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JEMAPUR talk ③ "Jomon people's groove"

JEMAPUR対談③「縄文人のグルーヴ」

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電子音楽家で関根光才監督による初の長編ドキュメンタリー映画「太陽の塔」の音楽を全編にわたり手掛けられたJEMAPUR(ジェマパー)さんとの対談です。
第3回はJEMAPURさんに聞く「電子音楽の定義」とは。

〈前回までは〉
JEMAPUR①「もはや「複製」というより「破壊」に近いと思います。」
JEMAPUR②「既存の生命体とは異なる別種の生命を創造しているっていう感じです。」


「初期のテープレコーダーリールに、クラシックの音楽などを切り貼りして・・・」

平野:ここまで聞いてきて、〝いまさら〟なんだけど、けっきょく「トラックメーカー」「ビートメーカー」って何なの?(笑)

Jemapur:(笑)。「トラックメーカー」と「ビートメーカー」はおそらくほぼ同義語なんですけど、ラップが入っていない状態が「トラック」ですね。

平野:うん。

Jemapur:ラッパーがラップをするためのものが「ビート」であり「トラック」かな。もちろんラップがないものもあるんですが。

平野:なるほど。「トラックメーカー」って呼ばれた瞬間に、ヒップホップの世界観が立ちのぼってしまうわけだ。

Jemapur:そうですね。となると、いまぼくがやっていることは違うかな、と。

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平野:それで「電子音楽家」を名乗っているわけね。「電子音楽」に定義はあるの?

Jemapur:これも不毛な長さになりがちなんですが。もともとは現代音楽、西洋のクラシック的文脈の中で、パウル・ヒンデミットやカールハインツ・シュトックハウゼンなどが・・・

平野:シュトックハウゼンは大阪万博に来てましたね。ドイツ館で連日演奏したんです。

Jemapur:彼は電子音楽のルーツの一つですね。

平野:ああ、そうなんだ。

Jemapur:電子音楽にはさまざまな系統があって、シュトックハウゼンのようにクラシックの文脈から出てくることもありましたし・・・一方、ロック寄りのサイケデリックカルチャーから出てきた電子音楽もあって。ほかにもロックではないんですけど、テリー・ライリーやラ・モンテ・ヤングなどのいわゆるミニマルミュージックと呼ばれるもの。テープミュージックの大家であるスティーヴ・ライヒなどが有名ですね・・・

平野:ライヒは知ってます。

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Jemapur:電子音楽は最初、テープミュージックだったんです。初期のテープレコーダーリールに、クラシックの音楽などを切り貼りして・・・

平野:コラージュ?

Jemapur:そうですね。当時は手でテープを切って貼って、という手作業からはじまっているんです。電子楽器を用いた音の可能性の追求は、当時から果てしなかったと思います。

平野:つまり「電子音楽」とは、生演奏ではなく、なにかの音源を電子的・機械的・電気的に操作することで新しい音楽を創出するアクションであって、かならずしも「コンピューターがつくる音楽」を意味しないっていうことですね。

Jemapur:そうですね。潮流はいくつかあります。たとえば「エレクトロアコースティック」といって、生の器楽音をエレクトリックな手法で変化させていく演奏者の方と相性が良いアプローチもあります。

平野:なるほど。

Jemapur:おもにテープを利用するサンプリング的な方法から、モジュラーシンセシスのような、実際にシンセサイザーに線を結線して回路をリアルタイムに変化させていくようになって・・・

平野:電気的な、ピュアな電子音としてのアプローチですね。

Jemapur:ぼくはいずれの流れからも影響を受けています。日本でいえば小杉武久さんや武満徹さんなどが著名ですね。

平野:冨田勲さんも?

Jemapur:そうですね。こうした電子音楽の流れと太郎さんが行っていた頃のパリの流れは、リンクしていたかもしれないですね。

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平野:ところでジェマくんはいくつですか?

Jemapur:31歳です。

平野:そんなに若いのに、なんで電子音楽に興味をもったんですか? なかなかそこには行かないでしょう?(笑)

Jemapur:そうですね(笑)。

平野:やっぱりこどもの頃の体験が関係しているのかな?

