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Kosai Sekine Talk ⑩ "sense of punk"

関根光才対談⑩「パンクという美意識」

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ドキュメンタリー映画『太陽の塔』の監督であり日本が世界に誇る若手広告映像ディレクター関根光才さんとの対談です。
最終回は「反骨精神」。

〈前回までは〉
関根光才①「太陽の塔に対して、『アレはヤバイな』とは思っていたんです。」
関根光才②「『どうやって太陽の塔を超えるか』みたいな話をしなきゃいけないだろうと思ったんです。」
関根光才③「自分たちの存在って何なんだろうとか、なんでこんなことをして生きているんだろうとか。」
関根光才④「勉強に一年くださいって平野さんにお願いしたけど、「ムリ!」と一蹴されて(笑)。」
関根光才⑤「最初のトリートメントからそんなに遠くなかったね」って言ったのを覚えています。
関根光才⑥「外の世界が平和じゃなくても、自分たちは平和に暮らしたい。」
関根光才⑦「それでいて壊しながら串刺しにするようなものが欲しいと思って。」
関根光才⑧「『呪術的、原始的、本質的』であること。
関根光才⑨「どうやったらみんなが乗れるステージをつくれるか。」

「大きな目的のために一緒につくろうっていうのが理想だと思っています。」

平野:若いころは、往々にしてリキむわけです。「これがオレの表現だ!」ってね。でもそんなものは「勝手にやってろ!」っていう話。しかし、だからといって「お客さまのお望みどおりのものをご用意いたします」では、なにも生まれない。

関根:認めてもらわなきゃいけないっていうこともありますしね。

平野:プロジェクトにはたくさんの人がかかわるから、いろんなことを考えなければならないし、諦めなきゃいけないこともいろいろ出てくる。そういう環境のなかで芯になり得るものはなにか。関根さんは、まずはつくり手自身が本気でおもしろいと思えるかどうかだと。

関根:それはほんとうに大切な気がします。

平野:「これがおもしろいと思うんだよ」とひたすら周囲に問いかけるっていう話はとても大きなヒントになると思う。

関根:自分がおもしろいと思っていることよりも、相手が要求することが勝っちゃったり、相手に譲ったりしたら、その瞬間に〝お仕事〟になってしまいますからね。

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平野:クライアントからオファーがあったとき、関根さんはどういうところから考えはじめるんですか?

関根:ぼくは常に、メッセージはなにか、どういうメッセージを発信したいのか、を真っ先に考えます。

平野:映画にせよコマーシャルにせよ、映像はチームでつくるわけですよね。

関根:はい。

平野:とうぜん信頼できるチームが必要なわけだけど、関根さんはチームのメンバーをどんな基準で選ぶんですか?

関根:けっこうむずかしい問題で、ケースバイケースです。映画の世界ではよく「○○組」って言われますよね。監督の名前がついて。

平野:この映画だと「関根組」ね。

関根:ぼくそれがけっこう苦手で…。現場でなんかちょっとお尻の据わりが悪いなと。

平野:(笑)

関根:自分としては「太陽の塔組」のほうがしっくりくるというか…。このプロジェクトをやろうと集まっているわけですからね。

平野:関根光才個人のために集まっているわけではないと。

関根:それだと小さい話になってしまうので。そうじゃなくて、大きな目的のために一緒につくろうっていうのが理想だと思っています。

平野:うん、ぼくもそう思う。

関根:映画である以上はなんらかのメッセージを発信するわけですから、それを発信する上で各自それぞれのベストを考えるっていうのがチーム編成のありようだと思います。

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平野:どんな風にして選んでます?

関根:技術や人柄みたいなことももちろんあるし、ある種、運や巡り合わせみたいな部分もあるし…。監督が全員をアサインするのかっていうと、そういうわけでもないので。でもそこがおもしろいところで、新しい人たちと巡り合うのもとてもいいことなんです。

平野:なるほど。

関根:一時期は、自分が100人いれば正確で緻密なものができるのに…、と考えたこともあったけど、いまではそれじゃ小さなものにしかならないと思っています。

平野:ぼくはプロデューサーとして、中核メンバーをあつめてプロジェクトチームを編成するわけだけど、そのとき真っ先に脳裏に浮かぶのは、ともに戦場をくぐった戦友たちです。

関根:はい。

平野:一定の成果が計算できるっていうこともあるし、ぼくも安心だし。壁にぶち当たったときに過去の成功体験を武器に闘えば突破できる、少なくともその可能性が高いと、半ば無意識のうちに考えるんだと思います。

関根:よくわかります。

平野:だけど毎回おなじメンバーだと、やはりマンネリ化する。けっきょく自分で自分をトレースしちゃうんですよね。それを防ぐためには、新しい血を入れなきゃいけない。でもすべてを新しい血にしてしまったら、もしかしたら制御不能になって破綻するかもしれない。

関根:そういうものですよね。

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平野:ではいったい、どの程度までならリスクとして許容できるか。

関根:ぜひ聞きたい!

平野:ぼくは直感的に三分の一だと思います。三分の一までなら、万一そのすべてが機能しなくても、残りの三分の二でなんとかカバーできる。

関根:意図的にそうしてるんですね。

平野:そう。三分の一を目安に、新しい血を入れるようにしています。新しい血が〝異文化〟を持ち込むわけだけど、それが一種の摩擦要因になると同時に、新鮮な刺激にもなる。

関根:そういう意味でいえば、ぼくの場合はほぼすべてが新しいひとでも大丈夫です。映像制作という土俵の上なので、それぞれのパートにおいて共通言語がありますから。

平野:なるほど。

関根:海外で仕事するとき、たいていはぼく一人で出かけるんですよ。ほぼ100%知らない人って言うケースがほとんどなんですけど、映像制作には決まったフォーマットがありますから。

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平野:最後に、クリエイティブな世界で生きたいと考えている若い人たちにひとこと言うとしたら、なにを言います?

関根:こういう時代だからバネをためるじゃないけど、そういうことが大事なんじゃないかと思っているんです。

平野:うん。

関根:ぼくが好きなものって、どこかでパンクなんですよね。反骨精神があるというか。それがないと大きな地殻変動は起きないから、つまらない。「楽して生きよう」みたいな考えからできるだけ遠い、反対側に自分を置いていないと、おもしろいものはつくれないと思います。



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関根光才

1976年生まれ。東京都出身。2005年に短編映画『RIGHT PLACE』を初監督し、翌年カンヌ国際広告祭のヤング・ディレクターズ・アワードにてグランプリを受賞。以降、数多くのCM、ミュージックビデオ等を演出し、2012年短編オムニバス映画『BUNGO~ささやかな欲望~』では岡本かの子原作『鮨』を監督。

2014年の広告作品SOUND OF HONDA『Ayrton Senna 1989』ではカンヌ国際広告祭で日本人初となるチタニウム部門グランプリ等、多数の賞を受賞。国際的にも認知される日本人監督となる。

2018年9月に初の長編ドキュメンタリー映画『太陽の塔』が公開になり、11月には長編劇場映画初監督作品『生きてるだけで、愛。』の公開も控えている。

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