Talks

Ka-tan talk ③ "Bringing up a child creatively"

カータン対談③「こどもを創造的に育てること」

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ブログ『カータンBLOG あたし・主婦の頭の中』が「ライブドアブログ OF THE YEAR 2015」最優秀グランプリ受賞、2016年には殿堂入りされた人気主婦ブロガーのカータンさんとの対談です。

〈前回までは〉
カータン①「なんだろう。わたし、いま泣きそうになってる。」
カータン②「こうして敏子さんのお写真を拝見すると、太郎さんに似ていらっしゃいますよね?」


今回も記念館を探訪していただきます。
展示室では大阪万博の企画展を開催中。
カータンはパビリオンのミニチュアを見て感嘆の吐息を・・・

「こういうのを考えられるって、頭の中はどうなってたんだろう・・・」

平野:では二階の展示室に行きましょうか。いま大阪万博の企画展をやっています。

カータン:『太陽の塔 1967―2018 ―岡本太郎が問いかけたもの―』ですね。観たかったんです。

平野:ちょうどいま、太陽の塔の内部の耐震補強と展示物の修復工事が行われているんですが、来年3月には終わり、一般公開がはじまります。そこで、この機会に太郎がつくったテーマ館を知ってもらいたいと思って、この展示をつくりました。

カータン:太陽の塔もテーマ館の一部だったんですよね?

平野:そうです。太陽の塔はテーマ館唯一の建築であり、たんなる巨大彫刻ではなく、内部に展示空間を擁するパビリオンです。テーマ館は大きく「地下」「塔内」「空中」「地上」という4つの空間で展開されていたんですが、今回の展示では、このうち「地下」と「塔内」をとりあげています。

カータン:すごくリアルで精巧なミニチュアですね。

平野:テーマ展示って、わずかな写真以外、模型も動画も残っていないんです。ぼくはどうしても空間として追体験したかった。そこでフィギュア界のチャンピオン海洋堂にお願いしてつくってもらいました。

カータン:すごいな。実際にこの中に入った人がいたわけですものね。

平野:〝入った人がいた〟どころか、入館者数は約1,000万人です。当時の日本の人口は1億人そこそこだったので、10人に1人がこのテーマ館を体験したことになります。

カータン:万博ってすごかったんですね。

平野:地下展示は大きく3つのゾーンで構成されていて、これが最初の「いのち」です。細胞、タンパク質、DNAなど、生命をつくっている物質が5億倍に引き伸ばされ、観客を包み込んでいます。

いのち
いのち


平野:真ん中にあるのが、単細胞生物から人間まで、いろんな生きものの誕生シーンがマルチイメージで映し出されていました。

カータン:こういうのを考えられるって、頭の中はどうなってたんだろう・・・

平野:次が「ひと」ゾーン。ここでは、狩猟採集時代、獲物を追いかけていた時代のひとと自然の闘争のドラマが、オペラの舞台のように空間全体で表現されています。

カータン:「いのち」の次は「ひと」なんですね。

ひと
ひと


平野:自然を畏れ、自然を敬い、自然と溶け合いながら生きていた時代の情景です。

カータン:稲作文明が入ってきてダメになったと…。

平野:そうです。農耕がはじまると役割分担ができ、階級ができ、官僚型のヒエラルキーができて、現在のような管理社会になってしまった。

カータン:はい。

平野:「明日も今日とおなじ日が続きますように」と願い、将来に備えて貯蓄に励む。そういう社会に必要なのは依存と従順の精神です。こうして自由で誇らかだった狩猟の民が、取り替え可能な“労働力”になった。

カータン:でも、この時代はいつ死ぬかわからないくらい危険だったし、毎日すごく怖かったわけでしょう?

