移動の季節である。この時期、転勤、入社、卒業、入学。日本中ガサガサ、ザワザワと悲喜交々の家探しや移転が行われている。子供を大学に入れるのも楽ではないし、単身赴任にも深刻なドラマが付きまとう。春は何かと心が騒ぐ。

ところで近頃、卒業、就職しても家を出て行かない子、いわゆるパラサイト・シングルという、いつまでも親によりかかって結構優雅な暮らしを楽しんでいる人たちがふえているらしい。

『モア・リポートの20年』という本が話題になって、女性の性意識の変化などとあちこちで書評に取り上げられているので読んでみた。真面目な調査で、ふうんと思ったが意外性はなかったし、案外本音が出ていることもわかった。

「ただ、アンケートに答えた独身女性の7割がパラサイト・シングルだというのには、えーっと思った。全体の平均年齢が24.8歳と、いい大人だし、例として取り上げられている人たちも、23、25、29歳などと職業も持ち、セックスの相手もいて、一人前なのに、家族と同居が圧倒的に多いのだ。異常、と感じてしまうこちらがおかしいのだろうか。でも、ちゃっかりした親がかりの大人なんて、現代的かもしれないが、何となく割り切れない気がする。

先日、新潟から新幹線で東京に向かった。隣席に上品な奥様が座って、問わず語りに身辺のことをいろいろ話してくれた。娘さんが3人目の子供を産んで子育てに大変なので、このところ月曜日に上京して、金曜日に新潟に帰るという生活を続けているのだそうだ。おうちの掃除、洗濯、御主人の一週間分の食事を用意して、朝の新幹線に駆け込むのは大変と言いながら、にこにこして楽しそうだった。元気だから出来ることなのだろう。それはこの方のパワーであり、若さの証拠だ。

喜ばしいことかもしれないが、さて、果たして娘さんは自分がこのお年になったとき、その次の世代にこれだけのことをしてあげられるのだろうか。ふと心細い気がした。

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総体に、若い世代ほどどんどんエネルギーが衰えているのではないかしら。パラサイト・シングルもそうだし、結婚しない症候群もそうだ。要するに、人の為に何かするよろこびを知らない人たち。横着でしないというより、やってあげるという方にスイッチが入らない。頭も廻とらないし、身体も動かない。これは前の世代にも責任があるのかもしれないが、こんな風ではだんだん人間関係が希薄になって、社会の活力がなくなってしまう。

いい男、いい女というのは、いろいろ条件もあるだろうが、まず何よりも根底に生命力の強さ、豊かさが必要ではないか。それでこそ強くも雄々しくも、優しくもなれる。

恋も、そういういのちのふくらみから咲きだすのだ。まず自立してほしい。お互いに、ちゃんと一人で立っている人間でなければ、どんな人間関係ももたれあい、馴れあって汚くなる。親子でも、男と女でも。