大阪のレゲエ・サウンドRED SPIDER のセレクター・MCであるJUNIOR (ジュニア)さんとの対談です。
〈前回までは〉
RED SPIDER JUNIOR①「じつは最初、レゲエが好きじゃなかったんですよね。」
17歳でジャマイカに行ったJUNIORさん。
現地で学ばれたことについてお伺いします。
「かならずしもジャマイカだけが正解じゃない」っていうこと。
平野:JUNIORは17歳でジャマイカに渡った。てことは、高校は…?
JUNIOR:行ってません。
平野:レゲエを勉強したいっていう気持ちがそれほど強かったんですね。
JUNIOR:はい。
平野:でも、現地でレゲエをやっている連中から見たら、「なんだ? この小僧は!・・・イエローモンキーじゃねえか」って感じだったでしょ?・・・あ、ジャマイカ人は白人じゃないから、そうは思わないか。
JUNIOR:いや、そう思われてたと思いますよ。
平野: やっぱりあるんだね。
JUNIOR:ジャマイカ人にも「黒人は差別しちゃあかん!」ていう感覚はあるんですけど、逆にアジア人とかはめちゃくちゃ差別してくるんですよ。
平野: 黄色人種とかそういうこと以前に、「オマエら日本人にオレたちのリズムがわかるのか?」「『さくらさくら』の国から来てなにがレゲエだ、ふざけんな!」っていう反応だったんじゃない?
JUNIOR:ですね。だからちょっと馬鹿にされていた感じでした。言葉もしゃべれないし、じっさいとりあえず行ったって感じだったし…。「この小僧、なにしてんねん!」みたいな感じで思われていたんです。
平野:ジャマイカでは誰か先生についたんですか?
JUNIOR:いや、まったく。まるでツテがなかったんで。ただ、知りあいに何度かジャマイカへ行ったことある先輩がいたので、場所を紹介してもらって、そこにいきなり突撃っていう感じでした。
平野:場所って、クラブみたいなところ?
JUNIOR:住む場所です。
平野:ああ、そうか。まずその心配からはじめないといけなかったんだもんね。
JUNIOR:そこの管理人みたいな人がクラブを教えてくれたり、「レコードはここで買える」とか教えてもらって・・・
平野:想像するに、その暮らしってかなり悲惨だったに違いない。金もなければ友達もすぐにはできないわけだし・・・
JUNIOR:ですね。家も裕福じゃなかったし。ジャマイカに行く飛行機代も…当時18万とかだったと思いますけど…それプラス生活費。はじめて行ったときは一ヶ月だけだったけど、その生活費を貯めて・・・それでジャマイカに行ったら、もっとここにいたいと思って。
平野:刺激的だった?
JUNIOR:そうですね。それでまた日本に帰ってバイトして、貯金して・・・それでまた半年くらい行ったのかな? そのときにたまたま向こうに日本人でレコードの買付けをやっている人がいて。「じゃ、手伝ってよ!」みたいな話になって、それで買付けをすることで生活できるようになっていきました。
平野:なるほど。いわば現地エージェントになったわけだ。
JUNIOR:それをやっているうちに昔のレゲエも勉強できた。「このレコードは1枚3万で売れる」みたいなことを含めてね(笑)。レアな曲もそんな感じで勉強していたら、けっこう昔のレゲエも覚えられたんです。
平野:そうやってジャマイカで少し落ち着いて暮らせるようになり、いよいよレゲエを本格的に修行できる状況になったわけですね。具体的にはなにを?
JUNIOR:ジャマイカって、スタジオが山のようにあるんです。まずはいろんなスタジオに顔を出して、そこのエンジニアにいろいろ話を聞いたり…。トップクラスのアーティストもいるんですよ。
平野:スタジオに?
JUNIOR:そう。そこで普通に会話できたり。
平野:てことは、なにかを体系的に学んだというよりも、現地の空気感や“匂い”みたいなものをひたすら体の中に溜め込んだっていう感じだ。
JUNIOR:そうですね。それと、ジャマイカ行くまでは、「ジャマイカがすべて」だったんですよ。レゲエ=ジャマイカだ、と。
平野: そりゃ、聖地だもんね。
JUNIOR:やっぱり行かなきゃいけないっていうのもあったし、ジャマイカが教科書だと思ってたんです。ところが意外なことに、ジャマイカ人と仕事をしたりアーティストと関わるようになって感じたのは、「かならずしもジャマイカだけが正解じゃない」っていうこと。それよりも自分が思ったことをやったほうがいいっていうか・・・やっぱりオリジナルじゃないといけない。自分のスタイルがないとやっていけないっていうのをすごく感じたんですよ。
平野:それは日本にいたら感じなかった?
JUNIOR:たぶんそうだと思います。オレらは真似してなんぼやっていう感じだったんで。
平野:JUNIORがジャマイカで獲得した「レゲエ」とは、ボブ・マーリー的な伝統様式の音楽ではなくて、それを壊して次々と新しいものに生まれ変わらせようとする“ムーブメント”のほうだった。
JUNIOR:それが自分には衝撃でした。
平野:ジャマイカではみんなが伝統のレゲエを壊すためにいろんな冒険や実験をやっていた。そういう空気をたっぷり吸い込んだJUNIORも、自然のうちにそういう態度を身につけた。JUNIORがジャマイカで学んだのは、レゲエに新しい要素を取り入れるという方法論、そして伝統様式から飛び出すことを是とするクリエイティブな精神だった…。たぶんそういうことだったんだろうね。
JUNIOR:自分ではそんなふうに整理して考えたことはなかったけど、きっとそうだったんだと思います。
—
次回、JUNIORさんの背中を押したミュージシャンついてお伺いします。

RED SPIDER
セレクター・MCをJUNIOR (ジュニア)が務める本人のみからなるキャリア20年の大阪のレゲエ・サウンドである。
現在までに数々の作品をプロデュースすると同時に、強烈なMC、オリジナリティ溢れるダブプレート、サウンドシステムを駆使したダンスを年間100本近くも展開する。
毒舌キャラが先行イメージのRED SPIDERだが音楽を生業とする者として作品作りに対する熱い情熱とあの毒舌MCの裏側にあるレゲエへの異常とも言える愛情は徐々にだが日本中に伝わりつつある。
2016年9月25日には「緊急事態」が大阪舞洲で開催され16,000人の動員であった。
2017年春から再び47都道府県ツアーを敢行、そのファイナル公演を11月27日(月)日本武道館で行う。

47都道府県TOUR FINAL in 日本武道館
2017年11月27日(月)
東京 / 日本武道館
(東京都千代田区北の丸公園2-3)
開場 17:45 / 開演 19:00(21:00終演予定)
スタンド指定席 5000円(税込)
ローソンチケット 0570-084-003(Lコード:77400)
http://l-tike.com/search/?keyword=77400
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:333-199)
http://ticket-search.pia.jp/pia/search_all.do?kw=333-199
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