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Kosuke Sugimoto Talks ③ "Outsider"

杉本晃佑対談③「アウトサイダー」

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新進気鋭の映像クリエイターとして、多数のミュージックビオの、CM映像のディレクションを行っている映像作家、杉本晃佑さんとの対談です。

〈前回までは〉
①「音と映像が合った瞬間とか、生理的にゾクっと…」
②「漫画って、読むのは楽しいけど、描くのはそう楽しくなかったんで……」


第3回は「音と映像が絡む瞬間」。

「もともと音楽が好きではじめたわけではなくて、」

平野:ミュージックビデオはいろんなバックグラウンドの人が撮っているんだろうけど、おそらくCM、テレビ番組や映画を撮っている人が多いんじゃないかと思います。アニメから行った杉本さんは、なんていうか、ベクトルの向きがちょっとちがいますよね?

杉本:そうですね。

平野:だからテイストが他の人とちがうのかな?

杉本:そうだと思います。もともと音楽が好きではじめたわけではなくて、「音と映像が絡む瞬間が生理的に気持ちいい」っていうところが出発点ですしね。入口はアニメのオープニングで、あとあとミュージックビデオに出会い、職業としてそれを選んだっていう感じですから。



THE CHARM PARK “Lost” MV

平野:杉本さんのテイストの根っこにあるのはなんだろうと思っていたんだけれど、いまの話を聞くと、完全に「アニメーション」ですね。

杉本:はい。

平野:話を学生時代に戻すと、就職を逃したあと、どうしたんです?

杉本:とりあえず親といろいろ話しあって、1年休学することにしたんです。で、そのあいだに映像をつくっていたんですが、親切な人が「世の中にはコンペというものがあるよ」って教えてくれて。ちょうどその頃、映像のコンペがあちこちで流行っていたんですよね。

平野:素人でも出せるような?

杉本:そうです。むしろ素人の登竜門的なものが多かったですね。テレビ局がやってるものもあったし、地方自治体がやっているマニアックなものもあって。そういうものにいくつか出しているうちに賞をいただくようになって、授賞式なんかに行かせてもらうようになった。

平野:そのとき、どんなことを感じました?

杉本:いろんな人にお会いして、世の中にはこういう世界がほんとうにあるんだなって思いました。それまでは映像作家やアニメ作家という人種を見たことがなかったし、どこにいるのかもわからなかったので。

平野:そりゃそうですよね。外からじゃ見えないものね。

杉本:インターネットもないに等しい時代でたし。

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平野:そのときも立場上は「就職浪人」だったわけでしょ?

杉本:そうです。まあもっとも就職するつもりもなかったので、浪人ですらなかったんですけどね。

平野:そうか(笑)。

杉本:コンペでいくつか賞をもらうようになって、大学もなにごともなく卒業してしまって……。その足で「よし東京に行こう!」と。大学は京都だったんですけど。

平野:なるほど。

杉本:で、東京に来まして、結婚式の映像を編集するバイトなんかをしながら……

平野:いいなぁ(笑)。

杉本:家に引きこもってアニメーションをつくって……

平野:(爆笑)

杉本:ありがたいことに、東京に来て1年くらいで、いろんな賞に通るようになって。後半は賞金で暮らせるくらいになっていたんです。

平野:すごい!

杉本:ぼくがどうこうじゃなく、当時はほんとうにいろんな賞やコンペがあって、上のクラスになると、入賞すると50万円くれるところや、業務用ビデオカメラをくれるところ、パソコンやタブレットをくれるところ……

平野:いい時代だったんだな。

杉本:それでいろいろ縁ができて、東京に来て1年後くらいにはじめて、テレ東の音楽番組をつくっている人からアニメーションをやってみないかと言われて。そこからですね。

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平野:何年くらい前の話?

杉本:12、3年前です。最初は作品の総合ディレクターではなくて、アニメーションを担当するディレクターとして仕事をはじめて……。でも、ディレクターの仕事がしたかったんで、やっぱり作品づくりだと思って、それからもずっと作品をつくっていました。

平野:地道な修練をつづけていたわけですね。

杉本:それでまた1年後くらいに出した作品がいろんな賞をいただいて……

平野:その作品はだれかに依頼されてつくったものじゃなく、自分で?

杉本:そうです。音楽もぼくが友だちに発注してつくって……

平野:杉本さんの個人的な作品だったんだ。

杉本:幸運なことに、当時 YouTube が出てきて……それまで個人が作品を出す場所ってほんとうに賞くらいしかなかったんですけれど、それからは自分で公開する時代がはじまったんです。

平野:そうか、YouTube……。

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杉本:運よくぼくの作品のひとつが、なぜかアメリカの地下のほうですごく人気になったんです。日本ではぜんぜんウケなかったのに。

平野:なんていう作品?

杉本:『the TV show』です。これがアメリカのブログで取り上げられて。当時はTwitterもなかったですから。



the TV show
TAF2010 第9回東京アニメアワード 優秀賞 / 2009アジアデジタルアート大賞展 動画部門 入賞 / 他

平野:口コミで広がっていったんですね。

杉本:それを日本のブロガーたちが見つけて。アメリカのアングラの話なんですけどね。

平野:アメリカのアングラの世界で有名になり、逆輸入の形で日本に入ってくれば、とうぜん業界関係者も注目しますよね。

杉本:ありがたいことに仕事の数も増えて。そのあいだに別の作品もつくってコンペに出して、というのを繰り返していました。

平野:すべては YouTubeからはじまった…

杉本:そうです。YouTubeがなかったら、ぼくのように美大にも行かず、制作会社にも就職せずに映像作家になるっていうのはむずかしかったと思いますね。



次回は「チェコ」。

④「ヤン・シュヴァンクマイエルなどの伝統的なチェコアニメを学びに行ったわけではないんですけど。」

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杉本晃佑(すぎもと こうすけ)

映像作家

1983年生まれ。アニメーション・実写・3DCG・モーショングラフィックスなどを用いた映像と音楽とを緻密に融合させた構成、歌詞や広告商品などを独自に掘り下げたストーリー構築を得意とし、MV、CM制作を主として活動。近年はSEKAI NO OWARIやSCANDALのMV、NHKみんなのうたなどを手がける。また「the TV show」「これくらいで歌う」などの個人作品は国内外の多数の映画祭・コンぺティションで受賞。
2014年からプラハを拠点にヨーロッパでの活動も開始。映像監督を務めた3D映像コンサート「Vivaldianno 2015」はイギリス・ドイツ・チェコなど15ヶ国以上で上演、クラシックコンサートとしては異例の20万人以上の動員となる。2018年、東京に株式会社Studio12を設立。

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