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JEMAPUR talk ② "Jomon people's groove"

JEMAPUR対談②「縄文人のグルーヴ」

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電子音楽家で関根光才監督による初の長編ドキュメンタリー映画「太陽の塔」の音楽を全編にわたり手掛けられたJEMAPUR(ジェマパー)さんとの対談です。
第2回はJEMAPURさんのつくる「電子音楽」とは。

〈前回までは〉
JEMAPUR①「もはや「複製」というより「破壊」に近いと思います。」

「既存の生命体とは異なる別種の生命を創造しているっていう感じです。」

平野:ジェマくんの「グラニュラーシンセシス」では、サンプリングした音を、元がなんだったかわからないところまで切り刻み、分子レベルに分解する。その後、分子と分子を結合させることで……

Jemapur:〝生命体〟を…

平野:そう、新しい生命体を生み出す。どれほど切り刻んでも、コンマ何秒であっても、そこには演奏者の技術、情熱、思想…、そういうものが遺伝子のように刻まれていて、いかに単位が小さかろうとゼロにはならない。

Jemapur:はい。

平野:さまざまな〝分子〟や〝遺伝子〟を結合させるわけだから、そこではとうぜん〝化学反応〟が起こるわけですよね? その結果、新たな分子構造ができる。

Jemapur:そうですね。

平野:とすると、ジェマくんがつくる音楽=生命体のなかには、さまざまな遺伝子が複雑に組み込まれているということになる。

Jemapur:既存の生命体とは異なる別種の生命を創造しているっていう感じです。

平野:〝神〟だ(笑)。

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Jemapur:技術の進歩やプログラマーさんのお陰ですけどね(笑)。

平野:技術的にはコンピューターの処理速度に依存するわけでしょう?

Jemapur:そうですね、完全に依存します。

平野:しかし、だからといってコンピューターがすべてを支配しているわけではないですよね? 細かく切断する作業は機械がやっているとしても、音そのものはコンピューターがつくったわけじゃないんだから。

Jemapur:元々は違います。

平野:〝元々は〟? 気になる言い方だ(笑)

Jemapur:粒子状にして、それを組み換えていくときにコンピューターを利用するわけですけど、その過程で、電子的な…なんて言ったらいいのかな…ある種の揺らぎみたいなものを付加するんですよね。

平野:調味料みたいな話? エフェクト処理でリバーブを足すとか?

Jemapur:いえ、なんていうんですかね・・・素材になっている音源は、たしかに物理的に発生した音なんですけど、それをミクロの単位で切り刻んでいくと、物理的な限界から解き放たれるんですよね。

平野:なんだ、それ? とても音楽の話とは思えない(笑)。

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Jemapur:…(笑)。たとえば楽器は演奏するときの強さを変えれば表現が変わりますよね? でも、コンピューターを介して、細分化された音をもう一回並べ替える作業をしていくと、現実の生活空間にある物理限界から解き放たれて、別の側面が音に出てくるんです。

平野:たしかにギターを弾くとき、ピッキングの強さや指のビブラートのかけ方、さらには使用するアンプなどによっても音は大きく変わる。さまざまなファクターが折り重なってひとつの音が決まる、っていうのは体験としてよくわかります。逆にいえば、種々の制約がその音をつくっている。

Jemapur:そうですね。

平野:ところがコンピューターを介することで、ピッキングの強さやアンプの特色といった情報から自由になるということ?

Jemapur:そうです。現実世界で起こっているものを細胞単位で見ていくと、時間軸が意味をもたなくなるからです。

平野:ああ。

Jemapur:ひとつ一つの細胞にしてしまうと、時間を感じたり、物理的な制約がある世界から離れた表現に行けるんですよね。

平野:そうか。粒子レベルになれば時間の概念なんか、ないもんね。

Jemapur:そこまで切り刻むことによって、たとえばギターの弦をピーンと弾くと…

平野:うん。

Jemapur:その音はサスティーンになりますよね。(「維持する」という意味。音楽的には楽器を弾いたあとに減衰音が持続していることを指す)

平野:たとえば20秒で減衰していきますと。

Jemapur:それを切り刻んで引き伸ばしていけば、20年なり続ける音に変化させることも出来ます。

平野:そういうところにおもしろさを感じているんだね。

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Jemapur:「電子音」は現実空間における身体性や物理限界に影響されないので、頭にあるイメージをそのまま音として具現化するツールとして、じつに魅力的なんです。

平野:あ、またむずかしい話?(笑)

Jemapur:(笑)。電子音ってサイン波 (正弦波) と、四角い波形の矩形波、三角形の波形のトライアングル波と、ノコギリ波っていうギザギザの波形と…

平野:波形って、わかりやすく言うと、どういうもの?

