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Mitsuru Kuramoto talk ④ "Discover" than "Laugh"! "

倉本美津留対談④「”笑い”よりも”発見”を!」

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〈前回までは〉
倉本美津留①「ぼくは勝手に『岡本太郎チルドレン』だと思ってます。」
倉本美津留②「そこに『自由でいい。好きなようにやればいいんだ!』というようなことが書いてあった。」
倉本美津留③「1つの魂が2つに分かれて、またひとつになったみたいです。」


四回目は倉本さんの〝創造の作法〟についてお伺いします。

個人の脳から湧き出たことをちゃんと可視化するっていう…

平野:倉本さんとの太郎話、めちゃくちゃ楽しいからもっとつづけたいんですけど、ほかにも聞きたいことが山ほどあるんで、泣く泣く話題を変えます。

倉本:はい、はい(笑)。

平野:このPLAY TAROを見てくれている人って、太郎が好きっいうのはもちろんあるけど、それだけじゃなくて、クリエイティブに仕事をしたい、クリエイティブな生き方をしたい、って思っている若い人たちが多いんです。

倉本:そうでしょうね。

平野:いつも聞かれてうんざりしている話かもしれないけど、やっぱり〝創造の作法〟みたいなことを聞きたいんですよ、倉本さんには。これを見てくれている若い人たちのためにもね。

倉本:ぜひぜひ。

平野:ぼくの本業はメディア空間をプロデュースすることで、テレビとは無縁なので、放送作家のことはなにも知りません。放送作家といえば、テレビによく出てくるのは「企画会議」のシーンですよね。多くのスタッフの前にホワイトボードがあって、みんなのアイデアを書き出しながらものごとが決まっていく、っていう…。

倉本:はい。

平野:じつは「アレってほんとうか?」って常々思ってるんです。

倉本:(笑)

平野:ブレーンストーミングは否定しないし、アイデアをみんながテーブルに出しあうっていうのもよくわかります。でもほんとうに合議制でものごとが決まるの? って。

倉本:「放送作家ってどういう仕事なの?」という質問はよくあるんですけど、それって「芸術家ってどういう仕事なんですか?」っていうのとおなじなんですよね。みんな違うじゃないですか。

平野:ああ、なるほど。

倉本:ぼくはわかりやすいから「放送作家」って肩書きにしていますけど、ほんとうに放送作家なのかどうなのか、自分でもよくわかってなくて…。

平野:(笑)

倉本:たぶん他の人とはかなり違っているんじゃないかな。むしろぼくよりも前の世代、それこそ太郎さんとおなじくらいの世代の放送作家たちに近いかもしれない。

平野:青島幸男さんとか?

倉本:そうです。個人の脳から湧き出たことをちゃんと可視化するっていう…

平野:あくまで「個人の」ですよね。たぶんそこがいちばん大事なところだな。

倉本:でももちろん、周りを説得するためには「どう説明したら理解してもらえるかな?」っていうことも考えますよ。

平野:はい。

倉本:しかも、いろんな人間が入ってくることで自分が考えていた以上のことに展開するっていうイメージも持ちながら、です。

平野:そういうときにいちばん大事なのは「ブレないこと」ですよね。

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倉本:そう。ぼくはそういうことをするのが大好きだから、会議をやる。でも会議の中で自分の意志は絶対に曲げない。それを前提に、「みんなこっちこーい!」っていう会議をするんです。

平野:なるほど。

倉本:だからぼくは、逆に、ホワイトボードをめっちゃ使うんですよ。自分のイメージを絵にして、「こうだから、こうだから」って説明すると共通認識が持てるようになるから。

平野:きっと会議っていうより、倉本さんのパフォーマンスを見ているような感じなんでしょうね。

倉本:まさに! そういうことをしている放送作家ってあまりいないだろうけど、たぶん青島さんとか永六輔さん、大橋巨泉さんなんかはそういうことをやっていたんだろうなって。

平野:新しいものをつくった人たちですね。

倉本:そうです。見たことのない新しいものを生み出そうよっていう感覚で。

平野:最近はそういう放送作家が少なくなった?

倉本:ぼくが作家をはじめた20代の頃は、そういうやり方がおもしろいって先輩もいたし、じっさいやってきたんですけど、その後、「実験する前に、まずは守らなければ」っていう方向にどんどん進んでいるような気がしますね。どんな業種でもそうじゃないかな。音楽でもなんでも。

平野:そういう時代だから合議制になるのかな。

倉本:誰も怪我したくないですからね。

平野:いままでやってきたこと、見たことがあるものじゃないと安心できないと。

倉本:残念ながらそういう状態です。でもぼくがダウンタウンなどとつくってきた番組は、そういう空気を無視してやってきました。

平野:やっぱりダウンタウンは違いますか?

倉本:これまで仕事してきた中でも、やはりダウンタウンはすごいプレイヤーです。彼らはおもしろいことを脳でしゃべれますからね。

平野:「脳でしゃべる」ってはじめて聞いたフレーズだけど、いい言葉だなあ。

倉本:松本人志って、テレビ界におけるアーティストですよ。芸術家です。僕は、どうすれば彼の脳を100%稼働させることができるか、それをテレビというメディアでどういうふうに出せばちゃんと届けられるか、を考える。どちらかというとプロデューサーっていう感覚でつきあっています。

平野:なるほど。

倉本:でも彼らのようなクリエイティブな中心人物がいない場合も多い。そういう場合はわりとぼく自身がその役割になりますね。



次回はさらに倉本さんのクリエイティブの本質に迫ります。

倉本美津留⑤「いったいここに“なにがないのか?”を考えるのが好きなんです。」

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倉本美津留
1959年広島県生まれ、大阪府育ち。
『EXテレビ』『現代用語の基礎体力』など画期的な深夜番組を次々と生み出す。
90年代半ばから拠点を東京に移し、
「ダウンタウンDX」、「シャキーン!」や、アート番組「アーホ!」などを手がける。
これまでの仕事に「ダウンタウンのごっつええ感じ」「M-1グランプリ」「伊東家の食卓」「たけしの万物創世記」などがある。
近著にことば絵本「明日のカルタ」「ビートル頭」「倉本美津留の超国語辞典」など。
ミュージシャンとしても活動中。

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