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Okamoto Taro Column ① "Apollo and Jomon Doki"

岡本太郎コラム①東風西風「アポロと縄文土器」

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去年1年、俗にいういまわしい事件がさまざま世の中を騒がせた中で、アポロ8号の快挙は文句ない朗報であった。あのお伽話(おとぎばなし)と実際とが不思議な形で入りまじった、なまなましい夢は、だれでもの心を地上からフッと浮き上がらせるようなセンセーションを与えたに違いない。

たしかに無条件のよろこびであり、一種の身軽さ、爽快(そうかい)感を覚える。

しかし、そういういわば遠心的な心身の快感に対して、何か身の底の方に、ふと、うつろな予感をおぼえないでもない。いかにうれしがっていも、それはやっぱり自分の外におこった事件なのだ。

こんな時に私は、人間の根源にもどっていく求心的なエネルギーを、逆に強く意識する。

かつて私は、そのころ、まだだれも美しいものとして認めていなかった縄文(じょうもん)土器の美にふれ、心身が激動し、ほてる思いがした。そして情熱的にその問題を展開したが、たとえばあのような、自分のいのちの根が地底で強烈にあたたまるあの情感、ずっしりと重い充実感を求めてやまない。

近ごろ、芸術までが時代の影響で、外にひらく一方の、近代主義の遠心力にのって、軽々と、かっこよく放散しているが、人間再発見の意味で根源への志向をとりもどさない限り虚無感は解消しないだろう。

いずれにしても、しょせん人間の運命はこれら二つの相反する力、矛盾の極の間に動揺しながら、ひらかれ、またととざされして進んで行くのだ。

ジャーナリズムをはじめ一般の気配が、月世界旅行の実現を手放しでよろこんでいる様子はほほえましいが、それを見ながらふと私はアンチテーゼの強烈な雷電にうつらぬかれる思いがするのである。

月の太陽も、天上に輝いているばかりではなく、身のうちにぐるぐる回転している。そういう感動で生き続けたい。

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