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Oscar Oiwathree-man discussions ② "I spend the best time for creation"

大岩オスカール鼎談②「いちばんいい時間を自分の創作に」

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ブラジル出身の画家、現代美術家でありアーティスト・グループ『昭和40年会』のメンバーである大岩オスカールさんと美術史家で明治学院大学文学部芸術学科教授の山下裕二さんとの鼎談です。

〈前回までは〉
大岩オスカール①「『現代アートって、カッコイイじゃん!』って思ったんです。

第二回はブラジルから日本に来た大岩オスカールさんの活動についてお聞きします。

いまでも朝早く起きて、夕方まで毎日描いてます。

平野:そしてオスカールさんは25歳のときに日本に来られたと。

山下:オスカールは建築を勉強していたから、最初は建築事務所でアルバイトしながらやってたんだよね?

大岩:そうです。3~4年くらい。

山下:ギャラリーにもつてがなかったから、手当たり次第、銀座のギャラリーを回った。

大岩:いろんなところを回りました。

平野:飛び込み営業をしたわけですね。

大岩:そうです。

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平野:横尾さんや川俣さんの手伝いをしていたにしても、これからアートの世界で生きていこうっていうときに、なぜ日本だったんですか? 普通は、ニューヨークやパリ、ロンドンを考えるものでしょう?

大岩:日本はビザが取りやすかったんですよ。

平野:(爆笑)

大岩:それがひとつ。あと日本は当時バブルだったということもあります。

平野:なるほど。

山下:オスカールが日本に来たのは何年?

大岩:92年です。

《Technossaurus Foot》 1993
《Technossaurus Foot》 1993


平野:95、6年くらいまではバブルの余韻が残ってましたからね。

山下:日本に来たオスカールが少しずつ作品を発表しはじめたころ、先の墨田区にあった現代美術製作所で個展をしてね。それを見て、ぼくは素晴らしいと思ったんです。

大岩:フジテレビギャラリーにも来てくれましたよね。

山下:そうだ。そこももうなくなっちゃったけど、有楽町にフジテレビギャラリーっていうのがあって。その頃は草間彌生とかをやっていた。

平野:山下さんの「現場主義」は、常軌を逸してるからね(笑)。大学の先生だから、書斎にこもって研究してるんだとばかり思っていたら、ぜんぜん違った。山下さんはひたすら現場を歩いている。美術館やギャラリーにいちばん足を運んでいる日本人は、おそらくダントツで山下さんでしょう。

山下:(笑)

平野:年間、何百って単位で行ってますよね?

山下:千以上じゃないかな。

平野:いや、ほんとにすごい。頭が下がります、っていうか、頭がおかしいっていうか……(笑)。そんな山下さんが、オスカールさんに目をつけた。

山下:それはもう単純に作品が素晴らしかったからですよ。フジテレビギャラリーのときに作品を買ったくらいだからね。

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平野:山ほどアーティストがいるなかで、オスカールさんに眼をつけたのはなぜ?

山下:最初にオスカールを知ったきっかけは「昭和40年会」だったような気がするけど、予備知識はまったくなかったんです。個展を見て、素晴らしいと思って、いきなり買ったという・・・もっともまっとうな出会い方だった。

平野:どこに惹かれたんです?

山下:「天性の絵心」がある人だと思ったんですよ。しかも現代美術の動向や風潮には無縁で、何者にも似ていなかった。

平野:なるほど。

山下:彼は「絵描き体質」の強い人。毎日描いているタイプです。そうだよね?

大岩:いまでも朝早く起きて、夕方まで毎日描いてます。

平野:修行みたいだな(笑)。

山下:ほとんどサラリーマンだからね(笑)。

《Urban Fossil》 1995
《Urban Fossil》 1995


平野:朝ご飯を食べてからアトリエに行って、ひたすら描いてるわけですね。

山下:日本にいたころも毎日描いていたよね?

大岩:描いていました。

山下:ぼくはこういう根っからの絵描き体質で、ちゃんとやっている人が好きなんですよ。

平野:しかも山下さんは、そういう人の絵を買う。

山下:作品は買ってあげないと。

平野:「いい」と批評するだけじゃなくて、認めた作家の作品を自身が自腹で買う。簡単にできることじゃありません。

山下:オスカールの作品も何点か買ってるよね?

大岩:これまでに3~4点買ってもらってますね。

《Crow's Nest》 1996
《Crow’s Nest》 1996


山下:そういえば、いま広島市現代美術館に寄託している絵もあるな。

平野:山下さんなりのサポート……っていうと安っぽいけど、そういう思いなんでしょう?

山下:やっぱり買うことがいちばん大切なんですよ。



次回は大岩オスカールさんが日本からニューヨークへと移住した理由とは。

大岩オスカール③「アメリカに行くことに決めたときに9.11が起きて、すごく悩みました。」

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大岩オスカール

1965年、日本人の両親の元にサンパウロで生まれる。
サンパウロ大学建築学部卒業後、91年より2002年まで東京を拠点に活動。
2002年よりニューヨークに拠点を移し現在に至る。
物語性と社会風刺に満ちた世界観を、力強くキャンバスに表現する油絵画家。
独特のユーモアと想像力で制作を続けている。

山下裕二

1958年、広島県生まれ。
東京大学大学院卒業。明治学院大学文学部芸術学科教授。
室町時代の水墨画の研究を起点に、縄文から現代美術まで、日本美術史全般にわたる幅広い研究を手がける。

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