平野:そうです。でもその代わりに、獲物を仕留めた瞬間には歓喜が待っていた。たしかに危険だったし絶望的でもあっただろうけど、そこにはたぎるような情熱と生命力があった。太郎はそう考えていたわけです。生きがいがあるそういう生き方のほうが、人間的じゃないかと。

カータン:それでこういうものをつくったんですね。

平野:半世紀も前にこんなインスタレーション空間を思いつく人なんて、ほかにはいなかったと思いますね。

カータン:芸術を超えていますよね。

平野:3つ目は「いのり」です。ここは世界から集めてきた仮面や神像を散りばめた呪術的な空間です。

いのり
いのり


平野:真ん中にあるのが《地底の太陽》という太郎がつくった巨大な仮面です。これはいま復元していて、来年3月には見られます。

カータン:大きそうですね。

平野:直径3メートル、全長12mくらいあります。

カータン:すごいな。

平野:見てわかるとおり、仮面も神像もむき出しで展示されています。太郎の指示なんだけど、それを聞いたスタッフは絶句したらしい。「1日に数人しか来ないような小さな資料館でさえ、大切な資料はケースに入れているのに、1日数万人が訪れる万博パビリオンでそんなことをしたら、3日でぜんぶなくなるぞ!」って。とうぜんですよね。だけど太郎は聞く耳を持たなかった。「なくなってもいいから露出展示だ!」と譲らなかったんです。

カータン:そこまでこだわったのは、なぜなんですか?

平野:資料が死んじゃうと考えたんでしょう。ケースに入れたら、見た目は変わらなくても剥製とおなじなんだと。けっきょく仮面や神像はひとつもなくならなかったようですよ。

カータン:人間が豊かになるための祈り?とか、そういうことに使われたんですか?

平野:そうです。こういうものはたいてい、神や自然など眼に見えない大きな力とコミュニケートするための道具ですからね。そういう眼に見えない力と交信するアクションがいわゆる「呪術」で、太郎は「芸術は呪術である」と言ってます。

カータン:仮面は外国からお借りしてきたんですか?

平野:若い文化人類学者を世界の果てまで送って集めてきたものです。基本的には売り物じゃないから、いろんなことをして手に入れたらしい。ときには自分の時計を差し出したりしてね。

カータン:そうなんですね!

平野:「商品」じゃないので、通常の売買とは違う原理で手に入れたものが多かったようですよ。

カータン:なぜ太郎さんはそんなことをしようと考えたんですか?

平野: ひとつには日本に民族学博物館をつくりたかったから。当時、日本には1館もなくて、人類学者・民族学者たちの願いだったんだけど、一向に成就する気配がなかった。そこで太郎は万博というチャンスを活かして世界から資料を集めようと考えたわけです。テーマ館の展示物を揃えるという名目で世界から民族資料を集め、それをバネに博物館建設につなげようと。

カータン:なるほど…。

平野:じっさいこれをもとに国立民族学博物館ができました。万博から7年後の1977年のことです。

カータン:もし太郎さんがやっていなかったら、できていなかった?

平野:その可能性が高いですね。じつはあの頃からどこの国でも考古学資料や民族学資料の持ち出しが厳しくなり、いまではほとんど持ち出すことができません。あの時がラストチャンスだったんですよ。



次回も大阪万博の企画展をご紹介します。
《太陽の塔》の内部、《生命の樹》。
岡本太郎がいちばん見て欲しかったものとは?

カータン④「みんなおなじ、ひとつなんだって言ってるんですね。」

カータンさんのBLOG『あたし・主婦の頭の中 』でも対談前夜のことが書かれています。
ぜひあわせてご覧ください。
「鳥肌が立つほどエネルギーが溢れている岡本太郎の魅力」

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カータン

元外資系航空会社の客室乗務員。二児の母。
日常の出来事や妄想をオリジナリティあふれるイラストで綴る「カータンBLOG」で人気を博す。
現在、さまざまなメディアで活躍中。

カータン BLOG『あたし・主婦の頭の中 』
http://ka-tan.blog.jp/

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