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Okamoto Taro Column ⑫ " Siren sound "

岡本太郎コラム⑫東風西風「サイレンの音」

1980頃-69歳頃 青山アトリエ

今日の都市生活では、あらゆる雑音、空気の汚染など、いわゆる公害には慣れて、無神経になってしまっている。しかし中にどうにもやりきれないもの――けたたましいパトカーのサイレンの音だ。救急車、消防車も負けずにウーウーと鳴りたてる。

自分には関係ないとわかっていても、あの音は神経をさかなでする。不吉な、強圧感。

このいやな感じは、人間心理の潜在意識に働くものかと思っていたが、それだけではないらしい。あの音を聞くと、犬が鳴きだすそうである。悲しげに、陰々と。映画会社などでは撮影中、犬に遠ぼえさせるシーンをとるときは、陰で手回しのサイレンを鳴らしてやる。すると必ず犬は鳴く。はずれることはないというから面白い。してみるとあれは、生物にとって何か根源的に不快な、恐怖感を与える音なのだろう。

それはともかく、あんな不吉な音が町を走りまわるのは何とかならないものか、と常々思っていた。だいぶ前、秦野警視総監に会った機会に、たまたまそのことにふれたら、総監もうなずいて同感していた。先日、突然電話がかかり、あの話がきっかけでパトカーの音を改善することが具体化し、東京都からも予算をもらって世界中のおもな音を調査した。それを参考に、もう少し、警告的ではあっても親しめる調子のものに変える。幾つか試作が出来たので聞いてほしい、という話である。

私は“言いだしっぺ”というわけ。

いろいろと聞かされたが「キーポンキーボン」「チャカポコチャカポコ」「トンカントンカン」「ランラン」「ピィーッピィーッ」と、みんなユーモラスで、楽しい。

どれも今までのよりははるかにマシだ。ただ私の感じでは、まだちょっと余韻がしめっぽい。その方が何か味があるように思うのかもしれないが。出来るだけ明朗な、若々しい音にしてほしいと意見をのべた。

六月ごろには実施されるそうだ。都民生活もこれでいくらか明るさをますだろう。全国にひろがればよいと思う。

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