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Okamoto Taro Column ⑰ " Primitive charm "

岡本太郎コラム⑰東風西風「原始の魅力」

1969-58歳 《太陽の塔》中央の顔 制作 スーパーレジンにて_1

今度の万国博のテーマは「人類の進歩と調和」だが、今までのように進歩つまり良いことだという近代主義的な夢だけでなく、もっと根本的な問いをつきつけるべきだと思う。当然会場は新しいアイデア、技術の競争になるだろう。虚飾されてゆく新奇な様式の洪水。その中で、私の担当するテーマ館には何か見る人の心の奥底にドカンとぶつかってくる根の重みをすえたいと考えた。

テーマ展示は未来・現在・過去と三つの層で構成するが、その「過去」の空間に人間が「人間」になって以来、どういう手ごたえで生をたしかめてきたか、そのなまなましい実感をつきつけることにした。そのため京大のグループをはじめ、わが国の若い人類学者数十人にお願いして、世界中から展示品を収集してもらった。専門の地域別に収集班を組織して、民衆の最も根源的な表情をもつ神像、マスク、生活用具などを集めるのだ。欧米諸国の博物館や個人コレクションが金に糸目をつけず買いあさっているので、恐らく最後のチャンスかもしれない。希望と不安で、若い学者たちは世界中に散って行った。

最近その収集品が続々到着して、大阪の浦江の保税倉庫に一時収納されている。開梱(かいこん)して行くと、ムッとするほど強烈な人間の息吹(いぶき)がたちのぼってくる。アフリカの黒々とした彫りのある楽器。東南アジアのキラキラした原色におどり出すような面。オセアニアからは浜べから引きあげてきた巨大な丸木舟。日本各地からも漁具や農具やお祭りの面、四メートルもある実盛人形もある。ヨーロッパからも集まった。そこに思いもかけぬ実体が浮かびあがる。たとえばイタリアから来たお面や楽器など、まるでアフリカの黒人芸術と見まがうような激しさといろどりの凄(すご)みだ。ローマからルネッサンスのイメージ、優雅、スマートというのとまるで異質だ。歴史をこえたピープルの表情。人間文化の複雑さと厚みに驚くのである。

これら軍屯(こんとん)の群れは万国博全体への呪文(じゅもん)となるだろう。

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