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5th Ishii Takumi ③

第5回 石井匠③

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岡本太郎をリスペクトする著名人の方々に、太郎への思いを思う存分語っていただきます。

第五回目は國學院大學博物館学芸員、岡本太郎記念館客員研究員で、2016年岡本太郎記念館企画展「生きる尊厳-岡本太郎の縄文-」をキュレーションをされた石井匠さんです。

今回は、悩みを抱える若者へ。
「自分がどこから来て、どこへ行くのか?」
石井匠さんが出した答えは?



岡本太郎に「絶望を彩ることが芸術だ」と言われてから、単純なぼくは絵を描きはじめました。中学時代の絵とはまったく違う絵です。

しばらく読んでいなかった太郎の本も、予備校生なのに、再びむさぼりはじめる。もちろん受験勉強はせずにね(笑)。

予備校には、芸術系の大学に進むための小論文を教えている先生がいました。そこに芸術系の大学を志望している浪人生たちが集まっていて、自然とつながりました。

お互いの作品を見せあったり、夜な夜な公園でずっと議論したり。そういう浪人生活の後半戦を過ごしていました。

そのせいで、またもや、受験に失敗。ひとつをのぞいて、すべての大学に落ちることになるんですけれどね(笑)。

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ただ、絵を描きはじめたことで、心底から知りたくなったことがあったんです。

それは「自分がどこから来て、どこへ行くのか?」っていう、まぁ、若い頃にだれもが思いつくような、ありきたりな問いですが。

でも、いまも、ぼくはそれを追いかけています。たぶん、正解はないんですけれどね(笑)

とにかく、まず「自分がどこから来たのか?」と考えた。そうしたら「オレが考古学でやりたいエジプトって、オレのルーツじゃないじゃん!」って思って。

岡本太郎の「縄文土器論」を読みなおすと、そこには「縄文的なものを現代に奪還しないといけない」みたいな話が書かれていて、当時の自分の想いと完全に合致していたんです。

「考古学をやるなら『縄文』だ!エジプトじゃねぇ!日本の考古学をやらないと意味がない!」

それで縄文時代の考古学をやろう!と思うようになったんです。ただ、縄文の知識は高校の教科書程度。どこの大学で縄文が学べるかなんてわからない。

だから、またもや親に迷惑をかけながら、とにかく考古学専攻がある関東の大学をかたっぱしから受験しました。

ところが、またもや受験勉強をしていなかったので、スベルスベル(笑)。

3月の終わりだったか、いまの職場になっている國學院大學の二部(夜間)の入試がまだ残っていたんですね。

「まぁ、夜間でも考古学は学べるから二浪するよりマシだ」

そう思って親に頼んでお金を払ってもらい、最後の砦で受けたら、合格。
とりあえず、なんとか考古学専攻のある大学に入ることができたんです。

でも、授業は夜なので昼間は暇になる。「遺跡でも発掘できないかな?」と思いながら、地元(埼玉県春日部市)を自転車でふらふらしていたら、発掘調査をやっている現場に、たまたま出くわしました。

発掘の様子をしばらく覗いていたら、「なんだい?」と声をかけられまして。

「じつは國學院大學に入学するんですが、夜間なので昼間暇なんです。考古学を専攻するつもりなんですけど、発掘とかできないですか?」ってな感じで、現場の担当者らしき人に言ったら、とんとん拍子で即決となりました(笑)。

それで4月から昼間は発掘現場に行けることになったんです。これが後々、自分にとって大切な体験になるんですけれどね。

でも、まだ入学式までは時間がある。その次にぼくがしたのは、とりあえず入学する國學院大學の渋谷キャンパスでも見ておくか、ということでした。

受験したのが別のキャンパスだったので、入学前に一度は行っとくか、という軽い気持ち。でも結局、その日は大学に行かずに終わるんですが(笑)。

どうせ渋谷に行くなら、なんか他にもいろいろと見たいなぁと思って、そこでまた『ぴあ』を開いたら、「岡本太郎の家具展」というのが近くでやっているというので見に行くことにしたんです。

いまはもう建物が変わりましたが、以前は、岡本太郎記念館の右隣がIDEE SHOPという家具屋さんでした。そこで展示されていたのが、岡本太郎のデザインした《彩りイス》や、

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《坐ることを拒否する椅子》とかだったんですね。

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「なるほど!これが本物か!」と、初めて見る太郎作品をうなりながら見ていたら、IDEEの店長さんが、「岡本太郎に興味があるの?」と声をかけてきてくれて。

「興味もなにも、大好きですよ!岡本太郎さんに影響されて、これから大学で縄文時代を勉強しようと思ってるんです!」なんて話をしたら、

「ちょっとおいで。」
と窓際に案内され、
「ほら、この窓から向こうを見てごらん」と店長さんが言うので覗いてみたら、庭があって、岡本太郎の彫刻がある・・・。

「そこが太郎さんのアトリエだよ」
「えっ!!!まじっすか!」

その頃は岡本邸の場所は知らなかったので、教えてもらったときは興奮しました。

それで、店長さんが第1回の岡本太郎現代芸術賞のチラシをくれたんですね。そこに「岡本太郎記念館」と書かれていて、電話番号もある。もしかしたらこのアトリエのことか?と思いつつ、店を出て公衆電話へ一直線。当時、携帯を持っていなかったので(笑)。

とにかく、書いてある電話番号にかけてみたんです。

そのときに電話に出られたのが、なんと・・・岡本敏子さん本人だったんです。



次回は石井匠さんと敏子さんの運命の出会い!

石井匠④

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石井 匠

1978年生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(歴史学)。
現在、國學院大學博物館学芸員、岡本太郎記念館客員研究員。
第2回岡本太郎記念現代芸術大賞、入選。
岡本太郎の巨大壁画《明日の神話》再生プロジェクトスタッフとして、メキシコでの壁画回収・修復・設置作業に従事。
2016年岡本太郎記念館企画展「生きる尊厳-岡本太郎の縄文-」をキュレーション。
著書に『縄文土器の文様構造』、『謎解き太陽の塔』、共著に『縄文土器を読む』他多数。

 

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