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JEMAPUR talk ⑥ "Jomon people's groove"

JEMAPUR対談⑥「縄文人のグルーヴ」

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電子音楽家で関根光才監督による初の長編ドキュメンタリー映画「太陽の塔」の音楽を全編にわたり手掛けられたJEMAPUR(ジェマパー)さんとの対談です。
第6回は「音と映像の関係」について。

〈前回までは〉
JEMAPUR①「もはや「複製」というより「破壊」に近いと思います。」
JEMAPUR②「既存の生命体とは異なる別種の生命を創造しているっていう感じです。」
JEMAPUR③「初期のテープレコーダーリールに、クラシックの音楽などを切り貼りして・・・」
JEMAPUR④「弦楽四重奏のようなものを書いて・・・」
JEMAPUR⑤「音楽というよりも、音そのもの、波の機能にあるんです。」

「抽象的であればあるほどいい。」

平野:そろそろ映画『太陽の塔』の話に行きましょう。ジェマくんは音と映像の関係についてはどのように考えてます?

Jemapur:当然ですが、たいていの場合、映像が先にあって音をつけていくわけです。

平野:サウンドトラックだからね。

Jemapur:サウンドトラックと、サウンドデザイン的な感覚。それはぼくにとってすごく刺激的なことなんです。なぜなら、映像だけで音がない状況は、味がしないガムを嚙んでいるような感じでしょう?(笑)

平野:そうね。

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Jemapur:音のない映像は、やっぱり退屈なんですよね。そこに音が入って命が吹き込まれていくっていうか…。画面を見ながら違和感のない音を考えていく作業はすごく刺激的です。

平野:その作業って、ジェマくんが日頃やっている音楽づくりとは、ある意味で正反対でしょう?

Jemapur:真逆です。

平野:だからおもしろいのかもしれないね。ただ映画の場合なら監督がいて、いわばプロジェクトに参画するわけですよね。

Jemapur:はい。

平野:もちろん監督にはその監督の世界観や美意識があり、その作品製作を支えるモチベーションもあればミッションもある。

Jemapur:そうですね。

平野:しかし、だからといって御用聞きみたい「どんなものにいたしましょう?」「かしこまりました!」というスタンスでつくるものでもない。ぶつかり合いというか、闘いでしょう? ある意味では。

Jemapur:はい。そういう関係性をもてる人との仕事は特に刺激的ですね。

平野:そうだよね。

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Jemapur:ぼくに依頼をしてくれる人は、比較的そういうスタイルの案件が増えてきているので、コンフリクトすることは減ったんですが、最初のころは大変でしたね。いまではそれすらも楽しんでできるくらいに気持ちに余裕がもてるようになりましたけど(笑)。

平野:(笑) たとえばぼくがジェマくんに映像に音をつけてよって頼んだとするでしょ?

Jemapur:はい。

平野:ぼくはきっと、ジェマくんと音楽の中身について具体的に議論するところまではいけなくて、せいぜい「こんな感じにしたいんだよなぁ」と、なんとなく思い描いている世界観を、漠然としたイメージでしゃべることくらいしかきっとできないと思うな。

Jemapur:いや、それが一番いいんです。

平野:あ、そうなの?

Jemapur:抽象的であればあるほどいい。

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平野:でもそうなると、できあがったものが相手の感覚とズレていたっていう事態もとうぜん起こり得ますよね?

Jemapur:そうですね。

平野:そういう場合は、どういうふうにして調整していくんですか?

Jemapur:まずはそうならないように、抽象的なイメージを可能な限り引き出すっていう作業をします。

平野:相手から?

Jemapur:たとえばクライアントさんがどういうことを考えているのか。沿革みたいなところまで調べて、どういう思想のもとにこの広告をつくろうとしているのか、映像にどういう思いを込めて、なにをどう人に伝えたいのか、そういうところを最初にヒアリングして、そのなかからイメージを熟成させていくんです。

平野:なるほど。

Jemapur:手を動かすよりも、情報を引き出すこと、そのイメージを自分のなかで固めていくことが先です。

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平野:映画監督とのやりとりも、そのレベルでの擦り合わせを事前に徹底してやっておくわけね。

Jemapur:はい。そうすればあまり変な方向に行くこともないので。一番の大枠はとりあえず押さえておきます。もちろんそこである程度制限が生まれるわけですけど。

平野:その制限のなかでどう泳ぐか、みたいな感じになるわけですね。

Jemapur:そうです。

平野:それがまた楽しい?

Jemapur:はい。いずれにせよそこが見えないと、壮大な荒野みたいになっちゃうので。



次回は「縄文的な響き」について。

JEMAPUR⑦「自分のなかで縄文的な響きを探しはじめたんです。」

『太陽の塔』オリジナル・サウンドトラック

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JEMAPURさんの既存のイメージとも言える電子音的な要素は鳴りを潜め、演奏家を招き、音色、リズムを全て指揮、その音をまた編集して画のストーリーにハメこんでいった。映画のサントラとしては勿論、JEMAPURという音楽家が新たな一面を見せる作品となっています。

JEMAPUR – 『太陽の塔』オリジナル・サウンドトラック
2018.10.10 Release

  1. 原初 – ORIGIN
  2. 転生 – REINCARNATION
  3. 幼生 – INFANCY
  4. 梵天 – BRAHMA
  5. 因果 – CAUSALITY
  6. 閃光 – SUNRAY
  7. 憧憬 – YEARNING
  8. 哀歌 – ELEGY
  9. 森羅 – UNIVERSE
  10. 伽藍 – TEMPLES
  11. 遍在 – OMNIPRESENCE
  12. 巫覡 – SHAMAN
  13. 相愛 – MUTUAL LOVE
  14. 久遠 – ETERNITY
  15. 渾沌 – THE CHAOS
  16. 無量 – INFINITE
  17. 日輪 – THE SUN

レーベル : ULTRA-VYBE, INC.
発売日 : 2018年10月10日(水)
※劇場では映画公開と同時に発売となります。
品番 : OTCD-6549
税抜価格 : ¥2,000(CD)

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JEMAPUR

電子音楽家、サウンド・デザイナー。2001年頃よりコンピュータを用いた制作を開始。
Eerik Inpuj Sound, #//といったネット・レーベル・シーン最深部より強い影響を受ける。
これまでにHydeOut Productions, W+K Tokyo Lab., Phaseworks, BETA, Detroit
Undergroundなどさまざまなレーベルより作品を発表、通算4枚のソロ・アルバムをリリース。
現在はウクライナ・キエフを拠点に活動するFF’Spaceとの連携をベースにマイクロ・サンプリング、アルゴリズミック・コンポジションといった抽象度の高い手法を用いて、音が知覚に対して影響・拡張し得る領域について日々研究を重ねている。
ソロの他にも、ショート・フィルムやインスタレーション、コマーシャル・フィルムなど
様々なメディアとのコラボレーションやYJYへの楽曲提供など、その活動は多岐にわたる。
近年では、2018年秋公開となる関根光才監督による初の長編ドキュメンタリー映画「太陽の塔」の音楽を全編にわたり手掛けている。

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