大阪のレゲエ・サウンドRED SPIDER のセレクター・MCであるJUNIOR (ジュニア)さんとの対談です。
〈前回までは〉
RED SPIDER JUNIOR①「じつは最初、レゲエが好きじゃなかったんですよね。」
RED SPIDER JUNIOR②「かならずしもジャマイカだけが正解じゃない」っていうこと。」
RED SPIDER JUNIOR③「『どう思う?』って聞いたら『なんでオマエやらへんねん!』て言われて。」
今回からJUNIORさんの音楽について掘り下げていきます。
まずはRED SPIDERとJUNIORさんの関係についてお伺いします。
「いまは一人なんですが、16歳ではじめたときは10人くらいいたんです。」
平野:JUNIORがレゲエ・サウンドというDJ的なポジションにいるってことまではわかった。で、次はいよいよJUNIORの音楽について聞いていきたいんだけど、まずRED SPIDERとJUNIORの関係から教えてもらえます?
JUNIOR:RED SPIDERっていうのは、グループみたいなもの。いまは一人なんですが、16歳ではじめたときは10人くらいいたんです。
平野:グループだったんですか?
JUNIOR:最初はとくになにをするでもなく地元で集まった仲間みたいなのがいて・・・
平野:そのチームの名前がRED SPIDERだったわけだ。
JUNIOR:そうです。そのうちにレゲエに興味が出てきて・・・「ジャマイカに行きたい!」っていう話になって。でもなんとなくのノリでやってるヤツもいて、そこでぶつかったりして・・・。やっぱりお金かかっちゃいますからね。当時、音源はレコードしかなかったんです。一枚あたり700円くらいしていたんだけど、それが何百枚も必要になる。
平野:そうだろうな。
JUNIOR:で、「オレ、辞める」みたいなヤツも出てきて・・・オレもジャマイカ行っちゃったし。それで最初にジャマイカに行って帰ってきたときには、もう分解みたいな状態になっちゃっていて・・・
平野:なるほど。
JUNIOR:でもずっとRED SPIDERで動いてきていたので、そのままオレ一人でやっているわけです。
平野:RED SPIDER っていう“傘”があって、その中にJUNIORがいると。
JUNIOR:そうです。いまはもう一人になっちゃったんで、ちょっとややこしいんですけど。
平野:JUNIORがジャマイカでいろいろやって見つけた音が、そのままRED SPIDERのサウンドになっていたんですか?
JUNIOR:いや、それは日本で、自分らでつくったものです。“サウンドシステム”っていうオレらの音みたいなのがあるんですけど、そんなに出す場所がなくて。日本はなかなか野外でできないんで、1000人とか2000人規模のクラブやライブハウスで出したりしてます。
平野:ああ、なるほど。
JUNIOR:つくっている連中は誰も学校に行ってないんですよ。
平野:ちゃんとした音楽教育を受けていないわけですね。
JUNIOR:はい。みんな独学で、こうやったら音が鳴るんじゃない? なんてノリでスピーカーを入れる箱とかもつくって。
平野:音楽教育も受けていないし、エンジニア的な教育も受けてない。
JUNIOR:なにも受けてないんで(笑)。
平野:日本で活動しはじめたときにベースになったのは、JUNIORがジャマイカから持ち帰ってきた新しい音楽の方向だったわけですよね。
JUNIOR:先輩でやりはじめていた人がいたんですけど、みんな「ジャマイカのコピーに命を賭ける!」みたいなところがあったんです。オレみたいにジャマイカに長期で住んでいるヤツはいなかった。そういう目からみると「ジャマイカのコピーしててもあかんのにな」っていうのはありましたね。「オレらはそんなんせいへん」って。
平野:そうだろうな。JUNIORだって、ジャマイカに行く前、15、6歳ときは、周りと同じように「ジャマイカ最高!レゲエ最高!」って憧れていたわけだろうからね。
JUNIOR:まずは「どうすればジャマイカに近づけるか」「オレもジャマイカ人に生まれればよかった!」みたいなノリでした。
平野:周りはその状態で止まっていたけど、JUNIORは向こうに渡り、長く住んでいたから、さっきの話のように「どうすれば次のステージに行けるか? 同じことをやっていたのでは先に進まないじゃないか」っていう概念を持ち帰ってきた。
JUNIOR:そうですね。
平野:ジャマイカから戻ってきたとき、仲間たちとのズレを感じたでしょ?
JUNIOR:どうなんですかね。何回もジャマイカに行って、いろんなやり取りをして・・・真似してきたらあかんなってオレは思ったけど、それが正解と思う人たちもいて、それはそれでわかるし…。
平野:コピーっていうか、「本来の音を追求する」みたいなことでしょうからね。
JUNIOR:そうです。ジャマイカがいちばんっていう。もちろん向こうにすごいミュージシャンいっぱいいますから、まさに宝庫だと思います。でもやっぱりジャマイカの真似だけしていてもジャマイカ人は越えられないと思うんで。
平野:よくわかります。
JUNIOR:でも、レゲエとかオレらのルーツみたいなものは大事にしなきゃいけないと思います。ああいうサウンドシステムみたいなものも、きちんとキープしないとダメだと。
平野:どんな世界でも同じだと思うけど、ベーシックな技術や常識を持っていないヤツは話にならないですからね。
JUNIOR:大事にしなきゃいけない基礎というかルーツは守りたい。それは強く思っています。
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次回は日本人のレゲエ。
そのオリジナリティとアイデンティティについてお伺いします。

RED SPIDER
セレクター・MCをJUNIOR (ジュニア)が務める本人のみからなるキャリア20年の大阪のレゲエ・サウンドである。
現在までに数々の作品をプロデュースすると同時に、強烈なMC、オリジナリティ溢れるダブプレート、サウンドシステムを駆使したダンスを年間100本近くも展開する。
毒舌キャラが先行イメージのRED SPIDERだが音楽を生業とする者として作品作りに対する熱い情熱とあの毒舌MCの裏側にあるレゲエへの異常とも言える愛情は徐々にだが日本中に伝わりつつある。
2016年9月25日には「緊急事態」が大阪舞洲で開催され16,000人の動員であった。
2017年春から再び47都道府県ツアーを敢行、そのファイナル公演を11月27日(月)日本武道館で行う。

47都道府県TOUR FINAL in 日本武道館
2017年11月27日(月)
東京 / 日本武道館
(東京都千代田区北の丸公園2-3)
開場 17:45 / 開演 19:00(21:00終演予定)
スタンド指定席 5000円(税込)
ローソンチケット 0570-084-003(Lコード:77400)
http://l-tike.com/search/?keyword=77400
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:333-199)
http://ticket-search.pia.jp/pia/search_all.do?kw=333-199
e+(イープラス) http://eplus.jp
■お問い合わせ
H.I.P. 03-3475-9999
■RED SPIDERオフィシャルサイト
http://www.kaeru-studio.com/kaeru_studio/spider.php