうやって削っていくか。それをずっと考えてた。

平野:イノベーションの産物なんだ。

樋口:まあ、そうですね、言ってしまえば。

平野:ただ一方では、あのガメラは《ウルトラQ》以来の日本の怪獣モノ、特撮モノの伝統をちゃんとリスペクトしている、とも感じました。

樋口:ああ、なるほど。

平野:日本の怪獣モノって、「鳥獣戯画」みたいに擬人化されていて、感情を持ってるじゃないですか。でも外国モノの《ゴジラ》なんかは…。

樋口:あいつはぜんぜん感情はありませんね。

平野:世界観からしてぜんぜんちがう。

樋口:そうですね。

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平野:ロボットもそう。ホンダの「アシモ」ってかわいいじゃないですか。仕草や態度が人間みたいで。大きさもちょうどこどものサイズだし。でも外国のロボットって、有無をいわさずガシャンガシャンって蹴散らしながら動く感じで。

樋口:ああ、でもそういう部分は意識していたかもしれないな。向こうでは《ジュラシックパーク》なんかがはじまった時期でもあって…。

平野:あれこそ「リアルな恐竜」を目指してますもんね。

樋口:こっちは「亀」ですよ(笑)。でも、ただのでかい亀じゃない。まったく別のキャラクターとして存在しているし、それをいまの時代に置き換えるときに、生きものとしてのリアリティだけを追求してもちがうんじゃないかと。

平野:皮膚の質感とかのディティールにこだわっても気持ち悪くなるだけっていう感じもするし。

樋口:そう。それで誰につくらせるかってなったときに、やっぱり人選の問題になるんですけど、怪獣をつくるプロじゃない人に頼もうと考えたんです。

平野:あっ、そうなんだ!

樋口:原口さんていう特殊メイクをやっている方です。特殊メイクで人の顔なんかをつくっている人。

平野:そうか、そうだったのか…。ズシっと腑に落ちましたよ、いま。

樋口:ボクはその人のつくる眼が好きだったんです。眼に気持ちが宿ってないとダメだと思って。

平野:さっきの話とおなじだ。新しい血を入れてイノベーションを起こしたってことですね。

樋口:すごく嫌がっていたのを無理矢理っていう(笑)。

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平野:《ローレライ》の潜水艦もすごくカッコいい。で、いったい誰がこの造型をつくったんだろう? ってすごく興味があったんです。そうしたら、メイキングにいきなり海洋堂の宮脇さんが出てきてブッ飛んだ。

樋口:(笑) あの潜水艦のデザインは宮脇センムですからね。

平野:そのときも「そういうことだったのか!」って腑に落ちました。潜水艦ってシンプルな形の極みだから、カッコいい形にするのってものすごく難しいにちがいないと思ったんです。なぜなら太陽の塔もそうだから。造型って、シンプルであればあるほど難しいでしょ?

樋口:たしかに!

平野:そうか、あれは海洋堂の仕事だったのか、さすが樋口さん、目の付けどころが違うって。シビれました(笑)。


次回は映画『ローレライ』の潜水艦と太陽の塔について!

樋口真嗣⑦

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樋口真嗣
1965年東京都出身。
1984年「ゴジラ」で怪獣造形に携わることで映画界入り。
1995年には特技監督を務めた「ガメラ 大怪獣空中決戦」で日本アカデミー賞特別賞特殊技術賞を受賞。
監督作品に『ローレライ』、『日本沈没』、『のぼうの城』、実写版『進撃の巨人』など。
2016年公開の『シン・ゴジラ』では監督と特技監督を務める。

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