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Koki Hanawa Talks ① "Things that I feel comfortable"

塙耕記対談① 「心地よいと思えるもの」

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昨今の”和ジャズ”ブームを牽引する「昭和ジャズ復刻」シリーズなどでおなじみのディスクユニオン・塙耕記さんとの対談です。
第一回目は「ジャズ道」の宣教師・塙耕記さんの仕事について。
※11月8日に岡本太郎記念館で開催されたトークショーを編集したものです。

②「吹いている音、出てくる音が、聴いていて胸が痛くなってくるんですよ。」
③「『日本人だけでこんなことがやれるんだ!』って。」

「レコードを集めるのが趣味だったんですよ。とにかく欲しくて欲しくてたまらなくて・・・」

平野:今日お招きしているのは、 “和ジャズ” ブームの仕掛け人にしてアナログ盤ブームの火付け役、そしてジャズ界でぼくがもっともリスペクトするおひとりでもある、ディスクユニオンの塙耕記さんです。いま聞いたところによると、メチャクチャ貴重で珍しいアルバムをお持ちいただいているそうで、今日ここでかけてくださるとのこと。みなさん、楽しみにしていてください。それではお呼びしましょう。塙耕記さんです!

:よろしくお願いします!

平野:ぼくは70年代前半、中学〜高校の頃からジャズを聴きはじめたんですが、その頃から本場アメリカのジャズに並び立つものとして日本人のジャズを聴いていたし、共感していました。

:当時のジャズミュージシャンたちの熱量は相当なものでしたよね。

平野:ところが70年代後半あたりから、フュージョンミュージック―当時は「クロスオーバー」と呼んでいました―が入ってきて、ジャズマンの多くがそっちへ行っちゃった。そのあたりから、ジャズを取り巻く熱量が徐々にドロップして・・・

:そうですね。

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平野:CDの時代になっても、70年代に生まれた名盤の多くはCD化されずに闇に消えようとしていたし、CD化されてもすぐに廃盤になって、ショップの店頭から消えていきました。ところが、ある頃を境に、熱い時代の日本ジャズ、マニアの取引アイテムになっていた廃盤アルバムが次々に復刻され、CD化も進んだ。レコード店の日本ジャズコーナーが賑やかになりました。

:はい。

平野:嬉しくなって手に取ると、その多くに「塙耕記」と書いてある。

:(笑)

平野:ぼくはジャズ業界の人間ではないので、「誰だ、この人は?」とずっと気になっていたんです。これだけのことができるということは、きっとジャズ界のフィクサーにちがいないと。

:(笑)

平野:白いひげをたくわえ、京都の豪邸に暮らし、和服を着て、毎朝錦鯉に餌をやっているはずだって。

:(爆笑) すみません、阿佐ヶ谷で。

平野:いや、でも誰だってそう思いますよ、あの仕事を見たら。先日はじめて塙さんにお目にかかって、ぼくはぶっ飛びました。あまりに若いから。

: (笑)

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平野: “和ジャズ”ムーブメントを仕掛けたときは、いまよりもずっと若かったわけですもんね。いや、ほんとうに驚きです。

:ありがとうございます(笑)。

平野:塙さんはいま、ディスクユニオンでジャズの責任者をされているんですよね?

:はい。あとは、会社もよく好きなことやらせてくれているなと、ほんとうに感謝しているのですが、社内にレーベルを持たせてもらっています。2005年からTHINK! RECORDSをはじめまして、昨年からはCRAFTMAN RECORDSというのをやっています。

平野:既発音源を流通させるだけでなく、和ジャズの復刻みたいなこともやり、新しいミュージシャンを発掘して世の中に送り出す・・・およそすべてのことをやっているわけですね。

:そうですね。さらに、平野さんの〈Days of Delight〉もそうですが、他のレーベルがリリースした新譜も仕入れますし、CD やLPなどを買い取るときの査定もします。

平野:塙さんが自ら?

:はい。いまでも指名があれば査定しますよ。

平野:へえ、そうなんだ。まあ、考えてみれば、塙さんも若いころは店頭にいらっしゃったんですもんね。

: 10年ぐらい前まで店にいました。おもしろかったですね。

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平野:クラシックも含めてさまざまなジャンルを統括されているとのことですが、塙さんの体は95%くらいジャズでできているでしょう?

: はい(笑)。

平野:和ジャズのときもそうだったと思いますが、リスクを取って誰もやらなかったことに挑戦している。

:恐縮です。

平野:どうすればジャズを取り巻く状況を好転させられるか、ジャズの魅力が伝わるか、を考えている。まさに「ジャズ道」の宣教師です。

:そんな、とんでもない。畏れ多いです(笑)。

平野:そもそもなぜジャズの道に?

:実家が水戸にあるんですが、両親がジャズ喫茶をやっていまして。

平野:あ、なるほど!

:「サウンド&フューリー」っていう店なんですが、いまも水戸駅から5分のところにあります。1970年からやっているので、もうすぐ半世紀になります。

平野:英才教育を受けたわけだ。とうぜん家の中でもジャズが流れていたんでしょう?

:はい。店と住まいは別だったんですが、家にもそこらへんにレコードが散らばっていて・・・留守番をしているときに勝手に聴いたりしていました。

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平野:ジャズにハマったのはいくつぐらいのときですか?

:小学生のときは嫌いでした。親父がエリック・ドルフィーが好きでよく聴いていたんですが、小学校低学年にドルフィーはキツイですよね。あとエレクトリック・マイルスとかも。ほんとにイヤでした。

平野:それはそうでしょう(笑)。

:でも中学校に入ったあたりからいろんな音楽を聴くようになって・・・「ベストヒット USA」とか。

平野:80年代?

:そうです。そうやって聴いていくうちにオールディーズが好きになって。ロカビリーなんかは裏にサックスが入っていたりするでしょう? で、だんだんサックスの音色が気になり出すわけです。

平野:そうやって自然のうちにジャズが入ってきた。

:それで高校生くらいからにジャズを聴き出しまして・・・

平野:その後は、マイルスやコルトレーンを通って・・・

:いろんなジャズ・ジャイアントを勉強しました。

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平野:おなじ年頃からジャズを聴いてきたぼくは「ジャズ道」には進まなかったけど、塙さんはそのままディスクユニオンに入った。自分の人生でジャズと関わりつづけたいとそこまで強く思ったのはなぜなんですか?

:レコードを集めるのが趣味だったんですよ。とにかく欲しくて欲しくてたまらなくて・・・

平野:なるほど、コレクターだったわけだ。でも若いからそうは買えなかったでしょう?

:だから中古で安いものを探して・・・中古レコード店に入り浸たっていたんです。そのときは不動産会社に勤めていたんですけど、やっぱり好きなことをしないと後悔すると思いまして・・・

平野:それで転職を?

: 24歳のときにディスクユニオンに入って。これで毎日好きなだけジャズが聴けると思って、嬉しかったですね。



次回は、塙さんを惹きつける「ジャズの魅力」について。

②「吹いている音、出てくる音が、聴いていて胸が痛くなってくるんですよ。」

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塙耕記

(株)ディスクユニオン勤務。
2005年からは昨今の”和ジャズ”ブームを牽引する「昭和ジャズ復刻」シリーズなどでおなじみのTHINK! RECORDSをスタート。
2009年に世界初の和ジャズ・ディスク・ガイド『和ジャズ・ディスク・ガイド Japanese Jazz 1950s-1980s』を刊行。
昨年からCRAFTMAN RECORDSのプロデューサーとしても活躍している。

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