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Toshiko's Essay㉖Naked girl "The world of gentle life"

敏子のエッセイ㉖裸の少女「優しいいのちの世界」

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『TIPPI アフリカに育まれた少女』(映像文化センター)。
1997年に出た本だが、私は若い人にすすめられて、最近初めて手にした。
信じ難い、魅惑的な写真集だ。

ティッピはちっちゃくて、細くて、無邪気な、だから恐れを知らぬ少女だ。

彼女はフランス人だが、 アフリカにいて、 ほとんど裸で暮らしている。
野生の野獣とも、鳥とも虫とも、すぐ仲良しになる。
両親がその様子を撮影した写真集を見ると、 この子がまったく素直に、 何の抵抗もなく相手と通じあっていることがよく分かる。

兄弟だって、 親子だって、 なかなかこうはいかないのに。
無垢の信頼が相手に通じるのだろうか。
それとも彼女に天性備わった、 不思議な能力があるのだろうか。

豹とジャレて遊んでいる写真はほんとに面白い。
豹は目を細め、前足をのばして、 ティッピの幼い脚を引き寄せようとしている。
指先を丸め、爪が立たぬようにして、優しく触っているその程あいのよさ。
別のシーンでは豹の口は愛撫するように、ティッピの手を噛んでいる。

彼女が初めてこの豹に会ったとき、彼は人に向かって牙をむき威嚇した。
ティッピはすたすたと歩み寄って「おやめなさい」ときつく叱り、頭をこつんと叩いたのである。
そして、いつしかティッピはその首筋を優しく撫でていた。

――こんな風にして、駝鳥も、象も、ヒヒも、みんな隔てのない友達。
彼らはペットではない。
勿論、野生の動物たちの方がティッピよりずっと大きくて強く、もし牙をむけば、こんな女の子ひとたまりもない。
ただ彼等は優しいだけなのだ。

なぜ? ティッピにふれ、ティッピと遊ぶことが、きっと楽しいのだ。

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さっきの豹もそうだが、彼女と踊ヒヒの姿態。
彼女とキスする駝鳥の、威厳をもって、しかも丁重に仕えている風情がほほえましい。
巨大な象の上にチョコンと乗ったティッピ。
4、5メートルもありそうな蛇になめられても、平気でくすぐったそうに、気持ちよさそう。

ブッシュマンといるところもいい。狩人は獲物に集中して、弓を射る。
ひたすら見つめるティッピ。彼は走る。ついて行く。
べたついた情感がない、そこに清らかな、崇高と言いたいほど美しい、人間の精神の緊張感があって、好きだ。

砂漠に向かってで、一人立つティッピはびっくりするほど弱々しく、小さい女の子なのだが。
この本を見て“いやし”なんて言ってほしくない。
魂を洗ってほしい。
自分がティッピなのだ。
そして、象であり、豹であり、駝鳥でもある。
優しさに飛躍しましょう。
彼等はみんな優しい。
いのちの流露。

私はお釈迦様の前世のお話にある「捨身飼虎」を思った。
彼はきっと、このティッピのような顔をして、崖から飛んだに違いない。
そして飢えた虎は、きっとこの豹や駝鳥のように、優しく、痛くないほどに彼を噛んだのだろう。
こういうことのある世界って、いいなあ。

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