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Okamoto Taro Column ⑩ " Materialist of Ministry of Foreign Affairs "

岡本太郎コラム⑩東風西風「外務省の石頭」

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アルゼンチン大使の筆禍事件は近ごろ奇妙な話であった。問題の本を読んだわけではないが、新聞や週刊誌の伝えるところだけでは、まことにナンセンスだ。

書かれていることもばかばかしいが、なんで外務省はあんなにムキになって騒ぎたてたのだろう。つまらぬ文章をかえって世界に宣伝したようなもの。国辱だ、日本の恥だなどとイキリたつ方が、逆に劣等コンプレックスをむき出しにして、国辱ものだ。何を書こうと書かれようと、平気で突っぱなしていればよいのに。本当の自信とはそういうものだろう。

それはそれとして、まったく別な面から、私には言いたいことがある。

文中「ピグミーとホッテントットをのぞけば、世界のすべての人種のうちで日本人がおそらく肉体的に一番魅力がないだろう」というところだ。テメエ自身をさげすむのはまだユーモラスだ。しかし、あの言い草は許し得ない。野暮で非道徳な発言だ。ピグミーやホッテントットが最も魅力のない種族であるなんて、どこに証拠があるのか。

人類最古の芸術の一つ、旧石器時代のあのおしりのつき出したマグダレニアのビーナス像の崇高な美しさ。ホッテントットはまさにその姿だ。またピグミーは身体こそ小さいが、森の中に果敢に生きて、言いようのない緊張と充実を示している。恐らく西欧マナーにカチンカチンになった外務官僚氏など、身近にふれたことも、真面目(まじめ)に考えたこともないのだろう。これらの人々を、今日いわゆる弱小種族だからといって無神経に、いわれのない侮蔑(ぶべつ)の引きあいに出す。その根性が許せないのである。

また国辱だと息まいている側も、騒ぎたてているジャーナリズムにも、そういう面をついた声はあまり見られなかった。

いやしい。西欧には自動的に頭を下げ、AA諸国民をさげすみ、それで大国民ぶりたがる、その不潔さに対して人間的な憤りを感じるのである。

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