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Oscar Oiwathree-man discussions ⑥ "I spend the best time for creation"

大岩オスカール鼎談⑥「いちばんいい時間を自分の創作に」

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ブラジル出身の画家、現代美術家でありアーティスト・グループ『昭和40年会』のメンバーである大岩オスカールさんと美術史家で明治学院大学文学部芸術学科教授の山下裕二さんとの鼎談です。

〈前回までは〉
大岩オスカール①「『現代アートって、カッコイイじゃん!』って思ったんです。」
大岩オスカール②「いまでも朝早く起きて、夕方まで毎日描いてます。」
大岩オスカール③「アメリカに行くことに決めたときに9.11が起きて、すごく悩みました。」
大岩オスカール④「昔の方法を真似るんじゃなくて、そのあり方や発想を学んだんです。」
大岩オスカール⑤「物語を感じてくれたとしたら、うれしいですね。」


最終回は大岩オスカールさんが芸術を続けていくうえで大切に思っていることをお聞きしました。

「次のなにか」をしなくちゃいけないと思いますね。

平野:オスカールさんはいま芸術を続けていて、悩みや課題、あるいは目標みたいなものって、ありますか?

大岩:世の中、変わっていく。だからつくるものも変わっていくと思うんです。もちろん人間関係も変わっていく。たとえば、画廊がなくなったり オーナーが年とったり、亡くなったり・・・

平野:そうですよね。

大岩:だから変えていかないとダメだと思うんです。次はなにしよう? どうしよう? っていうのはつねに背負っています。

平野:世の中が変わっていくから、オスカールさん自身もやりかたを変えていくってことですね。

大岩:長年おなじことやっていたら、止まっちゃうから。

山下:オスカールは柔軟性もあると思うよ。

大岩:悩んだりもするけど、けっきょく25年もやっているから、波、あがったりさがったりっていうことには慣れているんです。それにしても「次のなにか」をしなくちゃいけないと思いますね。

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山下:そういう意味で、オスカールはセルフプロデュースができる人なんですよ。

平野:それって、一言でいえば、太郎と敏子をひとりでやってるってことでしょ?

山下:そう。こういう人はなかなかいないですよ。これほど几帳面にコントロールしている人は。

大岩:今後の目標というか、チャレンジしてみたいのは、大きいプロジェクトをつくりたいですね。渋谷にある太郎さんの《明日の神話》みたいな、巨大壁画をつくりたい。

山下:いいね!

大岩:ああいう作品を時間がかかってもやりたいですね。そうだな、空港とかに描きたいです。

平野:《明日の神話》のときも、羽田に国際線ターミナルができるというので、そこにどうかってアイデアもあったんだけど、でもやっぱり、あの絵は飛行機にはまずいだろ、っていう話になって。

山下:爆発してるからね(笑)。

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平野:今日ここまでお話を聞いてきて、ともかく真面目な方だっていうことがよくわかりました。「毎日描く」ってことが驚きだし。

山下:そこが他の作家と違うところじゃないかな。

大岩:まず生活がきちんとあって、その中で絵を描くっていうことを仕事として、毎日の生活に組み込んでいるんです。

山下:こういうタイプの作家って、滅多にいないですよ。

大岩:単純にいちばんいい時間を「描く時間」に充てたいんです。

平野:世間のイメージって逆でしょ? 「アーティストたるもの、夜中まで無茶な遊びをして、ベロベロに酔っ払って帰ってきて…」みたいな。

大岩:一世代上のアーティストはそういう人が多いですね。ぼくの世代はそうでもないです。

山下:会田誠はいまもそんな感じだよ(笑)。

平野:(笑) オスカールさんはアートとかデザインとか音楽とかクリエイティブなことをやりたい、もしくはやっている若い人たちにこれだけはやっておけ!っていうようなことって、ありますか?

大岩:地味に働く時間が必要ってことですね。若い人は遊びたい、飲みたいっていろいろあるだろうけど、なにがあってもいちばんいい時間を自分の創作にあてるべき。真面目にやっていかないと、自分のベストを出していかないと、伸びていかないと思います。

山下:ぼくが知る限り、いちばん真面目にやっていますからね。ベロベロに酔っ払ったりしないですから。とかいって、今晩、飲みに行くんですけど(笑)。

大岩:でも23時には家に帰りますよ(笑)。



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大岩オスカール

1965年、日本人の両親の元にサンパウロで生まれる。
サンパウロ大学建築学部卒業後、91年より2002年まで東京を拠点に活動。
2002年よりニューヨークに拠点を移し現在に至る。
物語性と社会風刺に満ちた世界観を、力強くキャンバスに表現する油絵画家。
独特のユーモアと想像力で制作を続けている。

山下裕二

1958年、広島県生まれ。
東京大学大学院卒業。明治学院大学文学部芸術学科教授。
室町時代の水墨画の研究を起点に、縄文から現代美術まで、日本美術史全般にわたる幅広い研究を手がける。

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