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Mitsuru Kuramoto talk ⑦ "Discover" than "Laugh"! "

倉本美津留対談⑦「”笑い”よりも”発見”を!」

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数々の番組で革新的な笑いを創造してきた放送作家の倉本美津留さんとの対談です!

〈前回までは〉

倉本美津留①「ぼくは勝手に『岡本太郎チルドレン』だと思ってます。」
倉本美津留②「そこに『自由でいい。好きなようにやればいいんだ!』というようなことが書いてあった。」
倉本美津留③「1つの魂が2つに分かれて、またひとつになったみたいです。」
倉本美津留④「個人の脳から湧き出たことをちゃんと可視化するっていう…」
倉本美津留⑤「いったいここに“なにがないのか?”を考えるのが好きなんです。」
倉本美津留⑥「他ジャンルの人から受けるというのが正しいと思っているんです。」


七回目は、いろんな番組をつくってこられた倉本さんのいちばん根っこにあるものについてお伺いします。

自分が生きているあいだに、世界のおもしろい選択肢が自分のぶんだけ増えていないと。

平野:倉本さんはいろんな番組をつくってこられましたけど、いちばん根っこにあるのはやはり「笑い」ですか?

倉本:う〜ん、「笑い」というより「発見」かな。

平野:発見?

倉本:見る前と見たあとで感覚が変わるっていうのがアートですよね。見たことがないものを見て、「うわっ!こんな世界もあるのか!」って驚き、なにかをつかむ。

平野:そうですね。

倉本:そんな感じのことをテレビでもできるはずだ、とぼくは思ってやっているんです。

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平野:根っからのアート好きなんですね。

倉本:「こんな一枚の絵に、なんでこんなに感動して、自分の感覚まで変わっちゃうんだろう?」って。脳細胞が1個、動き出すっていうか…。それをいちばん大事にしたいなと。そういうものをつくりたいと思ってやっているつもりです。

平野:てことは、笑ってもいいし、泣いてもいいし…。

倉本:ビックリしてもいいし。ただ、その中でも「笑い」っていうのは人間の感情においてとんでもない反応だと思うんで。笑って涙が出ることだってあるわけですから。そこのスイッチを入れたいなっていうのはありますね。

平野:見てくれている人に「なにかを残したい」とか「なにを伝えたい」っていう欲望は?

倉本:もちろんあります。そうじゃなかったら、なんのために生まれてきたのかって思うんですよ。生を受けたのはそのためだって思ってます。そうじゃないなら「オレ、要らないじゃん!」って。

平野:うん。

倉本:自分が生きているあいだに、世界のおもしろい選択肢が自分のぶんだけ増えていないと、なんのためにいるのかって話になる。

平野:それって完全に芸術家の発想ですよね。発想っていうより、覚悟かな。

倉本:ぼくはそういうところでやっぱり太郎さんはじめ、ダリ、マグリット、大好きな芸術家がいっぱいいるんですけど、そこからメチャクチャ影響を受けてますね。

平野:もしかして倉本さん、テレビ業界にいるのはたまたまってこと?

倉本:まさにたまたまです。

平野:〝倉本美津留〟を世の中に打ち出す台車として、たまたま手にすることができたのがテレビというメディアだったと。

倉本:はい。

平野:逆にいえば、テレビじゃなくてもよかったってことだ。

倉本:そうです。テレビ業界に入る直前までは視野にあったのは音楽でした。すごくパワーがあって、言葉も超えられるし、瞬間的に人に伝わるし。もちろん芸術もそうですけど。

平野:なるほど。

倉本:ぼくはすごくビートルズに影響を受けているんです。彼らを超えるにはどうしたらいいかって、真面目に考えるような少年だったんで(笑)。

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平野:(笑) 倉本さんの内側にあるアイデアを見てくれる人にぶつけることによって、その人の感覚をひらく。あるいは自分にはいままで関係ないと思っていた人が、「あっ、これってオレの問題かもしれない!」って気づく。そういうことでしょう?

倉本:そうです。

平野:よくわかる。

倉本:そういうことを無意識な人たちにぶつけ、「えっ!」って思わせるにはテレビがいちばん向いているんで。テレビって、人間の潜在意識に入っていけるいちばん強力なメディアなんですよ。

平野:最近の若者は外国に行きたがらないってよく言われるでしょ? てっきり金がないって話だと思ったら、「面倒に巻き込まれるのがイヤだから」っていう理由らしいんですよ。海外旅行のトラブルっていったって、たいていは「空港で荷物が出てこなかった」とか「タクシーにグルグル遠回りされた」って程度のことじゃないですか。むしろそういうことが懐かしい思い出になるのに…。

倉本:(笑)

平野:「部屋でDVDを見ているのがいちばんだ」って。その話を聞いて、ぼくは〝深海のエビ〟を思い出したんです。

倉本:なんですか、それ?

平野:深海のエビって、いちおう目はついているんだけど、まったく見えないらしいんです。光が届かない暗黒の世界にずっといたから機能が退化して、目玉が真っ白になっちゃった。どうせ見てないんだから、要らないだろ? ってことですよ。

倉本:なるほど。

平野:おなじように、外界に漕ぎ出さないで部屋にこもってると、やがて目が白くなっちゃうんじゃないか。でも一方で、きっと若者たちはそれを本能でわかっている。若者たちが太郎を求める理由のひとつがそれなんじゃないかと考えているんです。

倉本:というと?

平野:岡本作品の強烈な色彩や造形に向きあうと、自分の感覚が刺激され、ひらいていく。冒頭の話にあったように、「見る」というより「浴びる」体験ですからね。

倉本:たしかに。

平野:ときに自分の感覚をひらかないと目玉が白くなってしまう。「オレ、このままだと深海のエビになっちゃうかも」っていう潜在的な恐怖感が若者たちを太郎に向かわせているんじゃないかって思うんですよ。まったく外れているのかもしれないけど。

倉本:(笑)

平野:でも、もしそうだとしたら、先ほど倉本さんがおっしゃったこととかなり近いかもしれない。自分が生きたぶんだけ可能性を広げるために、そして大衆の無意識に働きかけて「えっ!」て思わせるために、倉本さんはテレビを選び、太郎は芸術を選んだってことだから。



次回は最終回。倉本さんの未来について。

倉本美津留⑧「足りないものに気づいちゃったから、気づいた人間がそれをやるしかない。」

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倉本美津留
1959年広島県生まれ、大阪府育ち。
『EXテレビ』『現代用語の基礎体力』など画期的な深夜番組を次々と生み出す。
90年代半ばから拠点を東京に移し、
「ダウンタウンDX」、「シャキーン!」や、アート番組「アーホ!」などを手がける。
これまでの仕事に「ダウンタウンのごっつええ感じ」「M-1グランプリ」「伊東家の食卓」「たけしの万物創世記」などがある。
近著にことば絵本「明日のカルタ」「ビートル頭」「倉本美津留の超国語辞典」など。
ミュージシャンとしても活動中。

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