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Shinji Higuchi ⑧ " special effects paradigm shift! "

樋口真嗣⑧「特撮パラダイムシフト!」

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約12年ぶりに復活したゴジラシリーズ『シン・ゴジラ』で監督・特技監督(兼任)の樋口真嗣氏との対談です!
※この対談は『シン・ゴジラ』公開前の2016年2月29日(月)に収録したものです。

〈前回までは〉
樋口真嗣①「ほんとうに暮らしていた場所って、やっぱり孕んでいる気配がちがいますね。」
樋口真嗣②「でもね、「なんでオレ、監督になっちゃったんだろう?」って、いまだによくわらかないんです。」
樋口真嗣③「自分が何気なく言った一言が、180度ズレていたことがあって。」
樋口真嗣④「エッジの立ってる人ってほんとうに早いんですよね。」
樋口真嗣⑤「言っちゃえば「政治」になっていくわけです。
樋口真嗣⑥だって「亀」ですからね。
樋口真嗣⑦「こどもの頃にそれを見た我々は縄文じゃなくて未来を感じちゃった。」


今回はアナログ的な特撮の魅力についてお伺いします。

「眼が光るって日本ならではというかガラパゴスなんですよね。」

平野:ぼくの世代って〝特撮〟で育ってるじゃないですか。

樋口:はい。

平野:イギリスに《サンダーバード》があるように、特撮技術って世界中にあるのかもしれないけど、日本の特撮ってなにか独特のにおいがしませんか?

樋口:そうですね。それは自分も感じます。

平野:やはり独特の発展をしてきたってことですか?

樋口:してますね。

平野:樋口さんがそれを意識しているかどうかはわからないけど、ガメラの動きなんかを見ていると、日本ならではの、そういう伝統っていうか美意識っていうか、そういうものをしっかり受け継いでいるような気がするんですよ。

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樋口:それで言うと、日本がいちばんガラパゴスだなって思うのは、怪獣の眼を光らせるんですよ。中に電球を入れて。

平野:おお! たしかに!

樋口:猫だって夜に光りますけど、あれはあくまでも瞳孔の奥じゃないですか。でも日本の怪獣って白目が光ってるんですよ。行灯みたいに。

平野:なるほど。

樋口:眼が光るって日本ならではというかガラパゴスなんですよね。他にはない特徴です。

平野:生命力を表現しているのかな、内部発光してるってことは。

樋口:記号っていうか様式なんですよ。

平野:おもしろい!

樋口:もっと言うと、ウルトラマンの怪獣って、死んで倒れたら電球を消すんですよ。本来ならまぶたが閉じるところだけど、その仕掛けをつくるお金がないから、電気が消える。

平野:たしかにそうだ。怪獣って死ぬと眼が消えてた。覚えてます。

樋口:そうでしょ?

平野:それって舞台芸術の様式とおなじですよね。死んだっていう約束事。歌舞伎みたいだ。

樋口:多分に歌舞伎的なものがあるんですよ。

平野:舞台の人が映画に参画していた?

樋口:戦前とかはそうですね。怪獣を最初につくったのは歌舞伎に出てくる大蝦蟇とか、菊人形をつくってる人です。

平野:へぇー、そうなんだ!

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樋口:骨格も最初は竹を編んで、そこに紙を貼って。でもそれだと破れちゃうから、ゴムを塗るようになったんです。そうやって進化していった。

平野:おもしろいな。

樋口:歌舞伎のつくりものとおなじやり方です。

平野:ところどころに和の〝見立て〟を感じるのはそういうバックグラウンドがあったんですね。てことは、見立ての作法に馴染みのない外国人には理解できない部分があるかもしれないですね。

樋口:そうですね。

平野:特撮ってアナログでしょう?

樋口:いまはだいぶデジタルになってきましたけど。

平野:CGとアナログ的な特撮の関係にすごく興味があって。いまはその気になればぜんぶCGでつくれる。だけど、なぜか100%のCGにはリアリティを感じないんですよ。

樋口:はい。

平野:ぼくは日本人だし、特撮で育ってるからそう感じるのかな? 最新のCG映画ってあまりに完璧すぎるっていうか、スキがないっていうか…、感情移入しにくいんです。

樋口:アナログとデジタルの関係でいえば、ボクは昔ながらのやり方がイヤだった。とくにガメラの最初の頃なんかは。

平野:CGの方が技術として先進的だから?

樋口:それまでみたいに街をぜんぶ模型でつくらなくても、街の景色を撮ってきて、合成で怪獣を入れればそっちのほうが本物に見えるんじゃないかって。でもそれを10年やってきて、それがあたりまえになってしまうと、ありがたみがなくなるんですよね。

平野:観客側も、ちょっと前まで、CGすごい!っていうので映画を評価してたましたもんね。

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樋口:お客さんが着ぐるみは見たくないっていう時期があったんですよ。

平野:はいはい。

樋口:ところがこれだけCGが続いたあげく、元に戻っちゃった。


次回は最終回。
「想像力の鍛え方」ついてお伺いします。

樋口真嗣⑨「現実の中に非現実が現れた衝撃が忘れられないんですよ。」

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樋口真嗣
1965年東京都出身。
1984年「ゴジラ」で怪獣造形に携わることで映画界入り。
1995年には特技監督を務めた「ガメラ 大怪獣空中決戦」で日本アカデミー賞特別賞特殊技術賞を受賞。
監督作品に『ローレライ』、『日本沈没』、『のぼうの城』、実写版『進撃の巨人』など。
2016年公開の『シン・ゴジラ』では監督と特技監督を務める。

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