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Mayuko Katakura , Hikari Ichihara Talk ③ "Jazz Spirit"

片倉真由子、市原ひかり鼎談③「ジャズの魂」

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日本ジャズ界で人気・実力ともにナンバーワンの“ファーストコール・ピアニスト”、片倉真由子さんと、おなじくリーダーアルバムを8枚リリースするなど人気と実力を兼ね備えたトランペッター市原ひかりさん。今回はふたりの女性ジャズプレイヤーとの鼎談です。
第三回目は「若者とジャズの接点」。

〈前回までは〉
①「ジャズはけっして“エリートのための音楽”ではありません。」
②「もう一度「カッコいい音楽」に戻っていくんじゃないかと思います。」


「ジャズをもっとパブリックなものにしたいっていうか…」

平野:ぼくはね、感度のいい若者がジャズを知ったら、ぜったいハマると信じているんですよ。彼らはきちんとジャズを聴いたことがないだけで、ホンモノに触れれば、きっと「スゲー! カッケー!」って思うにちがいない。もちろん全員じゃないけど、少なくとも10人にひとりくらいはね。

片倉:そうなるといいですね。

平野:ただ、彼らがジャズと出会うチャンネルが極端に少ない。ジャズ喫茶は絶滅しちゃったし、ジャズクラブはたいてい地下にあって入りづらいしね。“ジャズ村”って、よそ者にはフレンドリーじゃないんだよね(笑)。

市原:じつはわたし、若い人たちにジャズを聴いてもらうことを目標に、ジャズフェスをやりたいと考えているんです。

平野:おお!

市原:完全に若者を対象にしたフェスです。それこそ日比谷とか代々木とか野外とか、若者が集まっているのとおなじ形態で。しかもレギュラーのバンドしか出さない。

平野:レギュラーバンドだけ?

市原:最近のジャズフェスって、たいていおなじ顔ぶれなんですよね。おなじバンドにプラスして、適当に組み合わせたスペシャルバンド、みたいな感じ。おなじ顔ぶれだから、おなじお客さんしか来ないっていう…

平野:ああ、なるほど。

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市原:スペシャルバンドって、「そのとき限り」という意味ではたしかに“スペシャル”なんだけど、演っている側が心地いいかどうかはまた別ですからね。

平野:いまの土岐英史バンドのように、レギュラーメンバーでサウンドを磨きつづける、っていう行動とはたしかに逆だよね。

市原:そういうジャズフェスが多いんです。でもレギュラーバンドに絞れば、「こういうサウンドをやりたい!」っていう強い意思をもつバンドだけを集められる。質の高いものが提供できると思うんです。

平野:それはいいね。

市原:レギュラーバンドだけのジャズフェスを、たとえばアパレルメーカーみたいな若者とつながれるようなところと組んでやれないか、って考えているんですけど。

平野:市原さんが「若い世代をターゲットにしたジャズフェスをやりたい」と考えるのも、若者とジャズの接点を増やしたいからでしょ?

市原:はい。ジャズをもっとパブリックなものにしたいっていうか…

平野:よくわかる。通りがかりの人が「たまたまジャズと出会っちゃった」っていうシチュエーションもほぼないからね。カフェと歯医者くらいしか。

市原:(笑)

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平野:それで思い出したんだけど、六本木ヒルズに「六本木ヒルズアリーナ」っていう屋外のイベント広場があるでしょ?

片倉:はい。

平野:ぼくは2003年の開業からしばらくのあいだ、六本木ヒルズのイベントプロデューサーをやっていたんだけど、レギュラープログラムの一発目にもってきたのは、カウンターテナーのスラヴァというアーティストだったんです。

片倉:ええ。

平野:運悪く、コンサートの最中に救急車は通るはヘリコプターは飛ぶは、っていう事態になっちゃった。で、終演後に謝ったんですよ。「こんなことになって、ほんとうに申し訳ない」って。

市原:そうなりますよね。

平野:でも、そのとき彼はこう言ったんですよ。「なにを言うか、ミスターヒラノ。ぼくはとても感動しているんだ。最高にエキサイティングなコンサートだった」って。

片倉:スラヴァって、とても人気のあるアーティストでしょう?

平野:東京フォーラムのホールA、5000席を満席にする人。その彼がこう言ったの。「普段、ぼくのライブにはたくさんの人が来てくれるけど、ぼくを知らない人はひとりもいない。でも今日は、ぼくを知らない多くの人たちが聴いてくれた。こんな経験ははじめてだ! じつにエキサイティングだった! 楽しかった!」って。アリーナは周りから見えるからね。

市原:わかる!

平野:そんなふうに、ジャズにも「ぐうぜん出会っちゃった」っていう機会と場がもっと増えるといいんだけどね。



次回は「リスナーからプレイヤーに」。
④「ジャズって。なにかを考える前に、自然のうちに目の前にあったんです。」

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片倉真由子(かたくら まゆこ)
仙台市出身。洗足学園短期大学を首席で卒業後、バークリー音楽大学、ジュリアード音楽院に入学。ケニーバロンに師事。留学中より、ハンク・ジョーンズ、ドナルド・ハリソン、 カール・アレン、ベン・ウォルフ、エディ・ヘンダーソン、ビクター・ゴーインズ等と共演する。2006年、Mary Lou Williams Women In Jazz Piano Competitionで優勝、Thelonious Monk International Jazz Piano Competitionのセミファイナリストに選出される。2008年に帰国し、現在は自己のトリオをはじめ、山口真文、伊藤君子、竹内直、土岐英史、寺久保エレナ、レイモンド・マクモーリン、ジーン・ジャクソントリオ、北川潔トリオのグループなどで活動中。洗足学園音楽大学非常勤講師。

市原ひかり(いちはら ひかり)
1982年東京都生まれ。成蹊小中高等学校を卒業後、洗足音楽大学ジャズコースに入学。2005年主席で卒業。同年ポニーキャニオンよりデビューアルバム『一番の幸せ』をリリース。以降同社より8枚のリーダーアルバムをリリース。自己のグループの他、土岐英史(as)、秋山一将(gt)、増原巖(bs)、赤松敏弘(vb)等のグループに参加。活動範囲はジャズにとどまらず、山下達郎、竹内まりや等のアルバムにもソロプレイヤーとして参加している。
主な出演番組は、『トップランナー』『題名のない音楽会』『ミュージックフェア』『僕らの音楽』等。

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