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JEMAPUR talk ⑧ "Jomon people's groove"

JEMAPUR対談⑧「縄文人のグルーヴ」

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電子音楽家で関根光才監督による初の長編ドキュメンタリー映画「太陽の塔」の音楽を全編にわたり手掛けられたJEMAPUR(ジェマパー)さんとの対談です。
最終回はJEMAPURさんと〈地底の太陽〉。

〈前回までは〉
JEMAPUR①「もはや「複製」というより「破壊」に近いと思います。」
JEMAPUR②「既存の生命体とは異なる別種の生命を創造しているっていう感じです。」
JEMAPUR③「初期のテープレコーダーリールに、クラシックの音楽などを切り貼りして・・・」
JEMAPUR④「弦楽四重奏のようなものを書いて・・・」
JEMAPUR⑤「音楽というよりも、音そのもの、波の機能にあるんです。」
JEMAPUR⑥「抽象的であればあるほどいい。」
JEMAPUR⑦「自分のなかで縄文的な響きを探しはじめたんです。」

「呪術的な緊張感を探る工程がとても刺激的でした。」

平野:ジェマくんの音楽は、「電子音楽」に対して世間一般がイメージしているような小難しさがぜんぜんないですよね。

Jemapur:ありがとうございます。

平野:前回の竹なんか典型だけど、とてもプリミティブで、生身の人間がノッてやっているように聞こえる。機械がつくっている冷たい感じがなくて、あったかい。

Jemapur:そうかもしれないですね。あんまり左脳的には考えてないというか。

平野:うん。

Jemapur:右脳の働きを活性化させて、できるだけ本能的に直感を働かせます。エゴとか、社会性とか、倫理とか、そういうことは自分のなかから排除して・・・

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平野:ジェマくんは理念から入っていない。じつはぼく、大きな声じゃ言えないけど、ジョン・ケージ的なものが苦手なんです。単純に楽しくないし、聞いていても乗れないから。

Jemapur:わかるかな? 的なところはありますよね(笑)。

平野:いかにも一部のエリートのためにやってるような感じがして。

Jemapur:なるほど。

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平野:ジェマくんの音楽は、たぶん小学校でやってもイケる。

Jemapur:聴く人を選ばず、いろいろな人に届けばいいなと思っています。ただやはり「電子音楽はむずかしい」というイメージが根強いので…。どうすればもっと多くの人に伝わるのか、ということを日々考えてはいるんですけど。

平野:うん。

Jemapur:いかんせん、コミュニケーションもそんなに得意じゃないし、あまり人と会うこともしてこなかった偏った人間なので。これからそういうところも拓いていこうと思っています。

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平野:ジェマくんには、こんど復元した〈地底の太陽〉の音楽もつくってもらったんですが、そっちはどうでした?

Jemapur:地下展示は映画よりももっと刺激的にしていいんじゃないかと思ったので、より実験的な要素を取り込みました。

平野:すごくいいですよ。

Jemapur:ありがとうございます。

平野:〈地底の太陽〉はとても迫力のある作品だけど、もちろん動かない。彫刻作品としてじっくり鑑賞する時間はとうぜん必要だけど、いっぽうではあの作品が置かれていた地下展示の世界観も伝えたい。万博当時、〈地底の太陽〉は単独で鑑賞する〝美術作品〟としてつくられたわけではなく、世界の仮面と神像がつくる呪術的な空間を演出する一要素だったわけですからね。

Jemapur:そうですね。呪術的な緊張感を探る工程がとても刺激的でした。

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平野:ある種の体験空間にするために、映像・音楽・照明を組み合わせて、躍動感のある空間にしようと考えたんです。ジェマくんの音はじつに効果的だった。

Jemapur:ああ、よかった。太陽の塔のなかで流れる音だから、やっぱり躍動してないとなっていう思いがあったので。

平野:よっぽど勉強したんだろうなって思いました。

Jemapur:太郎さんが当時やろうとしていたことが、現代社会ではあまり活かされていないというか、届いてない気がしていて。太郎さんをもっと理解して、伝わるといいなとて思っています。ぼくが勉強したことは非常に偏ったごく小さな範囲ですけど、彼の実現したかった世界は、現代に生きる者たちにとても重要なメッセージを含んでいると思うんです。

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平野:太郎のどこに一番惹かれます?

Jemapur:孤独であることの強さを自覚して、前を向いているところですね。迎合しないところはぼくのスタンスとしてもすごく共感しています。

平野:たしかにね。

Jemapur:自分のなかでは太郎さんのことを調べれば調べるほど「ああ、そうなんだよ」っていう気持ちがどんどん出てきて。背中を押してもらってるような気持ちです。



『太陽の塔』オリジナル・サウンドトラック

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JEMAPURさんの既存のイメージとも言える電子音的な要素は鳴りを潜め、演奏家を招き、音色、リズムを全て指揮、その音をまた編集して画のストーリーにハメこんでいった。映画のサントラとしては勿論、JEMAPURという音楽家が新たな一面を見せる作品となっています。

JEMAPUR – 『太陽の塔』オリジナル・サウンドトラック
2018.10.10 Release

  1. 原初 – ORIGIN
  2. 転生 – REINCARNATION
  3. 幼生 – INFANCY
  4. 梵天 – BRAHMA
  5. 因果 – CAUSALITY
  6. 閃光 – SUNRAY
  7. 憧憬 – YEARNING
  8. 哀歌 – ELEGY
  9. 森羅 – UNIVERSE
  10. 伽藍 – TEMPLES
  11. 遍在 – OMNIPRESENCE
  12. 巫覡 – SHAMAN
  13. 相愛 – MUTUAL LOVE
  14. 久遠 – ETERNITY
  15. 渾沌 – THE CHAOS
  16. 無量 – INFINITE
  17. 日輪 – THE SUN

レーベル : ULTRA-VYBE, INC.
発売日 : 2018年10月10日(水)
※劇場では映画公開と同時に発売となります。
品番 : OTCD-6549
税抜価格 : ¥2,000(CD)

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JEMAPUR

電子音楽家、サウンド・デザイナー。2001年頃よりコンピュータを用いた制作を開始。
Eerik Inpuj Sound, #//といったネット・レーベル・シーン最深部より強い影響を受ける。
これまでにHydeOut Productions, W+K Tokyo Lab., Phaseworks, BETA, Detroit
Undergroundなどさまざまなレーベルより作品を発表、通算4枚のソロ・アルバムをリリース。
現在はウクライナ・キエフを拠点に活動するFF’Spaceとの連携をベースにマイクロ・サンプリング、アルゴリズミック・コンポジションといった抽象度の高い手法を用いて、音が知覚に対して影響・拡張し得る領域について日々研究を重ねている。
ソロの他にも、ショート・フィルムやインスタレーション、コマーシャル・フィルムなど
様々なメディアとのコラボレーションやYJYへの楽曲提供など、その活動は多岐にわたる。
近年では、2018年秋公開となる関根光才監督による初の長編ドキュメンタリー映画「太陽の塔」の音楽を全編にわたり手掛けている。

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