2017年に岡本太郎賞を受賞した山本直樹さんの新作『Corpse Reviver Taro ver. ー「死者の復活」 岡本太郎 バージョン』が岡本太郎記念館で展示スタートしました!
早速、山本直樹さんにインタビューさせていただきましたのでご覧ください。
――今日はよろしくお願い致します。
山本:こちらこそよろしくお願いします。
――まず作品のことお伺いする前に・・・たった今。なにかハプニングがあったとお聞きしたのですが?
山本:じつは作品を踏まれてしまって。
――ええ?
山本:ここに靴の跡があるの、わかりますか?
――本当だ・・・え? でも靴の跡があるということは、この作品はガラスの上に砂糖がそのまま乗っているってことですか?
山本:そうなんです。雁皮紙をガラスに置いて砂糖をまぶして引き上げているだけなので。ネガポジ反転ですね。だから指でガラスを拭うと砂糖がとれちゃうんです。
――おもしろいですね。
山本:ありがとうございます。6月24日(日)、6月30日(土)にはワークショップも行うのですが、そこでは小さい机を用意してミニ太郎をお客さんと一緒につくって、鑑賞したあとにお砂糖を集めて、味わっていただこうと思っています。
――食べちゃうんですか?
山本:はい。砂糖を味わうことで、太郎さんが自分の体内に宿って、生き続けるんです。そこまでを体験して「死者の復活」だと思っています。
――それはすごい。ちょっと今までにない展示ですね。
山本:それは嬉しいですね。
――雁皮紙の太郎さんの肖像ですがこれって顔写真を取り込んでつくられたんですか?
山本:記念館所有の太郎さんの写真をお借りして、それでぜんぶつくりました。多少自分でアレンジして形にしたものもあります。
――これはレーザーでつくられているんですか?
山本:お線香で焼いてつくっています。
――そうか。死者だからお線香なんですね。この穴、1つずつ線香で焼いていくんですよね?
山本:ええ。1つずつ手で焼いていきます。焼くことで「痕跡」として紙に残すんです。
――こんなにきれいにお線香でつくるものなんですね。
山本:でもちょっと荒い感じのところがあるんですけど、そこは疲れてたときに(笑)。
――穴を大きく焼きすぎてしまう?
山本:1枚につき、10時間くらいかかるんですけれど、うっかり寝てしまったりして。
――それは危ないですね!
山本:お線香の火が髪の毛に移って燃えたりして、髪の毛が焼ける匂いで目が覚めるんです(笑)。
――笑いごとじゃないような・・・その線香の穴からこぼれ落ちた砂糖・・・空調の風とかで少しずつ変化していったりしそうですね。
山本:すごい風力だとたしかに変化していきますね。でもまたそれも作品のうちです。さきほどの靴跡もそうですけど、このあとに指でガラスを触ったりする人もいると思うんです。でもそれらもある意味、「痕跡」なんで。良いと思っています。
――なるほど。そこも「痕跡」ですね。
山本:できることならこのガラスの上の砂糖を集めて味わっていただきたいんです。お茶とかコーヒーに入れて飲む。そういうところまでやりたいんですけれど、やはり衛生上の問題があるので。ぜひワークショップで体感していただきたいですね。
――2017年に「敏子賞」を受賞された井原宏蕗さんは「岡本太郎と戦う」というテーマを与えられていますが、山本さんも何かテーマを与えられたのでしょうか?
山本:記憶の上では、特に展示をこうしてくれということはなかったと思います。「好きなように」という感じと・・・ただ学芸員の方に言われたのが、「難しいわよ」と。「過去に太郎さんと作品を一緒にして、あまりに太郎さんのパワーが強くて作家活動を辞めた人がいるから心しなさい」というようなことを言われて・・・たしかに考えてみたら恐ろしいことだなと。
Naoki Ymamoto new exhibition interview !
【速報】山本直樹 新作展示インタビュー!
:: June 22, 2018
