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JEMAPUR talk ⑤ "Jomon people's groove"

JEMAPUR対談⑤「縄文人のグルーヴ」

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電子音楽家で関根光才監督による初の長編ドキュメンタリー映画「太陽の塔」の音楽を全編にわたり手掛けられたJEMAPUR(ジェマパー)さんとの対談です。
第5回はJEMAPURさんの「理想」について。

〈前回までは〉
JEMAPUR①「もはや「複製」というより「破壊」に近いと思います。」
JEMAPUR②「既存の生命体とは異なる別種の生命を創造しているっていう感じです。」
JEMAPUR③「初期のテープレコーダーリールに、クラシックの音楽などを切り貼りして・・・」
JEMAPUR④「弦楽四重奏のようなものを書いて・・・」

「音楽というよりも、音そのもの、波の機能にあるんです。」

平野:「電子音楽」というジャンルが、ジェマくんにとってのとりあえずの居場所らしい、ということはわかったんだけど…

Jemapur:はい。

平野:そのなかでジェマくんはどこにいて、これからどこに行こうとしているのか、っていうあたりがいまもってイメージできないなあ…

Jemapur:むずかしい問題ですね。電子音楽って定義自体もすごく曖昧で、極端にいえばヒップホップも電子音楽に入ると言っていいくらいで…。ほんとうに裾野が広い概念なので、簡単にまとめてしまうのは危険なんです。

平野:なるほど。

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Jemapur:ぼくのアプローチはどちらかといえば〝原理主義者〟的で(笑)、ほかの人にはなかなか説明しにくいこだわりがあるんです。

平野:うん(笑)。

Jemapur:ぼくは誰かの真似をしているわけではないし、他の人はこうだからっていうのもまったくなくて。自分のなかで「電子音楽とはこういうものなんじゃないか」と可能性を追求しているんです。

平野:言っていることはわかるんだけど、依然として具体的なイメージが湧かなくて。たとえば、ロックミュージシャンだったら「ドゥービーブラザースやイーグルスのような70年代の西海岸ロックに影響を受けて」とか「武道館でのワンマンライブが目標です」みたいなことがありますよね。それでそのバンドの理想像がわかったりする。

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Jemapur:そういうことでいえば、ぼくの理想は、音楽というよりも、音そのもの、波の機能にあるんです。電子音には、まだ人々が気づいてない可能性が眠っていると思うから。

平野:あ、またむずかしいことを言う(笑)。波って、さっき話題になった音の波形のこと?

Jemapur:そうです。この波が人々の意識に対してなにか新しい機能を持っているんじゃないか、と考えているんです。そもそもいまみんながチューニングで使ってる440Hz、441Hzというものは・・・

平野:ああ、それ、チューナーにかならず表示されるよね。前から気にはなっていたんだけど…。

Jemapur:じつはそれ、比較的新しく定められた基準なんです。

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平野:ちょっと待って。その前に〝440Hz〟ってどういう意味?

Jemapur:チューニングの基本になっている音です。基音となるラの音は440Hzですよ、っていう風に定められているわけです。ラジオの時報の「ピー」がまさにその音ですね。

平野:なるほど。

Jemapur:これを438Hzにして、スピーカーに砂や水をはって音を鳴らすと、完璧な形の幾何学模様ができるという実験結果があるんです。

平野:えっ、そうなの? 440Hzではできない?

Jemapur:440Hzだとグチャグチャになります。

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平野:ぼくにはそのちがいはわからないけど、きっと438Hzでチューニングした方が心地いいってことだよね?

Jemapur:ということかな、とぼくは理解してます。

平野:自然界がそうなっているっていうことだもんね。

Jemapur:普段聴く音楽なども、電子的にチューニングを変えていくことによって、音楽の可能性や日常での接し方は大きく変わるのではないかな、と思います。

平野:補正するってこと?

Jemapur:そうですね、普段聞いている音楽も全く違う響きになる可能性がある。レコードをもってる方は、ピッチを下げて438Hzで聴いてみてほしいですね。



次回はいよいよ映画『太陽の塔』の音楽について。

JEMAPUR⑥「抽象的であればあるほどいい。」

『太陽の塔』オリジナル・サウンドトラック

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JEMAPURさんの既存のイメージとも言える電子音的な要素は鳴りを潜め、演奏家を招き、音色、リズムを全て指揮、その音をまた編集して画のストーリーにハメこんでいった。映画のサントラとしては勿論、JEMAPURという音楽家が新たな一面を見せる作品となっています。

JEMAPUR – 『太陽の塔』オリジナル・サウンドトラック
2018.10.10 Release

  1. 原初 – ORIGIN
  2. 転生 – REINCARNATION
  3. 幼生 – INFANCY
  4. 梵天 – BRAHMA
  5. 因果 – CAUSALITY
  6. 閃光 – SUNRAY
  7. 憧憬 – YEARNING
  8. 哀歌 – ELEGY
  9. 森羅 – UNIVERSE
  10. 伽藍 – TEMPLES
  11. 遍在 – OMNIPRESENCE
  12. 巫覡 – SHAMAN
  13. 相愛 – MUTUAL LOVE
  14. 久遠 – ETERNITY
  15. 渾沌 – THE CHAOS
  16. 無量 – INFINITE
  17. 日輪 – THE SUN

レーベル : ULTRA-VYBE, INC.
発売日 : 2018年10月10日(水)
※劇場では映画公開と同時に発売となります。
品番 : OTCD-6549
税抜価格 : ¥2,000(CD)

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JEMAPUR

電子音楽家、サウンド・デザイナー。2001年頃よりコンピュータを用いた制作を開始。
Eerik Inpuj Sound, #//といったネット・レーベル・シーン最深部より強い影響を受ける。
これまでにHydeOut Productions, W+K Tokyo Lab., Phaseworks, BETA, Detroit
Undergroundなどさまざまなレーベルより作品を発表、通算4枚のソロ・アルバムをリリース。
現在はウクライナ・キエフを拠点に活動するFF’Spaceとの連携をベースにマイクロ・サンプリング、アルゴリズミック・コンポジションといった抽象度の高い手法を用いて、音が知覚に対して影響・拡張し得る領域について日々研究を重ねている。
ソロの他にも、ショート・フィルムやインスタレーション、コマーシャル・フィルムなど
様々なメディアとのコラボレーションやYJYへの楽曲提供など、その活動は多岐にわたる。
近年では、2018年秋公開となる関根光才監督による初の長編ドキュメンタリー映画「太陽の塔」の音楽を全編にわたり手掛けている。

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