Talks

Kosai Sekine Talk ③ "sense of punk"

関根光才対談③「パンクという美意識」

P1780052①

ドキュメンタリー映画『太陽の塔』の監督であり日本が世界に誇る若手広告映像ディレクター関根光才さんとの対談です。
第三回目は「なにかが掴めるかもしれないっていう予感と期待」。

〈前回までは〉
関根光才①「太陽の塔に対して、『アレはヤバイな』とは思っていたんです。」
関根光才②「『どうやって太陽の塔を超えるか』みたいな話をしなきゃいけないだろうと思ったんです。」

自分たちの存在って何なんだろうとか、なんでこんなことをして生きているんだろうとか。

平野:この映画を撮ることが決まったとき、このチャンスになにを実現させたいと思いました? あるいは、この仕事は自分にとってどんな意味があると?

関根:そこまで客観的に結果を予測できていたわけじゃありません。なにしろ太陽の塔についても、岡本太郎についてもよく知らなかったわけですし。まずは勉強しないといけなくて。

平野:そういえば資料を大量に送ったなぁ。

関根:そうです、そうです(笑)。ダンボールいっぱいの資料をいただいて・・・。そういう状況だったので、結果が予測できていたわけじゃないけれど、ただ、現代の日本の人たちが「表現とはなにか」を考える契機になるといいなあ、という思いはありました。漠然とですけれど。

平野:太陽の塔なり、岡本太郎なりを媒介にして、現代を生きるクリエイターや表現者、あるいはクリエイティブ・マインドもつ人たちが、「ものをつくるとはどういうことか」を考えるきっかけにしたかった?

関根:そうですね。それを考えることって、芸術について考えるだけにとどまらず、すごく大きな話になると思うんです。自分たちの存在って何なんだろうとか、なんでこんなことをして生きているんだろうとか。日本の社会はそういうことを長いあいだあまり考えてこかったような気もするし。



Youg Juvenile Youth「Animation」


平野:関根さんはさまざまな映像作品をつくってきたわけだけど、そういうものではできなかった、というと語弊があるかもしれないけど、そういうものとはちがうなにかをつくるチャンスかもしれないと思った?

関根:そうですね。広告やミュージックビデオなどをよくやっているんですが、それらと離れて「NOddIN」っていう活動もつづけているんですが……

平野:「ノディン」?

関根:NIPPONをひっくり返してNOddIN。

平野:ああ、なるほど。

関根:3.11以降に、映像作家やアーティストなどが集まって、このままじゃ日本社会はヤバイぞと。ああいう原発事故があったあとにも日本人は変わらなかったっていうのがあって…。

平野:うん。

関根:広告や音楽など普通にやってきた仕事が、いままでのようにはできないな、と思ったんです。表現と社会のかかわりを自分たちで主体的に取り戻そうと。

平野:どんな活動を?

関根:エギジビションをやったり、短編映画をつくったり…。そういうことがあって、いまお話しているような問題意識を、自分の人生から切り離して考えられないようになったんです。

平野:なるほど。

関根:太陽の塔はあれだけ大きいものだから、なにかしら強烈なメッセージが内包されているはず。やってみないとわからないけれど、紐解いたらなにか自分が興味あるテーマにつながってるかもしれないと。

平野:予感があったわけだ。なんかわかる気がする。

関根:漠然とはしているけれど、なにかが掴めるかもしれないっていう予感と期待と。そういうのが大きかったですね。



The Fin「Night Time」

平野:ちなみに、ぼくがなぜ映画をつくろうと考えたかというと、太陽の塔はこれからの時代にこそ必要であり、役割を担うものであり、そういうポジションに否応なく置かれるだろうと漠然と思ったから。そこまではっきりと輪郭が見えていたわけじゃないけど、アイツがほんとうの仕事をするのはこれからだ、だからいまちゃんと「アイツはなに者なのか」を描いておかなければならない、と思ったんです。

関根:よくわかります。

平野:それこそ、原発以降の日本の問題を考えている関根さんの問題意識と通底しているのかもしれない。日本を取り巻く、あるいは世界を取り巻く事情や状況が、太陽の塔を浮き立たせているのはたしかです。おそらくこれからもっと意味が増していく。そういう予感があるから、太陽の塔をきちんと伝えたいし、きちんと考えたい。

関根:はい。

平野:そのときの媒体として、いちばんふさわしいメディアは、やはり映画だろうと。
映画は芸術ですからね。



次回は「映画はどのようにつくられているのか」。

関根光才④「勉強に一年くださいって平野さんにお願いしたけど、『ムリ!』と一蹴されて(笑)。」

P1780029①
関根光才

1976年生まれ。東京都出身。2005年に短編映画『RIGHT PLACE』を初監督し、翌年カンヌ国際広告祭のヤング・ディレクターズ・アワードにてグランプリを受賞。以降、数多くのCM、ミュージックビデオ等を演出し、2012年短編オムニバス映画『BUNGO~ささやかな欲望~』では岡本かの子原作『鮨』を監督。

2014年の広告作品SOUND OF HONDA『Ayrton Senna 1989』ではカンヌ国際広告祭で日本人初となるチタニウム部門グランプリ等、多数の賞を受賞。国際的にも認知される日本人監督となる。


2018年9月に初の長編ドキュメンタリー映画『太陽の塔』が公開になり、11月には長編劇場映画初監督作品『生きてるだけで、愛。』の公開も控えている。


現在は国内外で活動する傍ら、社会的アート制作集団「NOddIN」でも創作を続けている。

Articles

Special Feature

Channel Taro TV

Read More
:: August 1, 2018

映画『太陽の塔』トレーラー

Read More
:: March 21, 2017

《門扉》制作風景

Read More
:: November 30, 2016

《樹人》制作風景!