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Kosuke Sugimoto Talks ⑥ "Outsider"

杉本晃佑対談⑥「アウトサイダー」

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新進気鋭の映像クリエイターとして、多数のミュージックビオの、CM映像のディレクションを行っている映像作家、杉本晃佑さんとの対談です。

〈前回までは〉
①「音と映像が合った瞬間とか、生理的にゾクっと…」
②「漫画って、読むのは楽しいけど、描くのはそう楽しくなかったんで……」
③「音と映像が絡む瞬間」。
「ヤン・シュヴァンクマイエルなどの伝統的なチェコアニメを学びに行ったわけではないんですけど。」
⑤「毎回仕事のたびに新しいタッチに挑戦したいと思っているんですね。」

第6回は「Days of Delight」。

「憧れの時代を疑似旅行してみたっていうイメージがいちばん近いかな。」

平野:〈Days of Delight〉のプロモーション映像はどんな発想から生まれたんですか?

杉本:最初の打ち合わせの席で、平野さんが「このレーベルが目指しているのは70年代日本ジャズのスピリットを受け継ぐ強度のあるサウンドだ」とおっしゃたでしょう?

平野:はい。

杉本:ということは、あの時代がもっていた、ある種のエネルギッシュなカオスを最大限に表現しなければいけないな、と思って。

平野:なるほど。



Birth of New Japanese Jazz Label “Days of Delight”

杉本:もちろんイラストでつくる手もあるし、あえて筆と墨で描くっていう道もあるけれど、その場合はいずれもぼくというフィルターを通すことになる。ベースとしては、やはり当時の実際の風景やミュージシャンたちの姿を使わなきゃダメだと考えたんです。

平野:わかる。

杉本:でも、それだけだと NHK の『映像の世紀』みたいな記録映像になってしまいかねないんで…

平野:うん。

杉本:このレーベルが伝えようとしている昭和から現代につづくなにか…枯渇したわけではない、いまにつづくなにかを表現するために、コラージュしたり、カメラワークを3D的に動かしたりしながら、あまり古めかしいものに見えないように、デザインを少し現代的な形にしたんです。そして音楽や人の気持ちが長くつづいていくことを象徴する赤いラインがうねっていって、最後にロゴに決着するっていう。このイメージはわりとスパッと出てきましたね。

平野:ぼくが嬉しかったのは、70年代の雰囲気や気分がちゃんと表現されているにもかかわらず、単なる解説ビデオになっていないことです。

杉本:はい。

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平野:なにかを説明しているんじゃなくて、見た人に「これを見てなにを感じますか?」とか、「いろいろ想像してみてくださいな」といった問いかけをしている。

杉本:そうかもれません。

平野:登場人物がいろんなことをしてますよね? 意味があるものも無いものも含めて、とにかくたくさんの人物がいろんなことやってる。もちろんそれをひとつ一つ読み解く楽しさもあるけど、全体をとおして「あの時代の空気感に触れて、キミはなにを感じる?」と問いかけているように見えるんですよね。解説ビデオとは真逆の、芸術的な態度です。

杉本:ありがとうございます。もっとも、視聴者に問いかけるといった高尚なことを考えていたわけではなくて、ぼく自身が70年代への憧れが強かったから…

平野:あ、そうなの?

杉本:自分がそこに飛び込んでみたいと。1枚や2枚の写真で表現するんじゃなくて、いろんな奥行きで、いろんな人々がいてっていう世界を、ぼく自身が疑似体験してみたかったというか……

平野:あ、そうか、なるほど。言われてみれば、たしかにそういう感じがする。

杉本:親に「生まれてくるのを何十年かまちがえたね」って言われるくらい、70年代フォークが好きな時代もあったりして。

平野:へえ。

杉本:憧れの時代を疑似旅行してみたっていうイメージがいちばん近いかな。

平野:動画だから、もちろん時間軸にそって流れていく。でも、ストーリーを受け身で見ていくテレビドラマとはちがって、杉本さんの映像は「この世界を好きなように歩いてください」と言っている。

杉本:はい。

平野:シナリオどおりにまっすぐ進むテレビドラマを1次元的と呼ぶなら、視聴者がヴァーチャル世界に飛び込んで自由に歩き回ることを前提にした杉本さんの映像は、2次元的であり3次元的です。

杉本:ありがとうございます。じつはそこは意識しているポイントなんです。

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平野:ある種の体験空間になっている。その意味で、万華鏡に似ていると思うな。

杉本:万華鏡?

平野:万華鏡にもいろいろあって、シンプルな筒状ではなく、3次元の空間がうねるように動く立体のタイプもあるんですよ。

杉本:おもしろそうですね。

平野:じつに幻想的で、はじめて見たときはビックリしたし、感動しました。杉本さんがつくっているのは映像だから、もちろん2次元だけど、意味においてはきわめて3次元的、空間的だと思う。

杉本:空間的ですか。

平野:そう。ヴァーチャルな体験空間。

杉本:なんか、すごく腑に落ちた気分です。

平野:この意味でいえば、杉本さんの作品はアニメ的ではない。建築的なんですよ。



次回は「シュルレアリズム」。

⑦「直球もあれば、ぼく以外にはわからないだろうなっていうフィルターもあって。」

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杉本晃佑(すぎもと こうすけ)

映像作家

1983年生まれ。アニメーション・実写・3DCG・モーショングラフィックスなどを用いた映像と音楽とを緻密に融合させた構成、歌詞や広告商品などを独自に掘り下げたストーリー構築を得意とし、MV、CM制作を主として活動。近年はSEKAI NO OWARIやSCANDALのMV、NHKみんなのうたなどを手がける。また「the TV show」「これくらいで歌う」などの個人作品は国内外の多数の映画祭・コンぺティションで受賞。
2014年からプラハを拠点にヨーロッパでの活動も開始。映像監督を務めた3D映像コンサート「Vivaldianno 2015」はイギリス・ドイツ・チェコなど15ヶ国以上で上演、クラシックコンサートとしては異例の20万人以上の動員となる。2018年、東京に株式会社Studio12を設立。

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