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Mitsuru Kuramoto talk ⑤ "Discover" than "Laugh"! "

倉本美津留対談⑤「”笑い”よりも”発見”を!」

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数々の番組で革新的な笑いを創造してきた放送作家の倉本美津留さんとの対談です!

〈前回までは〉

倉本美津留①「ぼくは勝手に『岡本太郎チルドレン』だと思ってます。」
倉本美津留②「そこに『自由でいい。好きなようにやればいいんだ!』というようなことが書いてあった。」
倉本美津留③「1つの魂が2つに分かれて、またひとつになったみたいです。」
倉本美津留④「個人の脳から湧き出たことをちゃんと可視化するっていう…」


五回目は倉本さんのクリエイティブの本質に迫ります。

いったいここに「なにがないのか?」を考えるのが好きなんです。

平野:「こういうものをつくりたい」というアイデアの核になるものって、外にあるものではなく、倉本さん自身の中に湧き出てきたものでしょう?

倉本:基本的にはそうですね。

平野:それってある種〝プライベートな欲望〟ってことですよね。

倉本:そうですね。そう言えますね。

平野:視聴者にアンケートをとったわけではないし、商品のようにテスト販売で結果を予測することもできない。つまりアイデアはマーケティングの成果として手に入れたものではない。そうでしょ?

倉本:違います。まったく真逆のものです。

平野:その部分こそがクリエイティブの本質だとぼくは考えているんです。なにが欲しいかを顧客に聞いていたら、新しいステージにはジャンプできない。けっきょくは個人の「経験」と「欲望」以外に源泉はないと。

倉本:なるほど。

平野:ただ、「なにが欲しいかを顧客に聞かない」と腹を括ったときに問題になるのは、なにをベンチマークに「これでいいか?」「それで大丈夫か?」を判断するかということ。思いつきで突っ走るだけじゃ、たんなるバカだから。

倉本:ぼくはまず「誰もやっていないことって何だろう?」っていうところから考えます。

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平野:そうか、なるほど。

倉本:でも、もしゼロから生み出すことに全身全霊を傾ける人生を送れていたなら、ぼくはきっと芸術家になっていたはず。テレビはたくさんの人が関わるメディアなので、たくさんの人に理解してもらわないとダメなんです。

平野:そうじゃないとものごとは動きませんからね。

倉本:こういうタレントがいて、枠はある。「なにかないか?」と。そういうとき、ぼくは自分がやりたいことよりも、いったいここに「なにがないのか?」を考えるのが好きなんです。

平野:そうなんだ。おもしろいなあ。

倉本:そのとき、自分が思いついたことが間違いないと思ったら、ガンガンやります。もっとも最後に「やろう!」と決断するのはぼくじゃなくて、局の人間ですけど。

平野:そうですよね。

倉本:局の中にいい意味で無茶苦茶なプロデューサーがいる。「わかんないけど、やっちゃおう!」って。そういう人と出会えたときが最高で、結果もちゃんとついてくる。

平野:前例のない、つまり当たるかどうかわからない企画って、リスクの塊ですよね。もしハズレたら、倉本さんひとりが飯の食い上げってことじゃ済まないわけでしょ?チームでやっているわけだから。

倉本:そうなんです。

平野:みんなの生活がかかっている。だとしたら、一方では極力リスクの芽を摘もうっていう態度も必要だし、一方では守りだけを考えたらインパクトのあるものにならないからトンガろうって態度も大事だし。そのせめぎあいなんでしょうね。

倉本:せめぎあいですね。

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平野:そのさじ加減はどうしてるんですか? むずかしいでしょう?

倉本:幸いなことに、ぼくは突き進むだけでいいっていう、そういう立場に置いてもらえているんですよ。みんなと違うことを主張することを許されているっていうか。

平野:ああ、そうか。「それが倉本さんの役割だ!」っていう空気になっているんだ。

倉本:そう。逆にいえば、それでいいっていうプロデューサーがいてくれたからできたわけですけど。

平野:なるほど。メチャクチャ恵まれてるじゃないですか。でも倉本さん、それ、すごく苦しいでしょう?

倉本:…(笑)

平野:「人と違うことを考えろ、それがおまえの役割だ」って言われつづけているわけだから。はたから見れば、自由に泳がせてもらって羨ましいと映るかもしれないけど、それって常に追い込まれてるってことですもんね。

倉本:追い込まれてます。

平野:誰かとおなじことを言った途端に、「おまえはもう要らない」って言われるポジションって、ものすごいストレスのはず。

倉本:そのへんのストレスは溜まってるんでしょうけど、ずっと感じてなかったです(笑)。でも、徐々にそういうものが求められない時代になっています。ここ10年~15年、そっちに突入してきているような気がしますね。

平野:実験的な番組は要らないと?

倉本:昔つくられた「濃い核があるもの」を薄めて、みんなが食べやすく美味しくするってことで……。おなじような番組がいっぱい出てくるって感じですね。

平野:その濃い核の部分を、倉本さんはいっぱいつくってきた。

倉本:でもこういう時代になって、「こういう奴は扱いにくいな」みたいなことになっちゃっていますよ、ぼくは(笑)。

平野:(笑)



次回は「社会で求められていることをキャッチする方法」について!

倉本美津留⑥「他ジャンルの人から受けるというのが正しいと思っているんです。」

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倉本美津留
1959年広島県生まれ、大阪府育ち。
『EXテレビ』『現代用語の基礎体力』など画期的な深夜番組を次々と生み出す。
90年代半ばから拠点を東京に移し、
「ダウンタウンDX」、「シャキーン!」や、アート番組「アーホ!」などを手がける。
これまでの仕事に「ダウンタウンのごっつええ感じ」「M-1グランプリ」「伊東家の食卓」「たけしの万物創世記」などがある。
近著にことば絵本「明日のカルタ」「ビートル頭」「倉本美津留の超国語辞典」など。
ミュージシャンとしても活動中。

 

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