Jemapur:ラジオの時報で「ピー」って鳴りますよね。あれが正弦波です。

平野:うん。

Jemapur:音とは、空気の振動を鼓膜や触覚を用いて感知するものなので、目には見えないんですけど、それを見られるようにしたのが波形です。

平野:なるほど。

Jemapur:波の種類って、電子音の構成要素としては7種類ぐらいしかないんですね。

平野:それは現実世界にある音の波形がそれしかないってこと?

Jemapur:そうではないけど、現実世界の音もモデリングをしていくと、その数だけである程度は再現できますね。

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平野:その7種類の波形って、ジェマくんにとってどういうものなんだろう? ツール? 武器?

Jemapur:〝色〟みたいなものですかね。

平野:つまり〝絵の具〟?

Jemapur:7色の・・・

平野:ああ、よくわかる。てことは、左手に7色の絵の具をもち、右手にはサンプリングで切り刻んだ音の粒子をもってるわけね。

Jemapur:そうですね。

平野:左手が絵の具なら、右手はなんだろう? 筆?

Jemapur:だとすると、右手が絵の具で左手が筆かもしれませんね。

平野:ああ、そうか。7種類の筆を使って、無数にある絵の具=素材で描いているわけだ。

Jemapur:そういう感覚に近いかもしれないです。



次回はJEMAPURさんに聞く「電子音楽の定義」とは。

『太陽の塔』オリジナル・サウンドトラック

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JEMAPURさんの既存のイメージとも言える電子音的な要素は鳴りを潜め、演奏家を招き、音色、リズムを全て指揮、その音をまた編集して画のストーリーにハメこんでいった。映画のサントラとしては勿論、JEMAPURという音楽家が新たな一面を見せる作品となっています。

JEMAPUR – 『太陽の塔』オリジナル・サウンドトラック
2018.10.10 Release

  1. 原初 – ORIGIN
  2. 転生 – REINCARNATION
  3. 幼生 – INFANCY
  4. 梵天 – BRAHMA
  5. 因果 – CAUSALITY
  6. 閃光 – SUNRAY
  7. 憧憬 – YEARNING
  8. 哀歌 – ELEGY
  9. 森羅 – UNIVERSE
  10. 伽藍 – TEMPLES
  11. 遍在 – OMNIPRESENCE
  12. 巫覡 – SHAMAN
  13. 相愛 – MUTUAL LOVE
  14. 久遠 – ETERNITY
  15. 渾沌 – THE CHAOS
  16. 無量 – INFINITE
  17. 日輪 – THE SUN

レーベル : ULTRA-VYBE, INC.
発売日 : 2018年10月10日(水)
※劇場では映画公開と同時に発売となります。
品番 : OTCD-6549
税抜価格 : ¥2,000(CD)

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JEMAPUR

電子音楽家、サウンド・デザイナー。2001年頃よりコンピュータを用いた制作を開始。
Eerik Inpuj Sound, #//といったネット・レーベル・シーン最深部より強い影響を受ける。
これまでにHydeOut Productions, W+K Tokyo Lab., Phaseworks, BETA, Detroit
Undergroundなどさまざまなレーベルより作品を発表、通算4枚のソロ・アルバムをリリース。
現在はウクライナ・キエフを拠点に活動するFF’Spaceとの連携をベースにマイクロ・サンプリング、アルゴリズミック・コンポジションといった抽象度の高い手法を用いて、音が知覚に対して影響・拡張し得る領域について日々研究を重ねている。
ソロの他にも、ショート・フィルムやインスタレーション、コマーシャル・フィルムなど
様々なメディアとのコラボレーションやYJYへの楽曲提供など、その活動は多岐にわたる。
近年では、2018年秋公開となる関根光才監督による初の長編ドキュメンタリー映画「太陽の塔」の音楽を全編にわたり手掛けている。

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