あいみょんと語る⑥

岡本太郎を敬愛するシンガーソングライターのあいみょんと空間メディアプロデューサーで岡本太郎記念館館長の平野暁臣による展覧会「太陽の塔」特別対談です!

〈前回までは〉
①「太郎さんのことは絶対に知っていたほうがいい」
②「太郎さん、なんか、かわいい(笑)。」
③「でもフツー、こんな大きなものが、行方不明になります?(笑)」
④「これも海洋堂さんなんですね! すごいぞ、海洋堂(笑)!」
⑤「太郎さんって…もしかして…シャーマン?」

今回は「万博」について語ります!



「大阪万博のテーマも『人類の進歩と調和』でしたもんね。」

あいみょん:そもそも万博ってどういうものなんですか?

平野:一言でいえば、近代思想を大衆に打ち込む啓蒙装置、ってところかな。「技術の進歩が社会を豊かに、人を幸せにする」という工業社会の進歩観を、理屈ではなく体験として大衆にわからせる。だからどのパビリオンも〝技術がひらく夢の未来〟をプレゼンするわけ。

あいみょん:大阪万博のテーマも「人類の進歩と調和」でしたもんね。

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平野:万博って、19世紀に生まれたときから〝近未来の疑似体験〟を提供してきた。「まもなくこんな夢のような未来がやってくるんですよ」ってメッセージするためにね。じっさい大阪万博では、それぞれのパビリオンが、宇宙船、ロボット、超音速旅客機、リニアモーターカー、コンピューター、レーザー光線、動く歩道、全天全周映像…といった近未来技術を競ってアピールしたわけ。

あいみょん:きっと見た人はワクワクしたでしょうね。

平野:うん。ぼくは小学校6年だったんだけど、ものすごい衝撃だった。ぼくの人生で最大の事件と言っていいくらいにね。でも太郎は「技術の進歩が人を幸せに導く」なんてこれっぽっちも信じていないわけ。それどころか「人類は進歩なんかしていない」って。

あいみょん:太郎さんらしい(笑)。

平野:ほかのパビリオンが「技術自慢」をしているときに、太郎だけは〝生命のエネルギー〟とか〝狩猟時代の誇らかな生き方〟みたいなことを訴えていたんだよね。これが地下展示の最初のゾーン〈いのち〉なんだけど…

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あいみょん:はい。

平野:観客を包み込むのはタンパク質、DNA、ATPといった〝生命をつくる物質〟たち。いわばぼくたちの〝血の中に受け継いでいるもの〟だね。そして真ん中の受精卵みたいな造形はマルチスクリーンで、さまざまな生きものの誕生シーンが映し出されている。

あいみょん:なんか、神秘的。

平野:これが次のゾーン〈ひと〉。自然と闘い、自然と溶けあいながら生きた狩猟採集時代の人間の生きざまが、オペラのようなインスタレーションとして表現されている。

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あいみょん:ほんとうに舞台みたいですね。

平野:そしてこれが世界から集めた仮面と神像が空中に浮かぶ、地下展示最後のゾーン〈いのり〉。〝神々の森〟って感じでしょう? 真ん中でこの〝祭り〟を取り仕切っているのが〈地底の太陽〉。

あいみょん:まさに呪術の世界ですね。

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平野:さまざまな生命が生まれた時代。人と自然が一体になって生きた時代。神や霊など見えない力と溶けあっていた時代・・・

あいみょん:それで太陽の塔に入ると生命の樹があって・・・

平野:そこでは原生生物から人類まで、四十億年におよぶ「生命の歴史」が描かれている。いちばん下がアメーバでいちばん上が人間だけど、もちろん「アメーバは下等で、人間が上等」と言っているわけじゃないよ。むしろ逆で、ちがいなんかないと言っている。みんな1本のおなじ幹に連なっているんだからね。



次回は〈生命の樹〉について語ります!

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