岡本太郎をリスペクトする著名人の方々に、
太郎への思いを思う存分語っていただきます。
第6回目は、
お笑いユニット・パップコーンのリーダーで、ネコの人気キャラクター『フテネコ』の作者としても知られる芦沢ムネトさんです。
今回が最終回。
印象に残っている岡本太郎の言葉を伺いました。
—
ぼくが太郎さんの言葉で印象に残っているのは、
けっこう昔にジミー大西さんのドキュメンタリーかな?を見たんです。
その番組は画家としての「ジミー大西」を追っていて。
そこで知ったんですけど、
岡本太郎さんはジミーさんに手紙を送っていた。
そのたった数行の手紙にはこう書かれていたそうです。
「もっとはみ出したっていいじゃないか!」
ジミー大西さんも「どういう意味なんだろう?」って言っているのを見て、
ぼくも一緒になっていろいろ考えちゃいましたね。
太郎さんの励ましの言葉ということは理解できるんです。
でも「はみ出す」ってけっこう難しい。
はみ出し者は排除されがちですからね。
「はみ出す」ってなんなんだろうなってしばらく考えてました。
当然、適当に描くっていうことではないわけですから・・・
それでぼくなりに思ったのは、
まず年齢を重ねれば重ねるほど「はみ出さくなる」のかもしれないってことで。
岡本太郎さんも言っていましたけど、
子供の描く絵がいちばん素晴らしい。
子供はつねに「はみ出て」いるんですよ。
はみ出まくった挙げ句、妙にまとまってしまって、
大人になっていくわけです。
なにか知るということはなにかを失うっていうことなんですね。
ぼくがラジオ( TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」)で10代と話しているときに思うのも、
「大人の意見が100%正しいわけじゃない」ということなんです。
子供に対して、
「世の中ってこういうものだから」
なんて大人目線で思わないほうがいい。
10代の子が言っていることのほうが正しいっていうことがあると思うんです。
だから「もっとはみ出したっていいじゃないか!」っていうのは、
子供のように自由であれ!感受性豊かであれ!ってことなのかなって。
そもそもアーティストっていうのは、
「はみ出しまくる人」たちですから(笑)。
でもいまは世の中的に「はみ出したら」めちゃくちゃ言われますけどね。
犯罪を犯しているわけでもないのに(笑)。
「はみ出すこと」をアイデンティティとして絵や曲をつくっているのにな・・・
って、それはすごく感じますね。
表現の危機じゃないのかな?って。
今回、「PLAY TARO」さんのインタビューの話をいただいて、
「ぼくが太郎さんと遊ぶならなにがしたいか」って考えたんです。
一緒に絵を描くなんて恐れ多いな・・・なんて思いながら(笑)。
なんだろう・・・一緒に遊ぶとしたらなんをするだろう?って。
そもそも「遊ぶ」ってなんだろう?
なんて思考の迷宮に入りかけたりして(笑)。
そこで思いついたのは、「太郎さんと散歩」でした。
散歩がいちばん楽しそうかなって。
太郎さんはなにに注目するんだろうな?と。
散歩をしていて「いい雲だねぇ」なんて、
自然の造形に対して感じたことを言うのか。
それともそんなことに対してはなにも言わないのか。
散歩をしながら地球のなにを見てるのかなって、
単純に知りたいっていうのはありますね。
たとえば季節ごとに匂いってありますよね?
秋ならキンモクセイとか。
そんなふうに匂いに敏感な人なのか?
そういうことを横で見て感じたいですね。
想像するだけでもおもしろくなってきますよ。
なんて言うんだろうな?って・・・
「おなじ道は行きたくない!」
そんなタイプなのかな?
それとも、
「おっ! 細い道だ! 行ってみよう!」
って迷わずどんどん勝手に進んでいっちゃうのかな?
意外と迷子になっちゃったりして(笑)。
散歩の仕方って、
人間性が出るような気がするんです。
あぁ、太郎さんと散歩がしたい!
「芦沢くん、ここにもっとデカイなんかがあったほうがいいよな?」
なんて言われたい!
「あ、えっと・・・よくわからないです」
なんて答えて怒らせたい!(笑)
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芦沢ムネト
1979年9月19日生まれ。
多摩美術大学映像演劇学科卒業。
お笑いユニット“パップコーン”のリーダー。
ラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」の「あしざわ教頭」として活躍するかたわら、ネコの人気キャラクター「フテネコ」の作者としても知られる。
<今後の予定>
リジッター企画公演 第十四攻撃
「そこのこと」
2018年1月17日(水)~21日(日)
会場:CBGKシブゲキ!!
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-29-5
サ・プライム6F
お問い合わせ:contact@legiter-9.info
6th Ashizawa Muneto ③
第6回 芦沢ムネト③
:: October 25, 2017
