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Sousuke Fujimoto Talk ⑤ Groove architecture

藤本壮介対談⑤「グルーヴする建築」

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数多くの賞を受賞し世界的にも注目されている建築家 藤本壮介さんとの対談です。
第五回目は藤本さんが建築を志した理由をお伺いします。

〈前回までは〉
藤本壮介①「ローコストなのに、けっこうアクロバティックなこともやってるし。」
藤本壮介②「内側から湧き出してくるようなイメージにできないか、とも考えました。」
藤本壮介③「森と一緒に打つくらいじゃないとほんとうの意味で響かないんじゃないかって思ったんです。」
藤本壮介④「ぼくは感性だけではつくりたくないと考えていますが、だからといってロジックだけでつくりたいとも思わない。」



「大学に入ったら、物理がめちゃくちゃむずかしいってことがわかったんです。」

藤本:ぼくの建築と関係があるのかどうかわからないけど、じつは高校までは建築をやりたいなんて思っていなくて。やりたかったのは物理学だったんです。

平野:物理学?

藤本:アインシュタインが大好きだったから、宇宙の研究みたいなことがやりたくて。それで入門書を読んだりしていました。

平野:まさに論理の世界ですよね。

藤本:そうなんですが、論理がちょっとした飛躍をすることで、そこからまたちがう論理が出てきたりもするんですよね。そういう新しいなにかを生み出したいっていう思いが強かった。新しい世界の捉え方というか…。

平野:物理を好きなタイプの子って、たいてい美術が嫌いだったけど、藤本さんはなぜかスケッチもうまい。

藤本:(笑)

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House N – (c) IWAN BAAN


平野:優れた物理学者は、イケてる公式を見ると〝美しい!〟と感じるらしいですね。そういった美しさを競う、みたい感覚があるらしい。

藤本:そうですね。

平野:イケてる物理青年はきっとそうなるんですよ。中途半端なヤツが「オレは理系だ。美術みたいな軟弱なものに興味はない」みたいなことを言うんです。まあ、ぼくがそうだったんですけどね。

藤本:(笑)

平野:それにしても、物理が好きな青年は、ふつう建築には行きませんよね?

藤本:大学に入ったら、物理がめちゃくちゃむずかしいってことがわかったんです。数学も物理も、高校とはまったくレベルがちがっていて…。

平野:そりゃ、そうでしょう(笑)。

藤本:最初の授業でまったく意味がわからなくて。これはこの道には行くなってことだなと思って。これはまずいなと。

平野:でもその段階では、まだ建築には興味なかったんですよね。それがどうしてまた建築に? モテるかも、と思った?

藤本:いや、当時の建築学科はモテない学科ですよ(笑)。ものをつくるのが好きだったんです。小さいころから粘土で恐竜なんかをつくったり、図画工作も大好きで。

平野:なるほど。

House N - (c) IWAN BAAN
House N – (c) IWAN BAAN


藤本:親父は医者だったんですけど、医者になる前に彫刻や絵画をかじってたんですね。それで家の中にそういうアート系の本がいっぱいあったんです。

平野:そこに建築の本もあった?

藤本:一冊だけ、ガウディの本がありました。それまでは建築を「建物」としか見ていなかったけど、中学校ぐらいのときにそれを読んで、建築ってこういう変わった人がいて、クリエイティブなものなんだな、と思ったことを覚えています。

平野:でも当時は物理の方がいいと思っていた。

藤本:そうです。でも物理がむずかしいとわかったとき、ものづくりをやるとしたら建築かなと思ったんです。

平野:それはなぜだろう?

藤本:最初はほとんど直感だった気がします。ただ建築を学び始めてすぐに、物理と建築のつながりに気がついたんです。アインシュタインとコルビュジエって、20世紀初頭に革命的なことをやったわけですよね。音楽の世界でもそういう動きがありました。ぼくはアインシュタインのことはよく知っていたし、ピカソも知っていたけれど、建築家のことは知らなかった。でも建築学科に入ってすぐにコルビュジエのことを学んで、建築にもそういう新しいことをしようとしていた人がいたんだと知って…

平野:うん。

藤本:物理をやりたいと思っていた自分の思いはここにつながっていたのか! みたいに都合よく解釈して(笑)。単純に、おもしろそうだなと思ったんです。

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平野:ということは、大学で建築を志した時点で知っていたのはガウディくらいのものだった。

藤本:そうです。丹下さんのことも知らなかったし調べてもいなかった…。

平野:(笑)

藤本:なにも知らなかっただけに、建築学科に入っていろんな建築家の勉強をしたとき、あまりのギャップに驚きました。こんなことをやっていた人がいるのか!って。

平野:同級生の中には、こどもの頃から「ボクは建築家になるんだ!」って勉強してきたヤツもいたでしょ? うんちくいっぱい話すような(笑)。

藤本:いましたね。全集をぜんぶもってるような(笑)。

平野:でもきっと藤本さんは最初からよく出来る子だったんだろうな。

藤本:右も左もわからないうちから課題をいろいろ出されるんですが……最初につくったものからしてけっこう評判がよくて(笑)。

平野:そうでしょう。

藤本:オレ、もしかして才能あるの? なんて(笑)。そんな感じもあって、楽しくのめり込んでいけたんです。



次回はレールに乗らなかったキャリア形成について。

藤本壮介⑥「もしかしたら流されて、自分を見失っちゃうんじゃないか、みたいなことを考えたりして。」

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藤本壮介

1971年 北海道生まれ。
東京大学工学部建築学科卒業後、2000年 藤本壮介建築設計事務所を設立。
2014年 フランス・モンペリエ国際設計競技最優秀賞、2015年 パリ・サクレー・エコール・ポリテクニーク・ラーニングセンター国際設計競技最優秀賞につぎ、2016年Réinventer Paris 国際設計競技ポルトマイヨ・パーシング地区最優秀賞を受賞。
主な作品に、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013 (2013年)、House NA (2011年)、武蔵野美術大学 美術館・図書館 (2010年)、House N (2008年) 等

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