Jemapur:そうですね。ぼくは5歳ぐらいから、世の中にすごく違和感を抱いていて・・・

平野:早い!(笑)

Jemapur:でも社会に対して違和感が・・・

平野:(笑)

Jemapur:世の中は噓で塗り固められていると思って・・・

平野:(爆笑)

Jemapur:誰に対してもいい顔をしてる大人たちがいっぱいいて、すごく不思議だったんですよね。

平野:なるほど。

Jemapur:それでこの違和感はなんだろうと考えながらも義務教育に入っていくんですけど・・・

平野:うん(笑)。

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Jemapur:そういえば小学校2年生ぐらいでかけ算を習いますけど、ぼくはその答えを16進数で答えたんです。

平野:え?

Jemapur:ふつう足し算の計算は10進法ですよね。一の位が9になると、その次には二の位が1になる。でも16進法は、0〜9とa、b、c、d、e、fのアルファベットが入って、16の塊ではじめて10になるんです。

平野: 16進数ってはじめて聞いたんだけど、どういうものなの?

Jemapur:コンピューターの計算方法というか、パラメーターのようなものですね。

平野:小学校2年生でコンピューターを触ってたってこと?

Jemapur:はい。PC9801とかMS-DOSから、Windows3.1とかそれぐらいの頃ですね。その当時はただゲームをやっていたぐらいですけど。

平野: それで16進法を知って・・・

Jemapur:学校でかけ算を16進法で答えたら怒られて。

平野:そうだろうな。先生も理解できなかったんじゃないかな。

Jemapur:「なんなんだこれは!」って怒られて。ぼくは「質問の文に、10進法で答えろとは書いてないじゃないか」と。

平野:そんな子、見たことも聞いたことない。ジェマくん、やっぱり普通じゃないな。あ、これ、ディスってるんじゃないよ、褒めてるんだからね(笑)。



次回はJEMAPURさんが「音楽に目覚めたとき」について。

JEMAPUR④「弦楽四重奏のようなものを書いて・・・」

『太陽の塔』オリジナル・サウンドトラック

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JEMAPURさんの既存のイメージとも言える電子音的な要素は鳴りを潜め、演奏家を招き、音色、リズムを全て指揮、その音をまた編集して画のストーリーにハメこんでいった。映画のサントラとしては勿論、JEMAPURという音楽家が新たな一面を見せる作品となっています。

JEMAPUR – 『太陽の塔』オリジナル・サウンドトラック
2018.10.10 Release

  1. 原初 – ORIGIN
  2. 転生 – REINCARNATION
  3. 幼生 – INFANCY
  4. 梵天 – BRAHMA
  5. 因果 – CAUSALITY
  6. 閃光 – SUNRAY
  7. 憧憬 – YEARNING
  8. 哀歌 – ELEGY
  9. 森羅 – UNIVERSE
  10. 伽藍 – TEMPLES
  11. 遍在 – OMNIPRESENCE
  12. 巫覡 – SHAMAN
  13. 相愛 – MUTUAL LOVE
  14. 久遠 – ETERNITY
  15. 渾沌 – THE CHAOS
  16. 無量 – INFINITE
  17. 日輪 – THE SUN

レーベル : ULTRA-VYBE, INC.
発売日 : 2018年10月10日(水)
※劇場では映画公開と同時に発売となります。
品番 : OTCD-6549
税抜価格 : ¥2,000(CD)

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JEMAPUR

電子音楽家、サウンド・デザイナー。2001年頃よりコンピュータを用いた制作を開始。
Eerik Inpuj Sound, #//といったネット・レーベル・シーン最深部より強い影響を受ける。
これまでにHydeOut Productions, W+K Tokyo Lab., Phaseworks, BETA, Detroit
Undergroundなどさまざまなレーベルより作品を発表、通算4枚のソロ・アルバムをリリース。
現在はウクライナ・キエフを拠点に活動するFF’Spaceとの連携をベースにマイクロ・サンプリング、アルゴリズミック・コンポジションといった抽象度の高い手法を用いて、音が知覚に対して影響・拡張し得る領域について日々研究を重ねている。
ソロの他にも、ショート・フィルムやインスタレーション、コマーシャル・フィルムなど
様々なメディアとのコラボレーションやYJYへの楽曲提供など、その活動は多岐にわたる。
近年では、2018年秋公開となる関根光才監督による初の長編ドキュメンタリー映画「太陽の塔」の音楽を全編にわたり手掛けている。

 

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